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(原発利権を追う 立地のまちへ:上)裏仕事、自責の告白 疑惑、なお向き合わぬ東電【朝日新聞】
(原発利権を追う 東電OBの告白:中)あり得ない金額だった【朝日新聞】
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(原発利権を追う 東電OBの告白:下)きれいごとでは済まぬ
朝日新聞デジタル 2013年8月30日
http://digital.asahi.com/articles/TKY201308290641.html
東京電力元社員の今井澄雄氏(64)は原発と歩んだ人生だった。隠し事を重ねた後悔の中に時折、原発史を支えた自負がのぞく。
「波に耐える港湾建設など土木技術者としてやりがいのある仕事は多く、原発に愛着を感じてきた。建設業者と一緒に地元対策の裏仕事もこなした。きれいごとでは済まされない」
1974年から10年在籍した柏崎刈羽原発の建設事務所では、激しい反対運動への対応を迫られた。
「国主催の説明会は国だけで運営できない。東電が会場作りを建設業者に手配していた。東電が表で費用を出すわけにいかず、別の工事費名目で払ったんです」
福島第二原発では選挙支援もした。
「国会議員から地方議員まで選挙が近くなると、ゼネコンの下請け幹部らに名簿作りを頼みました」
03年、退職後の人生を選ぶ時、今井氏が希望したのは、原発の地元対策を東電の代わりに担う白川司郎氏のもとで働くことだった。
「おっさんのもとで、東電の中ではできないことができるような気がした」
今井氏は30時間超のインタビューで何度も「おっさん」と呼んだ。側近たちは親しみを込めてそう呼んでいたという。
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退職後は西松建設のコンサルタント会社に雇われ、白川氏の下で働く日安建設社長の田渕真人氏から頻繁に声がかかった。田渕氏から頼まれたのは、東電発注工事の情報を集めたり、分析したりすることだった。
「05〜06年ごろ、青森の東通原発1号機の新設工事で土木工事の割り振り案を作るよう頼まれた。ゼネコンに希望を募り、契約を担当する東電資材部に口利きするための資料でした」
資材部は東電発注の工事で業者を選び、工事費も決める。ゼネコンへの影響力は絶大だ。西松建設が東通原発の工事約14億円を受注した時、今井氏は西松幹部から「田渕さんのおかげ」と電話をもらったという。
「資材部の幹部には、日安建設から新橋演舞場のチケットを定期的にもらったり、飲食接待を受けたりしている人も複数いました」
今井氏の証言を裏付ける話を、東電の関連会社「関電工」出身の元日安建設幹部からも得た。東電の資材部長は日安側から芝居や野球のチケットを年に数回ずつ受け取っていたという。
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今井氏が白川氏らと距離を置いたのは、06年夏の東京地検特捜部の捜査が契機だ。当時、白川氏らが立ち上げた競輪場外車券売り場(兵庫県)に勤めていた。
「検事から『身の潔白を証明するなら仕事を辞めるぐらいの姿勢がないと信じられない』と言われ、辞めました。白川さんは引き留めませんでした」
今井氏は白川氏を魅力的な人物と評し、使ってもらって感謝しているという。東電のことも「先輩、後輩のつながりがよく面倒見のいい会社。愛着の気持ちを残している」と話す。
だが、原発事故で心の中の何かが変わった。もう昔の自分には戻れない。
「原発存続、脱原発のどちらを選ぶにしても、利権構造の問題を考えた上で判断すべきです。裏でかかるコストに納得できるか、それをなくすにはどうしたらいいか。東電が隠したりうそをついたりしたことに私は協力してきましたが、このままでは原子力への不信は消えません」
■田渕氏、口利きを否定
田渕氏は東電資材部への口利きや幹部へのチケット提供、飲食接待を否定。白川氏も原発に絡む地元対策への関与を否定した。
東電は口利きは受けていないとし、「社外の方と社会通念を逸脱するお付き合いはしていない」。西松建設は口利きについて「そのような事実はない」と回答した。
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