山本太郎のこの言葉通りだ。事故を経験した人の実際のつらさはフィクションでないと
伝わらない。体験者の話をリアルに再現することが必要になるからだ。そのための
フィクションである。

悲劇にかんする古代の哲人の言葉通り、これはカタルシスを生み出す。つらさのあとの
開放感といったものだろうか。監督の腕次第だが。

ミルクがおおきな入れ物に入っていた。誰にも言っちゃいけないよと言ってその係りの
人が青酸カリをまぜこんであることを教えてくれたそうだ。

だまして飲ませた兵隊は苦しんで暴れだす。「おまえらこんなことをするのか。人でな
し」と絶叫する兵隊もいる。それを１５，６歳の少女の看護師たちもベテラン看護師と
ともに押さえつける。

つらい経験だったろう。が、これも映画にするのもいい。まだこれは映画でみなくても
わかる話だが、わからないこともある。

丁寧につくられた映画はその場を体験できる。それで見終わったあとは、実際の体験
をしたひととは違い何か開放感を感じるはずだ。こころに重いものが残るのとは
違う映画の快感も感じられるはずだ（入場料を払うのだから悪いことではない）。

いくら丁寧につくられた映画であろうと「その場」なんか体験できないよ。
ばかじゃあるまいし。寝言は寝てからいえ。

私も映画には批判的ですので、総論として、お二方の意見に賛成しますが、
山本さんが何を伝えようとしているのか、みてから評価しようではありませんか。
原発には大反対です。この映画で、原発反対が盛り上がるなら評価します。

映画で実体験を超えるようなリアリティを味わったことのない寂しい人生を送っている
人たちなのか。