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http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MRHVNA6JTSED01.html
2013/08/14 09:57
東京電力 福島第一原子力発電所の汚染水対策として「凍土遮水壁」が浮上している。地中にパイプで冷却剤を通す方法は1860年代に炭鉱で使われ始めた伝統工法。しかし、完成は2015年で、どれぐらいの費用がかかるのか算定もこれからだ。
経産省資源エネルギー庁の試算によると、福島第一原発からは人体に有害な放射性物質トリチウム、ストロンチウムなどを含んだ汚染水が少なくとも毎日300トン、海に流出している。東電は汚染水対策で常に後手に回り、選択肢も尽きていることから、安倍晋三首相は先週、「汚染水対策は喫緊の課題」として国が対策の前面に出る方針を表明した。経産省は凍土遮水壁について、14年度の予算請求を検討している。
凍土請負業者アークティック・ファウンデーションズ(米アラスカ州)によると、凍土遮水壁は核兵器用のプルトニウムを製造していた米テネシー州のオークリッジ国立研究所で使用された実績がある。
凍土の専門業者モアトレンチ(米ニュージャージー州)のエグゼクティブ・バイスプレジデント、ジョセフ・ソプコ氏は「本当に効果がある唯一の手段であることがしばしばある。ほかに有効な手段がなければ、凍土に飛びつくしかない」と述べた。
実現性は不明
福島第一原発で検討されている凍土遮水壁は全長1.4キロメートルで、完成すれば世界最長。福島第一原発を手掛けた鹿島建設 が14年3月31日までに計画調査を完了することになっている。
計画によると、地中20−40メートルに約1メートル間隔で垂直パイプを埋め、現場の冷凍設備で作った冷却剤を循環させる。これによって凍土壁を作り汚染水の流出水を防ぐ。15年7月から約6年間、土を凍らせる。
チャルノブイリや福島の原発事故を調査しているエネルギー・防衛問題コンサルタント、リチャード・マクファーソン氏は「凍土は請負業者にとって金のなる木だ。地下を凍らせておくだけのエネルギーは無駄になる」と指摘した。
鹿島建設はブルームバーグの取材要請に対し、実証実験についての事業計画が未決定の段階であるとして「これから資源エネルギー庁と詳細な協議を進めていく」と述べるにとどめた。
モアトレンチのソプコ氏によると、凍土はトンネル建設などの一時的な補強工事として一般的に使われている。例としてはニューヨーク2番街の地下鉄、マイアミ港トンネルを挙げた。
菅義偉官房長官は7日の記者会見で、福島第一原発の汚染水対策について「世界に例を見ない大規模なもので、国が一歩前に出る必要がある」と述べた。
原題:Ice Wall Idea Studied to Halt Radioactive Water in Japan:Energy(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:Tokyo Jacob Adelman jadelman1@bloomberg.net;Tokyo Chisaki Watanabe cwatanabe5@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Jason Rogers jrogers73@bloomberg.net
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