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<東電>汚染水、首相「完全にブロック」発言を事実上否定
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130909-00000101-mai-soci
毎日新聞 9月9日(月)21時7分配信
福島第1原発の汚染水問題をめぐり、安倍晋三首相が五輪招致のプレゼンテーションで「完全にブロックされている」「コントロール下にある」と発言したことについて、東京電力は9日の記者会見で、「一日も早く安定させたい」と述べ、首相発言を事実上否定した。政府に真意を照会しているといい、政府と東電の認識の違いが出たと言えそうだ。
防波堤に囲まれた港湾内(0.3平方キロ)には、汚染水が海側に流出するのを防ぐための海側遮水壁が建設されているほか、湾内に広がるのを防ぐために「シルトフェンス」という水中カーテンが設置されている。
東電によると、フェンス内の海水からは、これまでに最大でストロンチウムなどベータ線を出す放射性物質が1リットル当たり1100ベクレル、トリチウム(三重水素)が同4700ベクレル検出されている。東電は「フェンス外の放射性物質濃度は内部に比べ最大5分の1までに抑えられている」と説明したが、フェンスは水の出入りまで遮断できない。また、フェンス内と港湾内、外海の海水が1日に50%ずつ入れ替わっていることが知られており、トリチウムは水と似た性質を持つため通過する。
現在、外海とつながる港湾口や沖合3キロの海水の放射性物質濃度は検出できないほど低いが、専門家は「海水で薄まって拡散しているため」とみる。
また、汚染水は1日400トンの地下水が壊れた原子炉建屋に流れ込み、溶けた核燃料に接触して増え続けている。水あめ状の薬剤「水ガラス」で壁のように土壌を固める改良工事を実施したが、壁の上を越えて海洋流出している事態も収束していない。地上タンクから漏れた汚染水約300トンの一部は、海に直接つながる排水溝に到達したとみられ、東電は港湾外に流出した可能性を否定していない。「何をコントロールというかは難しいが、技術的に『完全にブロック』とは言えないのは確かだ」(経済産業省幹部)との声も出ている。
一方、安倍首相は「食品や水からの被ばく量は、どの地域も基準(年間1ミリシーベルト)の100分の1」と述べ、健康には問題がないと語った。この発言は、全国12地域で流通する食品などに含まれる放射性セシウムによる年間被ばく線量は最大0.009ミリシーベルトに基づくが、木村真三・独協医大准教授(放射線衛生学)は「福島県二本松市でも、家庭菜園の野菜などを食べて、セシウムによる内部被ばくをしている市民は3%を超える。医学的に影響が出ているか否か、現状では判断できない」と指摘する。【鳥井真平、奥山智己】
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