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http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013073090070217.html
2013年7月30日 07時02分
東京電力福島第一原発で海洋汚染が拡大する恐れが高まっている問題で、汚染源とみられるトレンチ(地下のトンネル)の構造や問題点が見えてきた。ただ、高濃度汚染水がどこにたまっているかなど状況が分かるほどに、あらためて問題の深刻さが浮かび上がる。この問題を打開しなければ、事故収束の道筋は見えてこない。 (小野沢健太)
東電は「海への拡散は限定的」としきりに強調するが、福島第一の専用港内の海水データをみると、ストロンチウムなどの汚染は、ほぼ全ての場所で法令で放出が認められる濃度限度を超えた。取水口近くでは十倍以上の濃度。湾内は除染や覆土などの対策を講じても、かなりの汚染度だ。
汚染源と確実視されるのは、タービン建屋から地下に縦横無尽に延びるトレンチ。海水をくみ上げる配管や、ポンプを制御するケーブルなどが収められている。事故発生当初の二〇一一年四月に高濃度汚染水が漏れた際も主な漏出源で、取水口近くは薬剤(水ガラス)やコンクリートで止水対策が済んだとされていた。しかし、トレンチ内の汚染水そのものは放置されてきた。
二年前に漏れたのは約五百二十トンとされるが、トレンチ内には高濃度汚染水がその二十倍以上の約一万千トンはあるとみられる。
二十七日には、東電が汚染水はたまっていないとしていた浅いトレンチでも、一リットル当たり二三億五〇〇〇万ベクレルの放射性セシウムを含む高濃度汚染水が確認された。トレンチの汚染水量は、増えることが懸念される。
さらに事態を難しくしているのは、建屋地下からもケーブルのすき間などから汚染水がトレンチに流れ込んでいる恐れが高いこと。東電はトレンチの汚染水をくみ出して建屋に戻すことも検討しているが、こんな状況では解決にならない。
原子力規制委員会事務局が二十九日に示した分析では、浅いトレンチの砕石層は海抜二・五メートル以下の高さで、そこには地下水が達し、汚染水が拡散したり漏出したりする危険性が高い。
規制委は、地下水や地層の専門家らでワーキンググループをつくり、汚染水問題に取り組むという。しかし、再度の海洋汚染が確定的になってから。対応の遅れは否めない。
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