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高濃度の放射能汚染水を保管しているタンクの構造的欠陥で汚染水漏れが相次いでいる東京電力福島第1原発。もう一つの汚染水漏れルートになっている地下水をめぐっても構造上の重大な弱点があったことが分かりました。 三浦誠記者
福島第1原発を上空から見ると、タービン建屋前の敷地が、海岸線から海にせり出していることがよくわかります。
この敷地地下に配管や電源ケーブルを通したトレンチ(地下トンネル)が、網の目のように埋まっています。(写真参照)
トレンチには数時間で人が死ぬほどの高濃度汚染水が、約2万dもたまっています。原子炉を冷やした水が、原子炉建屋からタービン建屋を通じてトレンチに流れ込んでいるからです。この高濃度汚染水がもれ、それにふれた汚染地下水が1日最大600d、海に流出しています。
海だった場所
実は、このトレンチがある敷地部分は海岸の埋め立て地。もともと地盤として軟弱で、地震にも弱いことが関係者の話ではっきりしてきました。
1969年に東電の福島原子力建設所次長(当時)が専門誌にこんな寄稿をしていました。 「浚渫(しゅんせつ)土を利用して発電所前面海域を一部埋立ててポンプ室、放水路等の発電所施設を設けている」
東電の土木部門元幹部も証言します。
「たしかにトレンチがあるタービン建屋から海にかけての敷地は、海だったところを埋め立てた場所だ」
埋め立て地にトレンチがあるとどうなるのか―。
元幹部は続けます。
「埋め立て地は軟弱地層でそこで地震がおきれば、トレンチがずれることや壊れることは十分に予想できる。そもそもトレンチに汚染水がたまるということ自体が“想定外”だ。それが分かっていたなら埋め立て地にトレンチを走らせない」
原発所長を経験した別の東電元幹部はトレンチの構造の問題点を指摘します。
「トレンチはコンクリート製で防水性はない。地震でトレンチがずれたら、たまった汚染水が地下に漏れるのは当然」
漏れた汚染水が海に流出する理由についてゼネコン元幹部は説明します。
「埋め立て地は地盤が軟弱なため、汚染水は簡単に海に流れ出る。“ツーツー”と言ってもよいぐらいだ」
東電資料(8月23日公表)でも、埋め立て地盤では1日約2.4bも地下水が移動すると試算しています。トレンチから汚染水が漏出すれば、すぐに海へ流れ出る危険性が高いというのです。
対策は先送り
現に原発事故直後の2011年4月には、トレンチから約520jもの汚染水が海に噴き出しました。
この直後に東電は「(汚染水の)流出ルートを特定し、再発防止策を検討・実施」としていましたが、肝心のトレンチからの汚染水抜き取りは7年後まで先送りしました。
東電の尾野昌之原子力・立地本部長代理も「トレンチから汚染水が漏れ出す危険性は承知していたが、対策の順番としては後のほうだった」と認めています。
安倍首相が本部長の原子力災害対策本部は3日、汚染水の対処方針を決定。「トレンチ内の汚染水を除
去する」としているものの、具体策は東電まかせです。
全国総点検を
トレンチが埋め立て地にある問題は、福島第1原発だけにとどまりません。
原発業界団体の幹部は明かします。
「日本の原発は海岸線につくっている。敷地の前の部分を埋め立てて使うのは一般的で、ほとんどの原発でトレンチは埋め立て地にある。総点検が必要だ」
ところが、7月に施行された原子力規制委員会の新規制基準では、この間題にふれていません。
「あくまでも福島第1原発事故までいかないようにする基準です。あそこまで壊れたらどうするかは決まっていない」と規制委の担当者は説明します。
関西電力は2日、稼働中の大飯原発(福井県おおい町)3号機の運転を定期検査のため停止する作業を開始。全国50基の原発の中で唯一稼働をつづける同4号機も15日には停止し、再び稼働中の原発がゼロの状況が生まれます。
現実に起こっている汚染水漏れに有効な対策すら講じられないまま安倍政権が原発の再稼働につきすすむことは許されません。
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原発の再稽働は論外です
元東芝の原子力技術者 後藤政志さん
いまの原発は、原子炉格納容器から事故で大量に放射能がもれたら、それを封じ込める構造ではありません。問題のトレンチもそうです。
原子力規制委員会がまとめた原発の新規制基準は、放射能汚染水が漏れ出す事態への対処は記されていません。このような状況で、原発の再稼働をすすめることは論外です。
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