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2013/8/6 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
福島原発事故は汚染水の海への流出が止まらず収拾がつかなくなっている。事態を放置すれば、いずれ国際問題になるだろう。もはや東京電力は当事者能力を失っている。
8月2日、筆者は「原発は火力より高い」(岩波ブックレット)を上梓した。その中で、もはや東京電力も日本原電も財務的に破綻しており、根本的な処理の必要性を明らかにした。
もうひとつは、個別原発の発電コストを試算したことだ。計算方法は「コスト等検証委員会」が提出した試算方式を使った。
つまり政府のシミュレーション方式を使って、50基ある原発をひとつずつ個別に発電単価を計算したのである。
40年廃炉を前提にして、この先、稼働できる残存期間をとり、まず原発施設と核燃料の残存簿価、廃炉引当金の不足額、安全投資額を加えて発電単価を計算した。当然、老朽原発ほど単価は高くなる。老朽原発を除いても、原発の発電単価は1キロワットあたり8〜12円で、火力発電と同程度だった。
ちなみに「コスト等検証委員会」が2011年12月に提出した資料によると、石炭火力の発電単価は9・4円、LNG火力は10・7円である。
しかし、「原発ゼロの会」が発表した即時廃炉にすべき28原発の廃炉コストを残りの原発の発電コストに上乗せすると、たちまち発電単価は火力発電を大きく上回ってしまう。
一番ひどいのは、日本原電の東海第2原発で、敦賀原発の廃炉コストを乗せると、1キロワットあたり13・1円から、21・0円に跳ね上がってしまう。発電単価は火力の2倍になるのだ。
東京電力の場合も、福島原発の廃炉コストを上乗せし、さらに4兆円の賠償費用を加えると、柏崎刈羽原発の発電単価は13〜15円に上昇してしまう。賠償・除染費用を加えると、20円前後になる。
東京電力が福島原発の廃炉を決定できない理由がはっきり分かる。
他の電力会社の原発の発電コストも、似たようなものだ。だから28ある危険な原発を廃炉できず、無理にも再稼働しようとするのだ。
原発の発電コストが安いというのは、まったくの嘘である。それどころか、原発は不良債権なのだ。不良債権処理を急がないと、失われた30年がやってくる。
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