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福島第一原発汚染水海洋拡散問題はそんなに深刻か?
福島第一原発事故での汚染水の海洋への拡散問題が深刻だと言われている。しかし、それについて疑問に思う。
1.福島第一原発事故などの原発事故の恐ろしさの一つは、何年間か運転した結果大量に発生している半減期の短い放射性物質が環境中へ漏れ出しそれが生物に影響を与えることだ。ところが既に事故後2年以上経過している。事故時に大量に存在していた半減期の短い強い放射能を持つ物質のかなりの割合は既に崩壊して存在しなくなっている。(連続核分裂によって、100種類程度の放射性物質が発生する。これらのかなりのものが半減期が数秒から数十年というもので高レベル核廃棄物の過半を占める。)
2.太平洋戦争後、いくつかの国が海洋核実験をやり、海中や海上で原爆や水爆を爆発させている。これらはどれも直接何キロから何十キロ、またはそれもよりもずっと大量に放射性物質を海洋中へばらまいてきている。「核爆発では核出力1キロトンにつきおよそ60gの核分裂生成物が生じる」ということで、アメリカは太平洋核実験場で150メガトン程度の核実験をしてきているので10トン程度は海洋へ核分裂生成物をばらまいたことになる。多分これが原因で昭和の40年代以降海辺の生物が激減したはずだが、日本近海から遠洋での漁業はずっと続けられてきたし、諸外国も同様だ。
3.原発事故での放射性物質の拡散の影響は空中と海中では人間に与える程度がかなり異なる。放射性微粒子は空中では地表近くを拡散し、一度地上に降下したものでも風で舞い上がり呼吸で肺へ取り込まれる。大気中核実験が繰り返されたが、あれは高熱の影響で成層圏にまで上昇し世界中へ拡散したため濃度が薄まったことと、エアロゾルと言ってもより小さな、そしてベクレル量の少ない微粒子として大気中へ拡散したためたとえ肺に取り込まれてもそれほどひどい影響は、原爆事故に比べてなかったはず。原発事故では、爆発した噴煙がせいぜい高度数千メートルとか程度で水平方向へ拡散し、すぐに人間の生活圏へ降下するため、かなり濃度が高い。また、エアロゾルも比較的低温で生成するため粒子が大きくなりやすくベクレル量の大きい微粒子になることが多い。だから肺へ取り込まれるとかなりの影響を与えるはずだ。また、地表へ降り積もったものは、生物が普通地上で活動するため、動植物を通じて人間に影響を与えてしまう。海洋への放射性物質の拡散は、海水密度がほぼ深さに関係なく均一であることから、時間はかかるだろうが、ほぼ立体的に拡散し、濃度はかなり薄くなる。また、微粒子の大きなものは海底に沈殿し、そこから影響を受ける生物は限られる。だから、海生生物はある程度の影響を受けるだろうが、福島原発の近くを除いてあまり神経質になって海産物を選別する必要はないと思う。
4.福島第一原発事故の場合、地下の土壌中を通って海へ漏れているものがかなりあるようだ。トレンチなどへはゼオライトなどの吸着材が既に投入されているだろうし、もともと土壌を構成する微粒子にある程度セシウムなどを吸着する性質がある。少なくとも、プルトニウムなどの微粒子の多くは、土壌中を長距離移動することはなく、途中で土壌に付着するような形で移動を止めると思う。
5.ともかく、福島第一原発事故は非常に深刻で規模が大きいものだが、それでも原子炉4基分の核燃料だ。また、30年とか40年、または100年以上かかってもともかくメルトダウンした核燃料を取り出して改めてちゃんと処分する予定だ。日本中にある50基以上の原子炉の核燃料とかまたは世界中にある400基以上の原子炉からの核燃料とはまず量がかなり異なるし、そもそも永久的に地下へ埋設処分するということではない。だから、高レベル核廃棄物の地層処分とは根本的に意味が異なる。
よって、福島第一原発事故による汚染水問題は、いま世間で話題になっているほど深刻なものだとは思えない。それよりも甲状腺検査を全国的にやるべきだし、福島県内の汚染のひどいところから少なくとも学童の避難をさせるべきではないだろうか。
なお、福島第一原発で作業をされる方たちにとってはかなりの線量を浴びることになり深刻な影響があるのは確かなこと。また、近隣の地下水への影響もあると思う。
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