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(原発利権を追う 東電OBの告白:中)あり得ない金額だった
朝日新聞デジタル 2013年8月29日
http://digital.asahi.com/articles/TKY201308280865.html
東京電力元社員の今井澄雄氏(64)が、原発の地元対策を東電の代わりに担う白川司郎氏と初めて会ったのは、1997年に本店から福島第二原発に異動して間もなくだ。現場責任者を務める原発の土砂処理事業について、上司から「白川さんの質問に答えるように」と指示され、都心にある白川氏の事務所へ向かった。
「白川さんが東電役員と親しいとは聞いていましたが、最初、どういう人かはよく分からなかった」
白川氏が代表取締役を務めた警備会社の子会社「日安建設」社長、田渕真人氏が土砂処理事業に関心を示し、福島第二に出入りしていた。その話から彼の上に白川氏がいると知った。
「怒らせると大変」と聞いていたが、白川氏は穏やかな口調で「原発から取り除いた土砂を埋め立てる時、有害物質の問題は生じないか」と尋ねた。説明をすると、すぐに納得してくれた。話し上手だった。
*
今井氏が白川氏と初対面した97年ごろは、いわき市久之浜地区に土砂を運ぶ計画が進んでいた。東電が準大手ゼネコン「熊谷組」に発注し、98年夏に運び出しが始まった。
「福島第二に常駐する熊谷組幹部が慌てて相談に来た。『発注額が高すぎる。こんなにもらって申し訳ない。いいんですか』と」
東電本店の資材部が示した発注額は約11億円。確かに、現場責任者の今井氏も驚く高額だった。
「あり得ない、初めての金額なんです」
今井氏の声は一瞬たかぶったが、すぐに戻った。東電には独自の工事費の出し方があるという。
「東電の発注工事費は設計変更などの資金を取っておくため、普通は予算額より5%以上減らします。それでも公共工事に比べると業者の利益は十分。ところが、この11億円は予算額の99%でした。予算作りを長年してきたが、見たことがない」
驚きは続く。今井氏が名簿に見かけない名前があると尋ねると、熊谷組幹部は「日安建設が出した人。裏でJV(共同企業体)を組む」と答えた。白川氏の関係会社「日安建設」が、現場責任者の今井氏も知らないうちに参入していたのだ。工事費の7割は熊谷組へ、3割は日安建設へ分割された。
「日安建設は現場事務所に数人雇っただけ。工事費約3億円のうち、下請けに回す以外の多くは利益になったと聞いた」
*
東電はこの後、福島県小高町(現南相馬市)にも土砂を運ぶ事業を00〜02年に約69億円で発注。下請けの水谷建設から日安建設への約2億4千万円はリベートだと国税当局に指摘された。東京地検特捜部が捜査に乗り出し、今井氏も事情聴取されることになる。
「この工事費も東電の予算額の97〜98%。元請けの前田建設工業の幹部からこの時も金額が高すぎるけどいいかと言われました」
工事費を巡る今井氏のこの証言を、水谷建設元役員も認めた。日安建設側から強い要請があり、事業に入れたという。
今井氏は、東電役員と親しい白川氏の関係会社であることに配慮して高額で発注されたと感じていた。福島第二に来る日安建設社長の田渕氏に上司の指示でタクシー券を渡す厚遇もした。しばらくして、日安建設が破格の扱いを受けるのは、原発施設の地元対策を担っているためだと確信する。
「田渕さんは、使用済み核燃料の中間貯蔵施設の立地に関わっていると話していた。最初は種子島、後からむつの話が出てきた」
当時、日安建設が鹿児島県の種子島で地権者に接触したり、青森県むつ市長を東電幹部に会わせたりしたことは、先月の連載「原発利権を追う〜立地のまちへ」で伝えた。東電が電気料金収入に支えられた潤沢な工事費を使い、種子島とむつの地元対策の見返りを福島で与えた構図だ。
■白川氏、事業の関与を否定
白川氏は土砂処理事業への関与や今井氏とのやりとりを否定。田渕氏は日安建設の事業に問題はなく、中間貯蔵施設の立地対策を進めたことを否定した。東電は「市況価格・設計などに基づく価格査定をしており問題ない」。熊谷組は「回答を差し控える」、前田建設工業は「回答しかねる」とした。
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投稿者 gataro 日時 2013 年 8 月 28 日 08:14:34: KbIx4LOvH6Ccw
- ↑ (原発利権を追う 東電OBの告白:中)あり得ない金額だった(朝日新聞) gataro 2013/8/29 12:00:20
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