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東電役員OB海外バブル生活 福島原発事故900日目の「天国と地獄」 vol.1
http://taishu.jp/politics_detail647.php
週刊大衆9月16日号
事故から2年半、いまだ漁業も農業も壊滅状態なのに…
東京電力福島第一原発の事故から900日が過ぎようとしているが、一向に収束の気配は見えない。
「あの事故以来、原発近隣の漁港の漁師は沿岸部のガレキ清掃作業などで、なんとか生計を立ててきたが、もう限界だよ。とにかく、早く漁がしたい……」
福島県内の漁師は、天を仰ぎながら語った。
同じように、いわき市内の農協関係者は、「少しだけ放射線量が下がったことを除いて、事故直後と状況は何も変わっていない。いつになったら本業に戻れるんだろう」と、こちらも慟哭する。
地獄のような日々を過ごしてきた彼らに、追い打ちをかける事態が起こる。
8月21日、福島原発の地上タンクから高濃度汚染水が約300トンも漏れ出している事実が判明したのだ。
「実は、漏れ出したタンクの反対側にある排水弁の周辺でも、高い放射線量を確認済み。東電は今回の汚染水漏れを約90日間見逃してきたことが報じられていますが、異常が見つかったタンク以外でも、放射性セシウム、放射性ストロンチウムを含む汚染水が漏れ、いまも海洋と土壌を汚染し続けている可能性が高いのです」(全国紙社会部記者)
周辺の漁業・農業関係者にとっては今年最悪のニュースとなり、再び苦境に立たされている。
原子力規制委員会が今回の汚染水漏れを「レベル3(重大な異常現象)」と再評価し、韓国では福島県のみならず、日本からの水産品をすべて禁輸しようという動きまである。
もはや、日本の水産業界全体を揺るがす問題にまで発展した。
「ところが、いまも放射能地獄に喘ぐ地元住民を尻目に、事故当時の"戦犯"である東電の旧経営陣は、周囲の目と批判を気にして日本から海外へ逃亡している。特に、事故当時トップだった勝俣恒久・前会長に至っては、中東の至宝といわれるドバイ(UAE)の超高級マンションで"バブル生活"を謳歌しているという話ですからね」(前同)
旧経営陣の多くは事故の責任を取って退任しているが、"我関せず"とばかりに海外で優雅に暮らしているとは信じがたい事実。
いったい彼らに、地元の悲鳴はどう響くのだろうか。
まず、汚染水によって、新たに土壌が汚染される懸念が生じた農業関係者の声を聞いてみよう。
「農協としても組合員が1日でも早く農業を再開できるよう支援していますが、何をするにしても原発事故の影がつきまとい、支援態勢を整えることすらできません。それでも方策を立て一部再開した人もいる。そこへ、今回の汚染水問題が発覚したわけです。ようやく風評被害も収まったのに、"またか!"という憤りを感じています」(新ふくしま農協担当者)
もちろん農家だけではない。
汚染水が流入した海を生業とする福島漁連関係者も、怒りを爆発させる。
「いま福島県内の漁協は、どこも活動していません。昨年6月、相馬双葉漁協でタコやツブ貝などの一部魚種に絞って試験操業を始めました。そして、影響が少ないと判断した16魚種にまで拡大してきました。9月には相馬に続き、いわきでも試験操業を開始する予定で、漁師たちは盛り上がっていたのに……今回の問題で、全部パーになりましたよ!」
これから秋を迎え、各漁港では、アナゴ、カレイ、ヒラメなどの水揚げが期待されていた。
「本当に、本当に……9月の試験操業を目指して頑張ってきたんです。漁師として仕事ができることは、このうえない喜びですから。漁師仲間とともに、日に日にモチベーションが上がっていた矢先ですよ! いまはもう、冷静に考えられる状況ではありません」(いわき漁協担当者)
こうした状況で、すでに廃業を考える漁師も出始めているという。
しかも、漁業関係者を絶望の淵に陥れた汚染水漏れは、東電のズサンな事故処理が原因なのだ。
「そもそも、原発内にある1000基のタンクは、原子炉建屋内に溜まった汚染水を一時保管するために設置されたもの。タンクの継ぎ目の樹脂製パッキンは劣化しやすく、耐用年数はせいぜい5年。初めから漏洩することが懸念されていました」(東電関係者)
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東電役員OB海外バブル生活 福島原発事故900日目の「天国と地獄」 vol.2
http://taishu.jp/politics_detail648.php
汚染水漏れの指摘を無視した
汚染水漏れの懸念は専門家が早い段階から指摘していた。
ところが東電の経営陣は、それを知っていながら放置したのだ。
いわき市議会議員の佐藤和良氏が、こう憤る。
「これまで汚染流出を認めなかった東電が今回、やっと認めたという印象です。震災後の4月から細かい漏水などありましたが、"問題なし"としてきました。ところが、溶接すら施していないタンクが水圧に耐えられるはずはなく、300万トンもの漏水が、ついに始まってしまった」
住民の怒りは完全に東電に向いている。昨年6月に地元住民は、勝俣前会長や清水正孝・前社長ら33名を業務上過失致死傷などの疑いで検察庁に刑事告発。
佐藤市議は、その原告団の副団長を務めている。
「彼らは世界最大ともいえる公害を撒き散らしたにもかかわらず、強制捜査すら受けないのは市民感情として納得できません。日本が法治国家である以上、法に則って彼らに責任を負わせるべきです」(前同)
しかし、1年以上経ったいまも、彼らは刑事責任を負わされる気配もなく、平穏に暮らしているというのだ。
政治評論家の本澤二郎氏が語る。
「海外逃亡の事実を知って気分が悪くなりました。ネットサイトやブログでは、もうかなり有名ですが、事故当時の東電首脳部の動向が詳細に書かれています。勝俣前会長は家族とともに海外逃亡中。また、清水前社長も、同じく家族と一緒に海外生活中という話ですからね」
実は、事故後に退陣した旧役員は、東電の関連会社や子会社に"再就職"し、高給取りとして働いていたというから驚く。
退任後の主な動向は以下のとおり。
・勝俣前会長=日本原子力発電社外取締役
・清水前社長=富士石油社外取締役
・武井優副社長(以下当時の役職)=アラビア石油社外監査役
・宮本史昭常務=日本フィールド・エンジニアリング社長
・木村滋取締役=電気事業連合会副会長
連結売上げが約6兆円にも上る東電は多くの関連企業と子会社を持つ。
これまで役員は、退任後も当然のように再就職してきた。
「前代未聞の事故を起こした経営陣までもが"天下り"し、給料を貰い続けています。会長以下、11年に引責辞任した役員20人のうち、8人が該当する。彼らは、甘い汁を吸い続けて税金をムダ遣いする"天下り官僚"と同類ですよ」(全国紙経済部記者)
この中でも、勝俣前会長は"東電のドン"と呼ばれ、批判が集中している。
「勝俣前会長は震災当日、中国へ東電お抱えのマスコミ連中と視察旅行に行き、原発事故対応が後手に回る原因を作った張本人。ところが、今年の6月に日本原子力発電の社外取締役を辞任するまで、1年間も同社から役員報酬を受け取っていたんです」(前同)
その間、福島の農業・漁業関係者は生活の道を断たれ、地獄のような苦しみを味わっているのだ。
「本来なら、私財を投げうってでも福島県民に謝罪すべき立場。それが優雅に暮らしているというのですから、到底、許せる話ではありません」(前出・本澤氏)
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東電役員OB海外バブル生活 福島原発事故900日目の「天国と地獄」 vol.3
http://taishu.jp/politics_detail649.php
年間7200万円の役員報酬
事故以前の勝俣前会長と清水前社長の年間役員報酬は約7200万円。
さすがに事故後の報酬は減額されたが、それでも東電役員が高給取りなのは事実だ。
「勝俣前会長の自宅は東京・四谷の超高級住宅ですし、ほかの役員も本社から通勤30分圏内に豪邸を建てている場合が多い。いま日本にいても批判に晒されるばかりですから、東南アジアや中東に飛んだ役員は多い。前会長もドバイの超高級マンションで家族と暮らしているようですね」(東電の元社員)
ドバイは急速に発展した中東随一のリゾート都市。
世界最高級の高層ホテルや中東最大のショッピングセンターもあり、中東の"王侯貴族"も憧れる都市だ。
「東電は、原発事故が起きるまで発展途上国への電力事業の輸出を積極的に進めてきました。東南アジアや中東諸国のインフラ事業で利益を得るべく、現地交渉をしていた。すでに、ベトナムでの事業は軌道に乗っています」(前同)
事故後は"東電の安全神話"も崩壊し、ベトナム以外での発電所輸出に関わる計画は頓挫している。
「東電はトルコやサウジアラビアに輸出を働きかけるなど、莫大な予算を使ってきた。特に勝俣前会長は、発展途上国の原発輸出には特に積極的だったので、中東諸国との関係も深い。商社や電力会社の途上国駐在や出張は、豪華なホテルと潤沢な手当があるバブル生活が当たり前ですから、東電OB連中が移住し、それ以下の暮らしぶりとは考えられない」(同)
被害者がいまだに原発事故の後遺症に苦しめられているというのに、これほど理不尽な話はないだろう。
「海外逃亡は話すも愚かだし、言葉もありません。このまま海へ汚染水をタレ流す事態が続けば、日本は海外から袋叩きに遭います。そんな理不尽なことがまかり通らないよう、福島の地元民や仮設住宅で暮らす人たちが"一揆"を起こしても、東電も政府も文句は言えないでしょう」(同)
これが国民の大多数の意見だろう。
事故から900日目にしての「天国と地獄」が逆転する日は来るのだろうか……。
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