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絵=橋本勝
札束とほっぺ 「原発はこうしてふやされた」
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2013年08月04日(日) 鎌田慧 公式ブログ
原発とカネの関係は、日本の「原発体制」特有の負の歴史である。原発地帯のあちこちに、これ見よがしに建っている奇妙な建築物が、「見学センター」などと呼ばれている記念館である。
そこには、上質の紙にカラー印刷された、膨大な数のパンフレットが山と積まれ、原発の宣伝に利用されている。見学センターは、地域の子どもたちにたいする洗脳機関である。テレビや新聞の広告に、どんなに大量のカネをつかっても、それを電気料金に上乗せできる、という9電力会社独占体制の頽廃(たいはい)がふくまれている。
この役にも立ちそうもない記念館とパンフレットにも、頽廃があらわれている。
そのなかでも、もっとも記念碑的なのが、原子力船「むつ」の「母港」にされた、青森県むつ市の市庁舎である。撤退したスーパー・ダイエーを買収した。
広すぎて倉庫事務所のようだが、購入資金は、十五億円。全額、東京電力と日本原子力発電(日本原電、東電などが出資会社)からの寄付である。市役所が丸ごと「東電庁舎」に包摂された。
これまでも、企業城下町の城主(市長)が、大企業の部課長クラス、という例はめずらしくなかった。それは一時代前のエピソードだった。が、いまでは、市が丸ごと原発あてがいぶちの庁舎に収まっている。
わたしは、「原子力発電所」を「金子(きんす)力発電所」ともじったりしてきた(『日本の原発危険地帯』)。カネと原発の歴史において、恥もなく、公然と、東電が自治体を買収する関係になっているのである。
悪魔顔負け 核文明 国家ぐるみの買収は、原発立地自治体に配られる「電源三法交付金」である。まるめていえば、135万キロワットの原発一基(約4500億円)を建設させると、運転開始までの十年間で481億円の交付金がはいる。そのあと、運転開始の翌年からの十年間で交付金、固定資産税などあわせて5百億円がはいる。小さな村に一基だけで二十年間で1千億円がはいるのだから、カネと命の交換である。
この交付金は、隣接自治体にも配られるので、福島や敦賀(福井県)や新潟、下北半島のように、原発が自治体に重なり合っているところでは、どうせ危険なら「立地交付金」のほうが金額が多い、と誘致に走る自治体もあった。
わたしはこれを「毒饅頭」、「毒を食わば皿までも」、「モルヒネ」と表現してきた。電力会社に胸像をつくってもらった元伊方町長もいる。「非民主、非道徳、非人間性」が原発三原則である。この不条理の世界は、人間の社会ではない。
『石をうがつ』講談社、2013年6月28日
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