http://www.asyura2.com/13/genpatu33/msg/414.html
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ここ数日、関東を中心に連日のように竜巻が発生し、家屋等にて甚大な被害が発生している。となると自然と懸念されるのが、311でガタガタになったフクシマ原発に竜巻が直撃した際の影響であるが、大手マスコミ報道ではその「竜巻リスク」への言及は皆無である。政府はどうかというと、官房長官の菅義偉が「竜巻予測や防災体制について内閣府に抜本的な見直しを行うよう指示したい」「本年度、来年度で竜巻注意情報の予測精度向上のため、全国二十カ所の気象レーダーの整備を行っていく」と”通り一遍”のコメントを述べるのみで、やはり「竜巻リスク」への言及はないという現状である。
当事者たる東電に至っては、以下のゲンダイ記事にあるように、「竜巻リスク」を問われても「竜巻に特化した荷重設定はしていない。それぞれの設備については建築基準法に基づいて設計し、安全性に支障がないことを確認している」(広報担当者)と相変わらずの”危機意識ゼロ”の回答をする始末である。ここ数日、連日のようにテレビ等にて報道されている竜巻の映像をご覧になった方であれば、「“ハリボテ”の福島第1原発なんてひとたまりもない」ということは容易に想像がつくであろう。
東電広報は「建築基準法に基づいて設計」とのすっ呆けた回答をしているが、今の福1のズタボロとなった建屋に、建基法に定められた設計強度が保たれているはずなどなく、それ以前の問題として、建基法には「竜巻リスク」に関する構造基準などそもそも定められていないというのが実情である。では、誰もフクシマ原発の「竜巻リスク」を指摘していないのかと言えば、そんなことはない。
以下のブルームバーグ記事をご覧いただければわかるように、昨年6月の段階で、原子力安全・保安院の「意見聴取会」という公(おおやけ)の場にて、委員の1人である工藤和彦・九州大学特任教授が、以下のとおりその危険性を指摘しているのである。「3号機と4号機の使用済み燃料プールは今、むき出しの状態のため、つくばを襲ったような竜巻が直撃すれば、使用済み燃料プールの水が巻き上げられる可能性がある」「原子炉を解体し廃炉にするまでは何十年もの長期にわたるため、例え短期的には可能性が極端に低いとしても、東電は余震や津波だけではなく竜巻や大型台風に対する対策をとる必要がある」
この指摘に対して、東電の松本純一原子力・立地本部長代理が、「今後福島地区、浜通りでどういった竜巻が起こりうるのかを調べていく必要はあろうかと思うが、現在、何か活動し始めることはない」とコメントしているように、廃炉に要する期間が40年以上に及ぶと想定されているにも拘らず、東電は相変わらず”危機意識ゼロ”の有様である。この東電の”危機意識ゼロ”体質こそが、「津波対策」のための対策費用をケチるに至り、その結果、フクシマ原発にて未曾有の大事故を引き起こすという致命的な結果を招いたのである。
否、東電のみならず、311以前にこれを許してきた監督官庁たる経産省ら霞ヶ関官僚も”同罪”であり、さらには、2006年の国会を振り返ると、当時首相であった安倍晋三自身が吉井英勝議員から提言された「巨大地震に対する原発事故予防対策」を完全否定しているのであるから、安倍晋三も自民党も完全に”共犯”であろう。
※参考「衆議院議員吉井英勝君提出巨大地震の発生に伴う安全機能の喪失など原発の危険から国民の安全を守ることに関する質問に対する答弁書」
http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b165256.htm
で、「竜巻リスク」に話を戻すと、以下のブルームバーグ記事にて田村幸雄・東京工芸大学教授が指摘している「健全な原発でもパイプや送電ケーブルに竜巻がぶつかって配電や配管関係がやられると、福島同様の大事故につながる可能性」という点についても、公の場にてもっと具体に議論されて然るべき話であろう。
世間では間もなく決定される2020年五輪開催地に東京が選出されるか否かに気をとられているようであるが、自らの目の前で明日にも竜巻が発生するやも知れず、大量の使用済み核燃料を抱えるフクシマ原発4号機に万が一にでも竜巻が直撃すれば、その影響が東京を含む首都圏全域にまで及ぶというのに、「思考停止」している場合ではないだろうというのが率直な感想である。
福島第1原発4号機の核燃料プールが崩壊し、1533本の燃料棒にもしものことがあれば、地元は無論、首都圏住民にまで避難勧告が出され「日本は終わり」だという差し迫った問題に対し、我々国民は「現実逃避」「思考停止」せず、きちんと向き合うことが肝要であろう。先に述べたように「いざという時は、政府もお役所(官僚)も誰も国民を守る気などない」ということをいい加減、自身の問題として認識すべきであろうというのが個人的見解である。
(転載開始)
◆福島原発に「竜巻」の恐怖、東電は危機意識ゼロ 2013年9月4日 ゲンダイネット
○現地で相次ぐ注意警報
「あの竜巻が福島第1原発を直撃したら……」不安を感じた人も多いんじゃないか。2日に埼玉、千葉を襲った竜巻は、頑丈にできている中学校の体育館の屋根まで吹き飛ばしていた。福島地方気象台は1日に、「竜巻注意情報」を2回発表している。3日も、「雷と突風に関する気象情報」を発表して、「落雷、竜巻などの激しい突風、ひょう、急な強い雨」に注意を呼びかけていた。福島で竜巻が吹き荒れる可能性は十分にあるのだ。実際、福島第1原発に程近い南相馬市では2010年に、小規模の突風が起き、ビニールハウス9棟に被害が出ている。
気象庁によると、いまは地表付近が夏、上空が秋という状態で、寒暖差が激しく、竜巻のもとになる積乱雲が発生しやすい状況が全国的に続いているという。「福島? 竜巻は、日本全国どこでも起こり得ます。とりわけ台風シーズンの9月、そして沿岸部で多く確認されていますね」(同庁担当者)心配になって東京電力に問い合わせたら、「竜巻に特化した荷重設定はしていません。それぞれの設備については建築基準法に基づいて設計し、安全性に支障がないことを確認しています」(広報担当者)とのこと。
<燃料棒1533本が大気中で燃え出す>
何とも心もとない。今回の竜巻で被害に遭った600棟以上の建物だって、建築基準法に基づいて建てられたはず。それでも、体育館の屋根まで吹き飛んだわけだ。“ハリボテ”の福島第1原発なんてひとたまりもないだろう。核廃絶を目指して活動を行っている元駐スイス大使の村田光平氏は、昨年3月の参院予算委公聴会で、こんなことを言っていた。
「(福島第1原発4号機の)核燃料プールが崩壊し、1533本の燃料棒が大気中で燃え出した場合、果てしない放射能が放出される。もちろん、東京は住めなくなる」首都圏5000万人が避難する大パニック――悪夢が現実になる恐れは十分にある。「竜巻に限らず、台風もある。ゲリラ豪雨もあり得るのに、東電がどういう具体策を講じているのか、まったく見えてこないし、基準が甘すぎます。最悪の事態を想定しているとは、とても思えません」(ジャーナリスト・横田一氏)竜巻より何より、東電の危機意識のなさが一番怖い。
◆福島第一原発、竜巻が来ても大丈夫か−専門家の間で懸念
2012/06/22 17:44 ブルームバーグ
「東京電力 ・福島第一原子力発電所を秒速100メートルを超える竜巻が来たらどうなるのか」。専門家の間で使用済み核燃料プールがむき出し状態になっている上に、施設内タンクに貯蔵している汚染水が満杯の原発の危機管理対策を問う声が高まっている。
今週、台風4号が日本列島を縦断したが、1カ月前には、福島第一原発から約170キロメートル南西の茨城県つくばで竜巻が発生、長さ17キロメートル、幅500メートルにわたって被害をもたらした。男子中学生1人が死亡したほか、約50人の負傷者、住宅約300戸に被害が出た。専門家の中には、竜巻が発生した場合、水素爆発で建屋の屋根部分が吹き飛ばされた使用済み核燃料プールへの影響を懸念する声が出ている。
九州大学の工藤和彦特任教授(原子力工学)は「3号機と4号機の使用済み燃料プールは今、むき出しの状態」のため、つくばを襲ったような竜巻が直撃すれば、使用済み燃料プールの水が巻き上げられる可能性があるとの懸念を示した。工藤氏は原子力安全・保安院の意見聴取会でこの懸念を東電側に伝えたという。
工藤氏は、原子炉を解体し廃炉にするまでは何十年もの長期にわたるため、例え短期的には可能性が極端に低いとしても、東電は余震や津波だけではなく竜巻や大型台風に対する対策をとる必要があると主張した。工藤氏は東電の信頼性向上対策に係る実施計画に関する意見聴取会の12人の委員のうちの1人。
○竜巻リスク
東電の松本純一原子力・立地本部長代理は5月7日、記者団に対し「今後福島地区、浜通りでどういった竜巻が起こりうるのか、ということも含めて調べていく必要はあろうかと思っているが、現在、何か活動し始めることはない」と述べた。気象庁によると、間部の多い日本の場合、竜巻は海岸線沿いで発生する傾向がある。竜巻が最も発生するのは9、10月。
日本気象協会の下山紀夫気象予報士はインタビューで、「つくばの竜巻が珍しいのではなくて、最近はこういった竜巻、ダウンバースト(下降噴流)、突風被害が増えている」と語り、原因として温暖化などに伴い大気が不安定になっていることを挙げた。2010年の竜巻発生件数は37件で、気象庁が突風や竜巻に関する調査を強化した07年以降では最高だった。米気候データセンターによると、国土が日本の約25倍の米国では、1991年から2010年までの間に年間平均1253件の竜巻が起きている。
○放射能汚染水
九州大学の工藤教授によると、福島第一原発で懸念されるもう一つのリスクは施設内で貯蔵されている放射能汚染水の存在。炉心溶融を起こした原子炉を冷却化するために大量の水が注入されているが、大部分が原子炉建屋の地下に漏れている。東電によると、約10万トンの高濃度のたまり水が福島第一原発に存在する。この高濃度汚染水を除染する中で出てきた「濃縮塩水」には 高濃度のストロンチウムが含まれており、原発敷地のタンクに貯蔵するほかない。これが14万トン以上存在する。
東電が5月12日に保安院に提出した報告書によると、9月末までに「多核種除去設備」の設置を行い濃縮塩水に含まれているストロンチウムなどの放射性物質を除去することで、15年9月までに全ての濃縮水を処理するとしている。福島第一原発を現地視察したことがある工藤氏によると、原発敷地内は「タンクが林立」している。「竜巻で倒壊とか、本体壊れないまでも、つないでるホース類とか一番弱いところが壊れて、大量に漏れ出してそれが広がっていく」恐れがあると述べた。
東電広報の小畑新司氏は電話で、東電はタンクの周囲にせきを設置するなど必要な対策を検討中だと述べた。小畑氏によると、5月30日時点で、福島第一原発敷地内には858基のタンクがある。東電の試算によると、昨年3月26日から9月30日の間に1万1000テラベレルのヨウ素131、7100テラベクレルのセシウム134・137が海に放出された。
○設計リスク
東京工芸大学の田村幸雄教授(耐風工学)の調査によると、つくばを襲った竜巻の風速は局所的に100メートルを超えた可能性があった。田村氏は「昔から竜巻というのは日本の建物の設計に考えられてない。1つの建物に着目したとに建物に遭遇する確率は4万年に1回程度。それに対して設計をするのは不経済」のためだと述べた。日本で発生する竜巻の多くは沿岸部で、そこには原発や液化天然ガス(LNG)ターミナルがあり、竜巻などによる強風に対する安全基準を強化すべきだと強調する。
田村氏は「原子力発電所が健全な状態でもパイプや送電ケーブルにぶつかったりというのは十分考えられる。そういったことによって配電や配管関係がやられると、今回の福島の事故の例を見ると大きな事故につながる可能性」もあると指摘した。(転載終了)
http://blog.goo.ne.jp/tarutaru22/e/4bc646090bbccaec961cea8e9524dcff
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