07. 2013年8月22日 15:51:12
: TO9ayBZiQQ
http://fairewinds.org/media/fairewinds-videos/forty-good-years-and-one-bad-day 松村昭雄:
ありがとうアーニー。先ほど私は政治指導者について触れましたが、昨年私は2度日本を訪問し、福島第一原発の問題は国家的危機であること、国家の危機は、単に技術に頼ることでも、民間企業に頼る問題でもないということ、これは日本だけに留まらず世界に影響を及ぼす重大かつ深刻な問題であるということを、政治指導者達に伝えてきました。この点が第一。 そして次に、事故以来あなたは、プールの中に膨大に汚染された水の入っている原子炉4号基の危険性について警告を繰り返してこられましたが、最近、3号基に関する懸念もとりあげています。3号基に関するあなたの新たに懸念する点について、4号基の問題と比較しながらご説明いただけますか? アーニー: 福島第一原発は現在不安定なままですが、大きな地震に見舞われない限りはまだ大丈夫だと思います。地震の起りがちな国で、地震が起らないことにかけているのですから、それは大きな「もし」です。私のここでいっている地震とは、マグニチュード7程の原発近くで起きるもののことです。現在、福島第一原発には3つの大きな問題があります。
問題のひとつ、それは発電所内の数百基のタンクに貯蔵されている膨大な量の放射能汚染水です。東京電力は福島第一原発の敷地内において、どんな放射性物質が存在しているかを明らかにしていませんが、汚染水のタンク内には膨大な量の放射性物質があることは疑いなく、発電所の敷地外にいる人々の被爆量がとても高いことは間違いありません。そのことは、タンク内で制動放射と呼ばれる現象と放射性物質の崩壊が高い値のエックス線を原発外部に放出していると言えます。それは、タンクには極めて高い値の放射性があることを意味しており、しかも万が一に地震があった場合、これらのどのタンクにも耐震性がないのです。 そう、大地震が発生すれば、700以上あるタンクから高濃度の汚染水が漏れ出して、発電所の地面をつたい、太平洋に流れ込むことになるのです。貯蔵されている汚染水の量は、これまで太平洋に流れ出した汚染水の量を上回っています。ですから、第1番目の問題とは、地震発生により貯蔵タンク内の汚染水が外部に出てしまうことです。 第2番目は、ここ数年私が懸念し続けてきた問題で、原子炉4号基の構造に関わる問題です。 現在4号基の使用済燃料プールには、最も多量で最も温度の高い使用済燃料があるのです。ですから、4号基使用済燃料プールの冷却機能喪失が、燃料プールの火災へと繋がり、国土の広大な放射能汚染へと展開する可能性があります。火災発生の危険性は、時間とともに核燃料の温度が下がるので、同時に減少していくことになります。ただ、まだそこまでは行ってないのですが、もしプールから水がなくなったとしても燃料火災が起きないかもしれない温度に、近づきつつあります。但し、それは燃料が損なわれずに完全な状態でいることが条件です。もし地震が燃料をひずまし崩れた場合には、今言ったような希望はなくなります。燃料が損壊し冷却されなければ火災を起こすところまで温度は上昇します。 しかし第三番目のこと、それが昭雄、あなたの言った3号基の問題です。3号基は4号基よりも燃料は少ない。それは良いことです。でも悪いニュースは、3号基は4号基よりもはるかにその損傷が大きいということです。もし4号基がマグニチュード7の地震を乗り越えられても、3号基はおそらく無理でしょう。3号基が燃料はいくらか少なくても構造的にダメになるリスクが高いのです。建物は核爆発の衝撃波に見舞われた損壊のせいで、3号基の構造的問題が、急速に第一原発最大のリスクと成り得ることが、私の心に今でも掛かっています。この影響は恐ろしく大きなものです。日本があたかも戦争で戦うように戦わねばならぬような大きなものです。 戦争をするのに、予算にのっとってなんてことは誰もしません。でもそれが福島で起きていることなのだと私は思います。東京電力には限られた資金しかありません。そして彼らはその限られた資金で彼らにできるベストを尽くしているのです。日本政府、政府は(福島事故収束の為に)使用できる十分な資金がないという、この問題の根本に直面するよりは東京電力に責任を押し付ける方が、はるかに楽なのです。そうです。もし歴史上にかつて無い程の大きな産業事故を収束させるつもりがあるなら、収束する為の資金は必要になります。 しかし、政府と東京電力、そのどちらもが、この福島第一の災害が日本の国にどれほど大きな負債を追い込ませたかということを、国民に解って欲しくはないのだと、私は思います。現場と県のクリーンアップには、おそらく50兆円から75兆円の負債を抱えることになると、私は思います。 松村昭雄 : 今、福島で起きている環境問題と健康問題を解決するための、本当に最良の方法とはいったいどんなものなのでしょう? アーニー: 私の考え方では、福島問題には根本にふたつの難問があると思います。第一は原子炉の中へと流れこみ続ける地下水のこと。思い出してください、地震の後、太平洋岸一帯が約3フィート(90センチ)沈下したことを。日本は90センチ沈んだのです。
もし貴方が建物だとして、いきなり90センチ沈下したら床に亀裂が入りますよね。そこで今もっと大切なことは、建物の基礎部に地下水の圧力が更にかかるということなのです。ですから福島第一のこれらの原子炉に水が大量に流れ込んでいるのです。毎日400トンの水が。もし、建物がきれいで放射能がないのであれば、それも問題ではありません。ただ、洪水させておけばいい。水はどこにも行かないのですから。 でも問題は、格納容器に穴が開いていることです。格納容器には貫通部がいくつかあります。配線が出入りしてた所、パイプが出入りしていた所です。そしてそれらの貫通部での絶縁体は高い放射能、高熱、に対するようには設計されていません。それが海水にさらされる等という事は誰一人考えませんでした。ところが、これら3つの全てが福島第一原発では起きてしまい、貫通部は全て不全になってしまったのです。ですから、原子炉の中に格納されている筈だった放射能が今そうした穴を通じて、他の建物へと水が流れていく場所に漏れていってるのです。影響として、核燃料の破片、小さな粉のような核燃料が、建物の床の上で膨大な量の放射性汚染水に溶け込んでいるのです。 ですから、選択肢は二つ。 入っていく水を止めるか、放射能の出て行くのを止めるかです。いずれも難しいことです。私は福島の現場の周辺に堀を作ることを提案します。その堀をゼオライトというもので埋めるのです。ゼオライトは火山性の物質です。放射能をよく吸収します。日本の科学者、中村興一博士はその堀の外に井戸を掘り、水位を下げることを提案していました。そうです、水位を下げることができれば、ゼオライトの堀が放射能が井戸へと入り込むことを防ぐので、その水はきれいですからポンプで海へと流すことができます。これで基礎部分に亀裂の入った建物の中に入っていく地下水の量を減らすことができると思います。 別の方法は、放射能が外に出て行くのを防ぐことです。さて、馬は既に納屋から出てしまっています。放射線は原子炉格納容器だけでなく他の建物にも行き渡っています。しかし、それでも漏れている穴を塞ぐことは大変重要なことです。漏れている場所を探し出して塞がなければなりません。ところがその対策も、放射線量が驚くほど高い値になってしまている為に、誰かにコーキング剤を持たせて穴を塞いでくるようにと、言えるような状況ではないのです。放射線量はほぼ致死量に近いものです。原子炉から核燃料を取り出すことが優先ですが、それも高放射能レベルの為に、非常に困難なことになります。ですから、毎日400トンずつ増え続ける地下水の流入を止める最良の方法は、地下水面を下げ、それ以上地下水が入り込まないようにすることなのです。 フェアウィンズは福島第一のもつ問題を解決する技術を持つアメリカ国内の企業2社から連絡を受け、この対策を福島第一原発のクリーンアップに実施するよう日本側に働きかけました。しかし日本側はどちらの社の提案も拒絶したのです。私は他にもそのようなことがあったと確信しています。 しかし、現実にゼオライトを敷き詰めた溝を使う技術は、アメリカ国内のウェスト・バレー原子力発電所で実際に使われており、非常に高い効果が証明されているのです。ですから、今私達は、アメリカにおいて証明されているこの効果のある技術を日本で使用することを、日本政府か東京電力どちらかに拒絶された、という状況にあるのです。どちらが拒否したのかは私にはわかりません。 松村昭雄: アーニー、根本にかかわる問題についてのご説明、ありがとうございました。まだまだ本当に多くの問題が残っていると、私も確信しています。この原発事故はかつて人類が経験したことすらない非常な難問を私達に突きつけています。しかし私達は検証を続け、世界の英知を結集することを実現させなければなりません。私には、世界中の知識と技術を結集する以外、解決の方法があるとは思えません。どうか日本とそして世界を救ってください。 アーニー、マギー、ヘレン、皆様のご努力にあらためて感謝申し上げます。
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