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新妻和夫さん
【 福島第一原発の放射能汚染水漏れ、沿岸漁民の生活をさらなる窮地へ 】《前篇》
http://kobajun.chips.jp/?p=13292
2013年8月19日 星の金貨プロジェクト
事故発生から2年以上、事故収束どころか汚染水の漏出すら止められない東京電力に怒りの声
今の状況を見ている限り、福島第一原発の事故は永遠に解決しないように思える
ジャスティン・マッカリー / ザ・ガーディアン(英国)
63歳という年齢にも関わらず、新妻和夫さんはこれから先も漁師としての長い人生を歩んでいくつもりです。
代々の漁師としての血がそうさせるのだと彼が語りました。
80歳になる彼の父親は12歳で初めての漁に出て以来55年を漁師として生き、つい3年前に引退したばかりです。
しかしたとえ体力が許すとしても、新妻さんは太平洋に出てシタビラメ、ヒラメ、アイナメそしてシラスなどを漁獲する機会がこの先二度と無いかもしれないという事を覚悟しています。
東京の北約200キロの場所にある小さな漁師町、久之浜で漁業を営む彼やその仲間の生活を窮地に追い込んでいるもの、それは海岸をもう少し北に行った場所にあります。
そう、福島第一原子力発電所です。
日本政府はつい最近、2011年3月に津波がきっかけとなって巨大事故を引き起こした福島第一原発から、毎日300トンの放射能に汚染された地下水が地中に設置した防護壁を乗り越え、太平洋に流れ込んでいることを明らかにしました。
政府関係者はこの汚染水の流出は、原子炉のメルトダウンという過酷事故直後から続いていた可能性があると語っています。
政府によって公表され、福島第一原発を運営する東京電力も追認した汚染水漏出の事実は、久之浜漁港の40隻の漁船を、港につながれたままにしてしまうことになりそうです。
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汚染水の処理に関する怠慢と失策、そして汚染水漏れの事実をまたも隠蔽しようとした東京電力に対する告発は、18ヵ月前に最早安全な状態を取り戻したとして日本政府が『冷温停止宣言』を行った、福島第一原発の事故収束作業が全く『安定』などしていないことを暴露する結果となりました。
「私は津波発生来、一度も漁に出ていないのです。」
新妻さんは地震と津波により基礎が1メートル沈んでしまった、骨組みだけになった久之浜漁港本館ビルの中に立ってこう語りました。
「消費者の皆さんは食べても安心な魚を購入したいと考えていますが、私たちは今のところ、その願いには応えることが出来ないのです。」
この辺りで獲れた魚に含まれる放射性物質、セシウム134と137の検出値が政府が定めた1キログラム当たり100ベクレルの安全基準値に近いところまで下がって来たという事実も、ほとんど気休めにもならない、新妻さんはそう語ります。
「今の状況を見ている限り、福島第一原発の事故は永遠に解決しないように思えます。そのことについて日本政府と東京電力は、きっちり責任を取る必要があるはずです。」
広瀬直己東京電力社長に宛てた日本漁業協同組合の書簡は、厳しい調子に貫かれ、汚染水の漏出は『日本全国の漁業関係者と日本社会の市民に対する裏切り』であると批判しました。
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日本政府は東北太平洋岸で18,000人の犠牲者を生み、日本史上最悪の原子力発電所事故を引き起こした東日本大震災発生以来、福島県沖での漁業を禁止しています。
以来新妻さんの全長15メートルの漁船末吉丸は、一度も使われたことがありません。
放射性物質で汚染されてしまった海からは一匹の魚も釣り上げることが出来ず、この町の70人の漁師たちは沿岸部のがれき清掃作業によってかろうじて生計を立てています。
彼らは魚を獲ることがありますがそれは市場向けでは無く、臨時に設けられた研究所に持ち込まれ、20キロほど北にある福島第一原発から放出された放射性物質の残留値を検査されます。
東京電力は1日当たり約400トンの水を汚染がひどい原子炉建屋の地下から汲み上げていますが、その量はオリンピックプールをいっぱいにするのに充分な量です。
原子炉建屋の地下では原子炉内部、その奥の方に溶け落ちているとみられる核燃料を冷却し続けるために使われた高濃度の汚染水と地下水が交じり合っていると考えられます。
東京電力は汚染が最もひどい地区について、ケイ酸ナトリウムを土壌に注入して硬化させた壁で取り囲んでおり、回収できなかった汚染水はそこに留まり続けているとして、いかなる汚染水漏れも一貫して否定してきました。
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米国原子力規制委員会と他の専門家は、仮に汚染水が直接福島沖の海に流れ込んでいるとしても、それが太平洋を越えてアメリカにまで影響することはないだろうと語っています。
「たとえ毎日300トンの汚染水が海に流れ込んでいるとしても、広大な太平洋の存在により、アメリカ沿岸では検出不能ということになるでしょう。」
アメリカ原子力規制委員会の広報官、スコット・バーネルがこうコメントしました。
東京電力はもはや汚染水の問題が制御不能になっていることを認めた上で、汚染水の汲み上げ作業と防護壁の強化を徹底して行うと約束しました。
これ以上汚染水が増え続け、それが漏出しないよう、東京電力は2015年7月までに土中に冷却剤を注入し、1〜4号機の周囲長さ1.4キロに渡る防護壁を作りあげる予定です。
初期段階の見積もりでは、この作業を完成させるための費用は400億円に上ります。
日本政府は東京電力が行う原発事故被災者への補償費用、そして廃炉費用などのため、すでに1兆円を超える金額を貸しつけていますが、汚染水漏れの対策のため、再び多額の税金が投入されることになります。
〈後篇に続く〉
http://www.theguardian.com/environment/2013/aug/08/japan-pm-fukushima-leaks?INTCMP=SRCH
【 福島第一原発の放射能汚染水漏れ、沿岸漁民の生活をさらなる窮地へ 】《後篇》
http://kobajun.chips.jp/?p=13295
2013年8月20日
日本の原子力行政は、福島第一原発の安全確保よりも、原発の再稼働手続きの方に重点を置き過ぎていた
ジャスティン・マッカリー / ザ・ガーディアン(英国)
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東京電力が汚染水問題の存在について突然態度を翻したことは、かえって国民の怒りに火を注ぐ結果になりました。
そして東京電力が行っている福島第一原発の事故収束作業の内容について、改めて批判が集まりました。
福島第一原発の事故では大量の放射性物質が放出され、住民160,000人が家を捨て避難を余儀なくされました。
そして福島県の農業と漁業は、立ち直れない程の打撃を被ったのです。
「福島という名前にアレルギー反応を示されてしまうという点では、漁業も農業も同じです。」
久之浜漁協も所属する福島県漁業協同組合の販売部門責任者の新妻隆さんがこのように語りました。
「売ることを目的で魚を獲ったとしても、買ってくれる人など誰もいないのです。汚染は太平洋岸全体の問題であり、福島県に限った問題ではありません。もし東京電力がこれ以上の汚染水の排出を行なえば、今度は世界中から批難が殺到すると思います。」
「福島ブランドの漁業の復活は、私たち漁師にとっては選択の問題ではありません。復活に賭け取り組みだけは続ける、私たちにはそれ以外の選択肢はないのです。」
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日本の安倍首相の原子力発電への支持には、いささかの揺るぎもありませんが、東京電力の汚染水問題解決への約束は、その安倍首相をすら納得させられませんでした。
「福島第一原発の現状、中でも汚染水の問題に対する一般市民の懸念は高まりつつある。」
「これは緊急の対処を要する問題である。東京電力一社に任せておいて良い問題ではない。国としてしっかり対策を講じていく」と安倍首相が語りました。
新たに発足した日本の原子力監視機関である原子力規制委員会も同様の見解を表明し、東京電力の汚染水問題に対する解決能力の欠如を指摘しました。
福島第一原発の事故収束・廃炉作業については、40年間の作業、1兆円の費用という当初の見積もりが撤回されたばかりでした。
原子力規制委員会は「海洋環境を破壊しているという意識が、東京電力には欠落している。」と指摘しました。
「汚染水の漏出は目下の緊急事態です。」
原子力規制委員会において福島第一原発の汚染水漏出の問題を担当する金城信二氏がこう語りました。
そして、以下のように付け加えました。
「汚染水の漏出が、一気に加速される恐れがあります。」
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市民運動を行っている人々は、日本の原子力規制委員会が福島第一原発の状況の安全確保よりも、停止中の国内の原発の再稼働への手続きの方に重点を置き過ぎていたとして批判しました。
「福島第一原発の事故発生から2年以上が過ぎて尚、日本政府は事故の解決に向け一歩も前進できずにいます。」
グリーンピース・ジャパンの高田ひさよさんがこう指摘しました。
「日本政府は原子力産業界に対し、福島第一原発の大災害に対する責任をしっかりと取らせた上で、事故収束について各国の専門家の援助を求める必要があります。」
「福島第一原発からの汚染水の漏出は、海洋生物と日本の漁業に対する深刻な災害です。しかし東京電力はこれまで、この問題について言い逃ればかりを繰り返し、事態の深刻さを過少に報告し続けてきました。」
「東京電力にこの事故の収束を行う能力が欠如していることは明らかであり、全ての面において適切な対応を行うという点において、信頼できません。」
久之浜を津波が襲う数分前、新妻和夫さんを始め多くの漁師が自分の漁船を運転して海に乗り出し、何とか波をやり過ごして漁船を守りました。
それから2年以上が過ぎた今、新妻さんはあの決死の作業も結局は無駄だったのではないかという疑念を振り払うことが出来ずにいます。
かつて新妻さんが獲った魚は高値で取引されていました。
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漁に出ることが出来ない新妻さんは現在、港のがれきの撤去作業と、休業補償によって暮らしを立てざるを得ません。
「福島第一原発の事故は、私たちを何の希望もない暮らしに追いやりました。」
彼はこう語りました。
「以来何も変わってはいません。この先、明るい材料は何もありません。でも私は48年間、漁師を続けてきました。今になってそれをあきらめろと言われて、あきらめられる訳がありません。」
http://www.theguardian.com/environment/2013/aug/08/japan-pm-fukushima-leaks?INTCMP=SRCH
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