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2013年6月4日
安倍晋三首相は5月29日、首相官邸でインドのシン首相と会談した。会談によって得られた重要な成果の一つは、原子力協定の交渉加速の合意だ。これは本来ならば日印両国の需要であるが、原爆の被害に今も苦しみ続ける日本国民にとって、安倍首相による原発および関連技術の積極的な輸出は紛れもなく「危険の輸出」であり、懸念と疑問の声が後を絶たない。中国青年報が伝えた。
◆原発輸出、政治・経済面の利益
原子力協定は、国家間の関連技術の平和利用を認める協定だ。日印の原子力協定が締結された場合、日本はインドに原発および関連技術を輸出できるようになる。
日印の原子力協定の交渉は2010年6月に始まり、3回の正式な会談を実施した。その後、2011年3月11日の東日本大震災による福島原発事故で、交渉の中断が余儀なくされた。
日本メディアの報道によると、日本は世界トップクラスの最も安全な原発技術を持っているが、福島原発事故により短期内に原発の規模を拡大できないどころか、既存の原発の再稼働でさえ困難だ。一方でインドなどの新興経済国は経済発展に伴い、電力不足の問題が普遍化しており、厳しい情勢を迎えているため、原発の切実な需要が存在する。
日本にとって、1基の原子炉は数千億円規模の受注に等しいだけでなく、同プロジェクトを通じて自国の原子力技術を維持し、人材を育成し、国内資源を活性化できる。そのため日本の電力大手は、原発および関連技術の輸出に強い意欲を示している。安倍政権はこれを国家発展戦略に盛り込み、電力業界・産業界から称賛を浴びている。
推計によると、インドは2025年に中国を抜き、世界最多の人口を持つ大国になる。インドの国家経済が高度成長を実現し、電力不足が深刻化する。インドで稼働中の原子炉は20基に達するが、そのほぼすべてが小型の原子炉で、総発電量の2%をまかなうのみだ。インドは今後10年間で25基の原子炉の建設を予定しており、2030年に原発による発電量を現在の13倍に引き上げる。インドはさらに日本の大型原子炉技術の導入を優先戦略としており、切実な需要と高い関心が伺える。
日本にとって、インドの原発市場は10兆円弱の富を秘めた宝の山であり、何が何でも手放すわけにはいかない。米・仏・露・韓などはインドの原発市場の競争で先行しており、インドと原子力協定を締結している。しかし、日本の原発技術は米仏で建設された大型原子炉に幅広く導入されているため、日印が原子力協定を締結しなければ、米仏もインドへの原発および関連技術の輸出が実現しがたい。そのため米仏は共同の利益を鑑み、インドに「核兵器不拡散条約」(NPT)と「包括的核実験禁止条約」(CTBT)への加入を促すよう、日本を裏から支援する可能性がある。
また日本の一部メディアは、安全保障の意義および中国けん制の戦略的な考慮から、インドは日本にとって重要な存在だと指摘した。インドという「未来の大国」との関係強化は、日本経済に多くの利益をもたらすばかりでなく、日本のアジアにおける地位を高められるというのだ。
◆日本の原発輸出、課題が山積
しかし安倍首相の原発および関連技術の輸出に対する意欲は、日本国内の深い懸念を覆い隠すことはできない。
まず、原発再稼働により、日本は電力体制の改革のチャンスを失うことになる。一部の日本メディアは、福島原発事故による原発の全面的な稼働停止は、日本の電力産業と制度に改革のチャンスをもたらしたと指摘した。震災後2年余りに渡り、日本国内では高効率の火力発電および浮体式洋上風力発電の導入が試みられた。国が関連インフラの整備に大規模な投資を行えば、同様に電力産業と経済の成長を促せる。これとは反対に、政府が原発への回帰に固執するならば、腐敗した電力体制を打破できず、新たな電力産業を競争に参与させることもできない。既存の地方割拠の体制を維持すれば、日本の電力産業の自由競争は話にもならない。既得利権者の原発再稼働の呼び声ばかりに耳を傾ければ、改革のチャンスを失ってしまうだろう。
次に、核兵器不拡散の理念を前にして、自らの成果を放棄することは困難だ。朝日新聞は6月1日の記事で、「福島原発の問題は解決にはほど遠い。世界は日本がこの重大問題を処理するに当たり、どのような道を選択するかに注目している」と主張した。朝日新聞はまた、インドはNPTとCTBTに加入していないと、早くも指摘した。原子力供給国グループ(NSG、当時は日本などの45カ国が含まれた)は2008年、米国の圧力を受けてインドへの各技術の提供に同意し、米国のインドへの原発輸出に向けて「青信号」を出した。
日印が交渉を開始した2010年に、長崎平和宣言は「原爆の被害国である日本は、自らNPT制度を形骸化しており、到底受け入れられない」と鋭く指摘していた。再び核により深刻な被害を受けた日本国民は、日本がNPTを損ねる道に戻ることを希望していない。
米・露・英・仏・中などの主要核兵器保有国は核兵器削減に取り組んでおり、平和発展を目的とする原子力技術の提供を通じ、その他の国家に核兵器の放棄を促している。しかし日本がNPTに加入していないインドに対して原発を輸出すれば、関連国の「NPTを順守しなくても核技術を獲得できる」という心理を助長することになる。そうなれば、日本が国際社会と心を一つにして、朝鮮に対して核兵器の放棄を呼びかける立場と政策を貫く自信は、どこから得られるというのだろうか。また日本がインドを上手く説得し、上述した2つの条約に加入させられるかについても、今のところどちらとも言えない状況だ。
時事通信社は6月2日、インドのシン首相は5月31日、帰国中の航空機内で随行した記者に対して、「近い将来、日本と原子力協定を締結できることに期待している」と語った。記者から「2014年の総選挙前に締結する可能性はないか」と質問されると、シン首相は「今回の訪日は、同目標に向けた正式な措置だ」と回答した。ここからも、シン首相は政治的な需要と日程に基づき同協定の締結を急いでいることが分かるが、情勢が望みどおりになるかについては不明だ。
それから、いわゆる「最も安全な技術」が、大自然の破壊力の前で幻に変わってしまった。福島第一原発の深刻な汚染物質漏えいは発生からすでに2年余りが経過するが、福島県内では16万人の被災者が今も「避難生活」を送っているという基本的な事実がある。破壊された原子炉の廃炉もまた、遠い先の話だ。汚染水の漏えいにより汚染が拡大しており、冷却システムの突然の停電により核燃料の冷却が停止した。また茨城県東海村の核実験室で放射性物質の漏えいが発生し、30数名の研究者が被曝した。これらの重大事故の事実により、人々は懸念を抱かざるを得なくなっている。
毎日新聞は5月28日の記事で、「安倍首相の現在の言行を見ると、すでに福島原発事故を忘れているかのようで、原発輸出の商売のためあちこちを駆けずり回っている」と指摘した。東京新聞は5月30日の記事で、「原発技術輸出の問題で、安倍首相はインドに対して原子力協定の交渉に同意し、経済を福島原発事故の教訓より優先的な位置に据えた」と報じた。北海道新聞は5月31日の記事で、「安倍首相は国会で、福島原発事故には調査と原因究明が必要な部分が依然として存在するとしながら、日本は海外に世界一流の安全な原発技術を輸出できると熱心にPRしており、矛盾している」と指摘した。
また一部の日本メディアは、「安倍首相はこの2カ月間の首脳外交の場を借り、トルコ、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、インドなどに日本の原発および関連技術を大々的にPRしている。しかし周知の通り、トルコは日本と同じく地震多発国であり、中東の政局も不安定だ」と懸念を禁じえなかった。
広島市の松井一實市長はさらに、「(日印原子力協定の)交渉再開の中止以外に選択肢はない」と言い切った。
(編集YF)
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