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株式日記と経済展望
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国が前面に出るといっても、現場のことになると東電に「お前らで解決しろ」
と言っているだけだ。東電にはそんな対応能力はない。大前研一
2013年9月2日 月曜日
◆原発汚染水、実は自民も対策とらず… 現場のことは東電任せ 9月1日 大前研一
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20130901/dms1309010728005-n1.htm
東京電力福島第1原発の貯蔵タンクから高濃度の放射性物質を含んだ汚染水300トンが漏れた問題は、非常に深刻だ。海に流れた汚染水が黒潮に乗って流れてくることを、(ビキニやエニウェトクで大規模な原水爆の実験をやって太平洋を汚染した自分たちの歴史を忘れたかのように)米国も大々的に報じている。
タンクに貯蔵されている汚染水は、原子炉建屋へ流入した地下水と、核燃料の溶けた冷却水が混じったもの。1日に約400トンも発生して、2日半でタンク1基が満杯になってしまう。タンクを2日半に1基ずつ作ったとしても、もう敷地もないという状況だ。海に行かないようにするという防御策も難しい。
抜本的な解決策としては、単純に冷却水を循環させて使うことが一番いい。現在、懸命に冷却水を濾過(ろか)しているが、これを汚染されたまま温度だけ下げる方法、つまり熱交換器を入れることに切り替えたほうがいい。
ただ、この方法も、工事をしなくてはならない原子炉建屋の中の放射線量が人間が近づけないようなレベルになっているので、非常に難しい。
原発事故後、私は世界中から専門家を集めて事態にあたることを政府に進言した。しかし、これはまったく実現していない。当時の民主党政権は自分たちで収束できると思っていた。
一方、自民党政権も実は何もやっていない。私は自民党の政調会で50人以上の議員を前にして、政権奪取後100日以内に原発事故の対策を国民に発表するよう求めた。「これをやらないと、原発再稼働に賛成する国民は増えない」と言った。
このとき、「では、この人とこの人を原発事故担当にします」と言ってきたのだが、それらの担当者は今日に至るまで、まったくその仕事をしていない。
私は東電の原子力改革監視委員会の委員だったが、メンバーに元米国原子力規制委員長のデール・クライン氏らがいた。これに加えて、現場をよく知る人材を世界中から集めて“ドリーム・チーム”を作ることができたら、今回のような問題が起きても、いろいろなアイデアが出てきたと思う。
茂木敏充経済産業相は26日、福島原発視察後に「汚染水対策はモグラたたきのような状況。今後は国が前面に出る」と語り、今年度予算の予備費を緊急投入することを明らかにした。さらに、経産省に汚染水対策担当の局長級ポストを新設し、東電に対しタンクの管理体制強化や水漏れしにくいタイプへの切り替えなど5項目を指示した。
しかし、国が前面に出るといっても、現場のことになると東電に「お前らで解決しろ」と言っているだけだ。東電にはそんな対応能力はない。
米国には放射能に対応できる海兵隊(CBIRF)やフォートレオナードウッドの訓練機構がある。こうしたところで特殊な訓練を受けた人の助けを借りたり、ロボットに熱交換器を入れさせたりするぐらいのことをやらないといけないと思う。
■ビジネス・ブレークスルー(スカパー!557チャンネル)の番組「大前研一ライブ」から抜粋。
(私のコメント)
「株式日記」では原子力発電所は、民間の電力会社では無理だから国営にすべきだと書いてきました。いったん大災害が起きれば民間の電力会社では復旧対策が取れない。莫大な補償も支払うことは無理だろう。民間の電力会社ではどうしても採算性を重視して安全対策がお座なりになるからだ。
アメリカも民間の電力会社が運営していますが、実質的には軍が管理している。フランスは国営公社が運営しているし、どうして国営化が検討されないのだろうか? 今までも管理運営がずさんで問題化して担当者が何人も代わってきた。監督官庁も電力会社の天下り先となり管理監督が馴れ合いになってきた。
自民党政権に代わって福島の原発復旧対策が何か変わったのだろうか? 原発担当も山本一太氏や石原のぶてる氏がなっていますが、一向に事態が改善しない。山本氏や石原氏が特別に原発に詳しいわけでもなく、福島の災害現場で陣頭指揮を執っているわけでもなく、汚染水のタンクの水漏れで海に流れ込んでいますが、石原担当大臣の顔が見えない。
要するに東電に何とかしろと言っているだけで何もしていないようだ。少子化担当大臣も担当者は居ても何の対策も出来ずにただの飾り物にしている。予算も権限も人材もいないのでは何もできませんが、世界中から専門家を集めて対策を講じていくべきだ。今までの非常時対応から本格的な復旧対策が望まれますが、原子炉内部の様子すら見る事も出来ないでいる。
地下水が流れ込んでいるようですが、それを汲み上げてタンクに貯めていたらタンクがいくらあっても足りないだろう。大前氏が提案しているように汚染水をそのまま循環させてしまえばタンクに貯める必要も無くなりますが、大規模な工事がいる。しかし放射線量が高いから近づく事も出来ない。だから遠隔操作できる作業用ロボットが必要です。
事故を起こした原発は冷やし続けなければなりませんが、汚染水が貯まるばかりで貯水タンクばかり作り続けている。中には水漏れを起こすタンクもあって放射線量が高くなる事故が起きている。根本的には地下水が流れ込まないように原子炉の地下をコンクリートを流し込んで固める必要がありますが、そのような工事をしている気配がない。トンネル工事で使われているようなコンクリで固める作業をなぜしないのだろうか?
問題は復旧工事に作業する作業員の確保も大事であり、線量が限界に達した人は現場から立ち去らなければならない。その為には壊れた原子炉建屋を完全に覆う必要がありますが、まだ一号機が覆う作業ができただけだ。工事は遅々として進みませんが、工事がどうなっているのかもマスコミはなかなか取材できないようだ。東電や政府の秘密主義が取材を邪魔しているようだ。
周辺地域の除染もなかなか進みませんが、除染作業員の確保もなかなか難しく、被爆がどうなるかわからないから応募者も少ない。結局は雨などによって水で流されて海に流れていくのでしょうが、ヘドロなどに沈殿したらそこが高い線量を発することになる。だから関東周辺のヘドロが貯まれば高い線量になる。しかしそのヘドロをどこに処分すればいいのだろうか?
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