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原子力の研究開発でいま力を入れるべきことは何か。文部科学省は最も重要なポイントがわかっていないのではないか。
問題続きの日本原子力研究開発機構について、文科省が改革の基本方針をまとめた。
依然として、高速増殖原型炉「もんじゅ」を中心とした核燃料サイクルの研究開発を、優先業務の一つに掲げている。
的外れもはなはだしい。福島の原発事故の影響を直視し、一日も早く幻想を捨てて政策を転換すべきだ。
そもそも原子力機構が抜本改革を求められたのは、もんじゅで大量の機器点検もれが発覚したためだった。
文科省の方針では、もんじゅを民間の原発にならった「発電所」組織に改組し、運転管理には電力会社から出向などで加わってもらうという。
だが、もんじゅは実用化以前の原型炉である。研究開発段階でのトラブルが最大のリスクである施設に、ルーチン化した運転管理の専門家をあてるのは、ちぐはぐのきわみだ。
報告を受けた原子力規制委員会では「我が国の原子力を支える研究機関としての自覚とほこりが感じられない」など、厳しい批判が相次いだ。田中俊一委員長は、出身母体でもある原子力機構の現状に、「大変なときに規制委に役に立っているかというと、きわめて不満が残る」と述べた。
原発事故は、原子力の研究開発に関する優先順位を一変させた。最も急がれるのは、文科省も指摘する通り、放射能汚染水の拡大防止など福島第一原発の事故対応だ。ヒト・モノ・カネの集中投入で、現在の危機的状況を改善しなければならない。
一方、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す核燃料サイクルは、多くの原発が稼働することが前提になる。
だが、事故の反省にもとづく規制強化で、原発の多数稼働はもうありえない。見通しの立たないもんじゅにかまけることはただちにやめ、事故対応や安全規制に役立つ技術開発と人材育成に全力をつくすべきだ。
これは、文科省だけの問題ではない。事故から2年半が過ぎようとしているのに、原子力政策全体をどう改めていくのかをまったく示していない政府全体の責任である。
原発事故で核燃料サイクル政策が崩壊している現実から目をそらしていては、眼前の危機への対応も遅れるばかりだ。
安倍政権は、事故対応を中核にすえ、脱原発への見取り図を早急に示さなければならない。
http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_gnavi#Edit1
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