06. 2013年8月18日 22:32:22
: FfgNKxoBZo
>>02 taked4700氏の地熱発電論には賛成である。であるが、貴論あまりにストイック過ぎはしまいか。まず、すべて税金で行う必要は無いと思う。地熱開発の規制緩和などを進めるべき。また1000もの施設は必要ないであろう。原発の供給量を全基フル稼働換算してませんか?最近では何故かかつて日本は電力需要の3割を原発で賄っていたことになっているが、08年の電事連のデータでは、原発による供給量は需要の14パーセントとかだったはず。あまりに論がストイック過ぎるとかえって引いてしまう人もいるのではないかという懸念から、taked4700氏が引用している高温岩帯発電(最近ではEGSと呼ばれることも多いので以下EGS)について、より身近なものとしての補足的な紹介を試みたい。 EGSは07年にMITがアメリカのベース電源になり得ると発表して脚光を浴びた発電方法。(*1) 簡単に言えば人工の温泉により発電する技術で、高温の地層まで掘削すればどこでも発電出来る。このEGSについてフランスでちょっとした議論が起こっている。アメリカでEGSの商用利用がスタートしたのを受けてか、フランス政府は2つのEGS開発計画を認可した。ところがこれにフランスの化石燃料勢力が激怒しているのだ。EGSの技術はシェールガスの掘削技術に酷似している。垂直に掘り下げて行ってから水平方向へ井戸を拡張する。ところがフランスでは水平方向への拡張(=シェールガスの採掘)は禁じられている。にもかかわらずEGS計画に認可を与えたため化石燃料勢力が憤慨しているのである。(*2) ちなみにシェールガスやオイルは、日本向けロイターなどが伝えているほどもてはやされている訳ではない。約半数の井戸が12ヶ月で枯渇するためコスト面で難があるからだ。「掘るか死か」(drill or die)とも言われており、オランドは今でもシェール採掘を禁じている。 ところで世界一高温の地層を持つ日本(*3) がなぜEGSに手を出さないのであろうか。実は日本はこの分野では先頭集団の中を走っていた。しかし02年末に研究開発から撤退させられたのである。以下のサイトでは02年まで「高温岩帯発電」として開発が進められていた肘折にある研究拠点が紹介されている。10年以上も前に、従来型地熱発電の平均値である坑井1本あたり2500キロワットの出力を達成しつつ、質素な施設にて10万キロワットもの出力を目論んでいた。しかし撤退を強いられた日本の開発者は、その技術的成果をフランスとオーストラリアに提供したのである。上述の実用化に向かっているフランス版EGSには、日本の開発者達の汗と涙が詰まっているのだ。 ↓東邦大学・山口勉氏による地熱発電の解説 http://www.sci.toho-u.ac.jp/env/topics/017235.html 地熱の排斥が始まったのは、京都議定書締結後にして「もんじゅ」のパンク=核燃料サイクル破綻が決定的となった後の「新エネ法」からだ。なぜ二酸化炭素の削減義務が課せられ、核燃料サイクルが破綻した後に、発電所の建設も含めて最も二酸化炭素の排出が少ない地熱が排斥されなければならないのであろうか。その理由としては、温暖化対策=原発推進の方程式が崩壊することに加えて、原発勢力が純化するのを恐れた面もあるのではないだろうか。内外で地熱開発を行っているのは出光、三井、三菱、JFE等の老舗企業。もし日本が原発から地熱へ移行するとなれば経済界は分裂し、原発の原発による原発のための勢力は純化→カルト化する可能性がある。あといくつの原発が建設可能であるかと、あといくつの地熱発電所が建設可能であるかを天秤にかけてみれば、原発勢力のカルト化も想定できるであろう。資源量、技術、経済的な面においても、地熱発電は原発推進勢力にとって最もデインジャラスな存在なのだ。 それにしてもムラだか何だか知らないが、排斥しなくても良いではないか。EGS撤退は、ほんとうにバカバカしい話だ。 *印の参照サイトは専門的かつ難解(私も良く分からない)なので関心がある方向け。 *1 MIT報告書 「地熱発電の未来ー21世紀のアメリカにおけるEGS発電の衝撃」 MITは、アメリカではEGSにより1億キロワットの出力が可能と算出している。 http://geothermal.inel.gov/publications/future_of_geothermal_energy.pdf *2 もとネタのアドレス紛失のためThinkGeoenergyより関連記事2つ フランスは原発の依存度を減らすための手段として地熱発電を推進。 現在付与された2つのEGSの認可に加えて18のプロジェクト認可を検討中。 http://thinkgeoenergy.com/archives/15328 http://thinkgeoenergy.com/archives/15225 *3 NEDOによる地熱の掘削調査報告 えらい専門的です。 http://www.dpri.kyoto-u.ac.jp/~kazan/12k03/doi.pdf
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