http://www.asyura2.com/13/genpatu33/msg/198.html
Tweet |
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-4703.html
放射能汚染水に対する日本政府の危機感の無さこそが最悪のレベル7
東京電力福島第一原発の汚染水漏れについて、一つメモ。まず、最新の報道と、ここ半月ほどに出たいくつかの新聞社説です。いくつもの件の報道や社説で高い見識を示していることから私は日本一の新聞であると判断している琉球新報、福島地元とその近くの地元ということで福島民友と河北新報、日本の首都の地方紙であり「こちら特報部」などのページで重要問題について突っ込んだ報道をするなどの貴重な努力を見せる東京新聞の四紙の社説を記録します。
●東京新聞(TOKYO Web)
タンク汚染水漏れ 堰の排水弁すべて開放 海に流出可能性大
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013082202000149.html
2013年8月22日 朝刊
東京電力福島第一原発のタンクから三百トンの汚染水が漏れた問題で、東電は、ほとんどのタンク群の周りに水を食い止めるコンクリート製の堰(せき)を設けたのに排水弁をすべて開けていたことが分かった。今回の漏出事故では、大量の汚染水が排水弁から堰の外に漏れ、土のうを越え、近くの排水溝から海に汚染が広がった可能性が高い。
汚染水漏れが起きたタンク群には、二十六基のタンクがあり、これを囲む堰の二十四カ所に弁が設置されている。東電は、汚染水が漏れても広がらないよう堰を設けたが、堰内に雨水がたまると汚染水漏れが発見しにくくなるとして、弁を開いたままにして雨水が抜けるようにしていた。
しかし、弁が開いていたことで、漏れた汚染水は簡単に堰の外に出た。外部には土のうが積んであったが、土に染み込むなどしてその外側に漏れ出した。
二十一日には、問題のタンク群から排水溝に向かって水が流れた跡が見つかったほか、排水溝内でも汚染水が土砂とともに流れた跡が見つかった。放射線量も毎時六ミリシーベルトと高かった。排水溝は海に直結していることから、汚染水が海に流れた可能性は低いとしていた東電も、海洋汚染があることを前提に対応していく考えを示した。
排水弁が閉まり、コンクリート堰内に汚染水がたまる運用をしていれば、三百トンのうち半分以上は堰内にとどまった上、水が漏れているのを早期に発見できた可能性が高い。
原子力規制委員会は今回の事故を国際的な評価尺度で上から五番目のレベル3と評価することを検討しているが、その大きな理由として「安全防護層が残されていない」ことを挙げている。二十一日夜に開かれた汚染水対策を検討する同委の作業部会で、更田豊志(ふけたとよし)委員は、弁が開いていたことに関し、「何のための堰なのか。たまった水が雨水だと確認できてから弁を開けるのが、まっとうなやり方だ」と厳しく批判した。
(転載ここまで)
ここからは四紙の社説です。
●琉球新報 - 沖縄の新聞、地域のニュース
福島原発汚染水 総力挙げて具体策急げ
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-210790-storytopic-11.html
2013年8月9日
原発事故はまだ収束していないことがはっきりした。
政府は東京電力福島第1原発の敷地内から毎日300トンの汚染水が海に流失しているとの試算を初めて明らかにした。事故直後からずっと流出している可能性があり、事態は極めて深刻だ。
問題が発生するたびに、もぐらたたきのように対症療法的な対応が繰り返された。もはや一刻の猶予も許されない。政府と東電は、国内外の英知を集めて具体的で実効性のある抜本的対策を打ち出すべきだ。
汚染水問題は突然発生したのではない。京大原子炉実験所の小出裕章助教は事故発生直後から、原子炉建屋のコンクリートがひび割れ、高濃度汚染水が漏れて敷地内にたまっていると指摘し、地下ダムのような遮水壁を造ることを提唱していた。
しかし政府と東電は、敷地内に大量にたまり続ける汚染水対策を怠り、2011年12年に当時の野田佳彦首相が原発の「事故収束」を宣言してしまった。無責任な政治によって多大な犠牲が強いられることになったのである。
海に流出した放射性セシウム137は黒潮に乗って東へ拡散した後、北太平洋を時計回りに循環するという。福島第1原発の沖合には、セシウム137の濃度が周辺より2〜10倍以上高い「ホットスポット」が存在する。
広範囲にわたる魚介類への影響は深刻であり、操業再開を心待ちにしている漁業者と加工など水産業従事者に対する裏切りではないか。韓国では日本産の水産物の安全性に不安が高まり、全面的な輸入禁止を求めるデモが起きている。新たな風評被害が懸念される。
今回の政府の試算は根拠が乏しく、流出している水の汚染の程度を示せないままだ。1日の流出量も単純計算にすぎない。事故から2年5カ月たっても、原子炉内がどうなっているのかなど全体像がつかめていない。
日本も批准している国連海洋法条約により、海洋環境の保全の努力が義務付けられている。汚染水を流出させ続けることは、条約に反することになり国際問題になりかねない。
茂木敏充経済産業相は「ほとんど対策が取られなかった」と民主党政権を批判するが、安倍政権でも対策が遅れている。原発再稼働の審査を中止し総力を挙げて汚染水問題に取り組むべきだ。
(転載ここまで)
●みんゆうNet −社説・福島民友新聞社−
汚染水300トン海洋流出/実態掌握し早急に抜本策を
http://www.minyu-net.com/shasetsu/syasetu/130809s.html
2013年8月9日
東京電力福島第1原発から海に汚染水が流出している問題で、政府は第1〜4号機周辺で山側から海側に1日約1000トンの地下水の流れがあることを明らかにし、このうち約300トン(ドラム缶1500本相当)が海に流れ出ているとの試算を公表した。震災と原発事故から2年5カ月が過ぎようとする中、極めて憂慮すべき事態と言わざるを得ない。
政府と東電は、護岸近くで地下水をくみ上げて流出量を減らすとしているが、完全に防ぐのは困難とみられる。事故を起こした1〜4号機の周囲の土を凍らせる「凍土遮水壁」も着工から完成までは早くて2年程度かかる上に前例のない工事になる見通しで、効果は未知数といえる。政府と東電は実態を把握し、抜本的な対策を早急に講じるべきだ。
汚染水問題ではこれまで1日約400トンの地下水が原子炉建屋に流れ込み、冷却水と混じって汚染されていることが示されてきただけだ。今回の公表では、1日当たり1000トンの地下水の流れから、原子炉建屋に流れ込んでいる400トンを差し引いた600トンのうち300トンが、電源ケーブルが通る地下道(トレンチ)などにたまっている高濃度の汚染水と混ざり海に流れ出ていると試算された。残りの300トンは汚染されずに海に流れているという。
政府が根拠としたのは東電が9日から始める地下水のくみ上げ量。地下水が上昇している1、2号機の海側敷地に井戸を掘って1日100トンの地下水をくみ上げ他の2カ所にも井戸を掘る計画だが、政府は1カ所のくみ上げ量を単純に3倍して海への流出量を試算したにすぎない。流出が事故直後から続いている可能性も否定できないとし汚染濃度も公表していない。漏出元や地下水の汚染範囲も特定できていないという。
さらに詳細な試算が求められる。敷地内の地下水位を継続的に計測するデータを活用するなど、政府は科学的に地下水の状況をつかむ必要がある。抜本的な対策を講じるためには、敷地を通過する地下水の流れの全体像を把握し、汚染水の実態を総合的に捉えることが急務だ。
政府は凍土遮水壁の関連費用を来年度予算の概算要求に盛り込む検討を始めた。汚染水対策に一歩踏み出した格好だが、着工までには時間がかかる。東電は薬剤による地盤改良工事が完了すれば、流出量が1日約60トンまで減るとしているが、くみ上げた水は当面、敷地内でタンクにためるという。原子炉建屋に流入している地下水の処理もタンク保管に頼っており、保管計画も見直さなければならない。
汚染水の海洋流出問題では本県沖の試験操業のめどが立たなくなった。国際問題にも発展する可能性がある。避難住民の帰還や復興に大きく関わる。対策を急ぐべきだ。
(転載ここまで)
●河北新報 コルネット
福島原発汚染水/拡散防止策は国の責任だ
http://www.kahoku.co.jp/shasetsu/2013/08/20130817s01.htm
2013年08月17日土曜日
福島第1原発の放射性汚染水対策で国がようやく動きだした。汚染水の海への流出が明らかになり、重い腰を上げた形だ。
汚染水問題に対して国はこれまで危機意識がなさすぎた。国が関与しても流出防止は極めて難しいことに変わりはないが、東京電力の手に負えない状況も明らか。国が前面に出て対策を講じていくしか道はない。
その場しのぎでなく根本的な解決策を探るためには、原子力プラントや汚染除去の技術者はもちろん、地質や地下水の専門家らも幅広く結集して当たらなけれならない。
国は早く「司令塔」の役割を担う組織を立ち上げて放射性物質の拡散状況などを調べ、長期的な対策をまとめるべきだ。
国策として原子力利用を推進し、その揚げ句に過酷な福島第1原発事故が起きた。土壌や海洋の汚染を防ぐ最終的な責任は間違いなく国にある。
国によると、福島第1原発1〜4号機とその周辺には、1日に約千トンの地下水が入り込んでいるという。そのうちの約400トンが原子炉建屋地下などに流入し、溶け落ちた核燃料の冷却水と混じり合っているが、取りあえず回収されている。
残り600トンのうち300トンは汚染されずにそのまま海に出ているが、300トンは「トレンチ」と呼ばれる地下道に入ってから海に流出している。トレンチ内には、原発事故当初から高濃度の放射性物質が含まれた汚染水がたまっている。
結局、毎日700トンの汚染水が発生し、うち300トンは海に流出、400トンは回収して保管していることになる。
地下水の流入防止策として地盤を凍らせる「凍土遮水壁」が検討されており、国はその費用を2014年度予算に計上する方向だという。予算化されれば汚染水対策への初の国費投入になるが、それだけで済む状況ではない。
まず、原発敷地内の地下水の経路や水位を徹底的に調べるべきだ。東日本大震災の揺れによって地下の状況が変化していることも考えられるだろう。
同時に設備の損傷が地下水流入をもたらしていないかどうか、詳しく調査しなければならない。いずれも東電の資料や説明をうのみにせず、しかるべき専門家にあらためてきちんと確認してもらう必要がある。
根本的な対策は、そうしたデータを集めてから検討した方がいい。応急処置はもちろんその都度進めるべきだが、恒久的な対策は効果を慎重に評価してから決定するのが望ましい。
汚染水の保管も重大な問題だ。海洋投棄ができなければ、いずれ原発敷地外や県外への移送も検討せざるを得ない。その場合、国の役割が欠かせない。
福島第1原発事故の後始末は並大抵のことではないにもかかわらず、国の危機意識は乏しかった。「廃炉対策の推進」は訴えても、掛け声にすぎなかった。もはや破綻の瀬戸際にあると深刻に受け止め、具体策をまとめて国民に説明すべきだ。
(転載ここまで)
●東京新聞(TOKYO Web)
レベル3相当 新しい事故に等しい
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013082202000152.html
2013年8月22日
たかが水漏れと侮っていたのだろうか。レベル3。大事故に重なる大事故と言っていい。福島第一原発内で大量の高濃度汚染水が漏れていた。止められる見込みもついていない。国は無責任すぎないか。
これは新しい事故である。
それも、ただの事故ではない。原子力規制委員会は、国際的な尺度(INES)に合わせたこの事故の重大性の暫定評価をレベル1からレベル3まで引き上げる。
レベル3は「重大な異常事象」と定義され、レベル4以上が「事故」ということになっている。
しかし、一般の常識に照らせばそれは重大な事故であり、人災ではないのだろうか。
レベル7の「深刻な事故」に分類される福島原発は、収束に向かうどころか、大事故の上に大事故を日常的に重ねている状態だ。
これでは漁師たちだけでなく、周辺住民もたまらない。
汚染水漏れを起こしたとみられるタンクは、二年前から応急的に導入された「フランジ型」と呼ばれるタイプである。
鋼鉄の板をつなぎ合わせてボルトで留めたもの。つなぎ目はゴムパッキンで埋めてある。水漏れの危険があることは素人にも分かる。近づくだけで人の命が危険になるような、高濃度汚染水の保管場所とは思えない。二十五メートルプール一杯分もの水漏れを見逃していたずさんな管理体制のこともある。そのうち、海へ流せばいいと、高をくくっていたのではないか。
国際的な影響も出た。
韓国のアシアナ航空は十月以降、ソウル−福島間のチャーター便の運航を止めるという。このままだと波紋はさまざまに広がりかねない。
溶接型のタンクを一基造るのに数カ月かかるとか、周囲を凍土壁で囲むのに一〜二年かかるとか、費用を負担するのは誰かとか、そんな悠長なことを言っている場合ではないはずだ。
内外の不安に対してもっと真剣な危機感を持って対策を急いでもらいたい。レベル3の事故を何とかせねば、レベル7を収拾できるはずもない。
国民の東電への不信は、さらに高まった。今や政府への不信も募りかねない。
産・官・学の総力を挙げて地下水の流入箇所と流出場所を突き止め、ふさぐ努力をしてほしい。
今この瞬間にもタンクから漏れ出ていくのは、この国の安全と信用なのである。
(転載ここまで)
最後の東京新聞の結びの一文が良い指摘だと思いました。『今この瞬間にもタンクから漏れ出ていくのは、この国の安全と信用なのである。』全くその通りです。被害の広がりを隠したり見ないふりをしたりしながら、被害や汚染を心配する人々を「デマを流すな」、「風評被害だ」という攻撃で黙らせることによって被害は知らないうちに広がるのです。そのことへの日本政府の危機感の無さ、日本人の忘れっぽさは恐るべきことです。
特に恐るべきなのは日本政府の危機感の無さです。一般人には毎日の生活があり、普通の人には、毎日毎日「原発反対」と叫ぶデモに参加したり、毎日毎日食品の放射能汚染データをチェックしたり、毎日毎日政治運動をしたりする暇はありません。しかし、日本政府は、日本の住民の生活を向上させ、日本の住民の安全や安心を保障することを仕事にしているはずであり、そこで働いている公務員や、そしてもちろん、与野党の政治家も、その重要な「仕事」をすることによって生活をしているのです。その重要な仕事をしようとしない日本政府や特に自公与党の政治家の危機感の無さはレベル7の重大さです。
そんな日本政府が現在もくろみ、秋にも国会に提出するのが、「国家秘密保全法」。国民の安全に関する情報を堂々と隠すことを可能にして、政府としての責任を取らずにすむようにするはたらきをする法律です。国家秘密保全法が成立したら、いずれ、放射能汚染についての最も重大な情報も隠されることは想像にかたくありません。日本の民主主義は完全に死に、多くの日本国民も日本の民主主義の死と運命をともにすることになるでしょう。絶対に反対しなければなりません。
放射能汚染に危機感がない日本政府や自公政権は、その一方で日本民主主義を窒息死させようとしています。
日本政府や特に自公与党の政治家は、一億人以上の日本の住民がデモでも始めないと放射能汚染への危機感を持つことができないとでもいうのでしょうか。
●国会議員への投書のための「議員名簿」→http://www.eda-jp.com/link/link1.html
●マスメディアへの投書のための「News for the people in Japan」マスメディア問い合わせ用リンク集→http://www.news-pj.net/link/media.html
●他の社会系ブログに行くにはうちの「私的リンク集 (適宜更新)」経由で→http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-136.html
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。