48. 2013年7月20日 22:26:54
: d2bKVaYgD6
”活断層ヒステリー”原子力規制委員会の田中俊一委員長は、「原発ゼロ」の狂信者。田中俊一の罷免なしでは、日本は「原発ゼロ」へと突き進む。 福島第一原発由来の放射線量は人体に無害だと今や知れ渡り、”放射線ヒステリー”を土台とした下からの脱原発運動は退潮の極みにある。こうして民意がいずれ冷静さを取り戻すことを見越してか、下野寸前だった民主党は、環境省の外局に独立王国の原子力規制委員会を設け、委員長に筋金入りの反原発の田中俊一を据えた。原子力規制委員会の設置とトップ人事の目的はただひとつ、架空の活断層リスクを煽り、原発再稼働を上から阻止すること。彼らの目的が着々と成就しつつあるが、安倍晋三首相はじめ政権中枢に危機感はない。 「脱原発」の民主党政権は、活断層で原発再稼働を阻止できる原子力規制委員会を残した。 いつの間にか、原子力安全規制の中心に”断層問題”が居座っている。実に不自然で奇異である。 昔から”活”断層問題で執拗に「原発は地震で壊れる」との言動を繰り返してきた元祖・反原発論者達は、「3・11」後に勢いを一気に増した。彼らの主張を丸呑みし、原子力規制委員会の長ながら安全規制そっちのけで脱原発を実践しているのが田中俊一委員長である。 客観的な分析と関係者の間に共有されている、田中俊一が”意識した「反原発」運動家”として、脱原発に突き進んでいる事実を明らかにする。日本国民が活断層の目眩ましから早く目覚めなければ、我が国のエネルギー政策はさらに窮地に陥っていくだろう。 自民党政権の原子力政策は、2012年の年の瀬に茂木敏充経済産業大臣が、就任早々、「未着工の原発の新増設は認めない」という民主党政権の方針を白紙にすると表明したことで、その方向性は明らか。だが、問題になるのは、既設の原発に対して、原子力規制委員会が、その本来の権限を越えて脱原発政策を推し進めるーーいわゆる、『活断層問題』である。一部のメディアは”活断層ドミノ”と面白がっている。 断層や破砕帯が活断層である可能性があるのであれば、いよいよとなればそのことを含めて安全評価をやり直せばいいのだ。そもそも、現行の法のもとでは、原子力規制委員会は活断層の有無をもって、既設の原発の停止や廃炉を命じる権限は端からない。 原子力規制委員会が既設の原子炉に対して出来るのはバックフィット(最新の知見に基づく追加的安全対策)の要請で、その根拠は、設置後に明らかになった新知見である。断層問題の場合の新知見とは、建設当時は見つかっていなかった断層が見つかった、その断層が活断層、破砕帯が活断層と連動して動く、等々である。そして、バックフィットの要請に事業者が応じられるかどうかが、運転継続か停止かの分かれ目になる。事業者が判断するのだ。 しかしながら、このバックフィット制度は、従来の規制にはなかった。新しい安全基準が発効した2013年7月以降に実効性をもってくる。よって、新基準になってから、活断層の可能性のあるものについては、安全評価のやり直しも含めて、じっくりと緻密に取り組めば良いはずであった。 原子力規制委員会が血道を上げていたのは、この新基準が出来る前の言わば”駆け込みダメ出し”。このこと自体が間違い。原子力規制委員会の職務に対する自己否定である。 国会の信任を得ない仮免許状態で、法的根拠がないままに停止や廃止をメディア誘導するのは暴走である。それを今の原子力規制委員会はやっている。この暴走を誰も止められないーー暴走バスの乗客は我々国民。 2012年12月25日に開催された第2回『東京電力福島原子力発電所事故に関し国会及び政府に設けられた委員会の提言のフォローアップに関する有識者会議』で、国会事故調・黒川清委員長は、こう述べている。 「最近私のところには、原子力規制委員会への国際アドバイザーをつとめるメザーブ(リチャード・A・メザーブ、元アメリカ原子力規制委員会委員長)やラコステ(アンドレ・クロード・ラコステ、前フランス原子力安全庁長官)が訪問してきて議論するが、彼らが口を揃えて言うのは『原子力規制委員会は本当にちゃんとやれるのか』だ」と。 つまり、原子力規制委員会が、正しい判断を下すための公正中立な活動をする陣容になっているかどうか、外国の方が日本のために憂慮しているのだ。 権力を笠に着て暴走する原子力規制委員会は、本当に今のまま放置していいのか。 2012年の師走、総選挙での民主党の壊滅的大敗で、菅直人は、権力の座を去った。しかし、政権を追われても、菅直人の残した負の遺産は、日本を「原発ゼロ」に呪縛している。 その1つ、全国の原発の再稼働の条件としたストレステストで、原発は稼働したか。原子力安全委員会が良しとしたのは大飯の3・4号機の2基に過ぎない。 電気事業者は、急遽ストレステストをして、原子力安全・保安院、そして原子力安全委員会に答案を提出した。その労力、積み上げられた報告書の紙は膨大である。保安院の元に審議され上げられた報告書は2000ページにも及ぶ。だが、原子力規制委員会はこの報告書を無視し、今や紙屑同然である。 ストレステストは、「原発ゼロの行政システム」づくりのための時間稼ぎであった。 同様の「原発ゼロの行政システム」は、菅直人が自分の後継者と公言していた細野豪志が完成させた。環境大臣の細野豪志がゴリ押しした人事案によって、2012年9月19日に成った原子力規制委員会の委員長に田中俊一が選ばれたからである。政権が自民党に回帰しても、この「反原発」原子力規制委員会がある限り、日本再生の地盤を揺るがしかねない爆弾であり続ける。 2012年7月3日に民主党政府が出した人事にかかわるガイドライン(要件)は、「反原発」派しか委員になれないようにする偏向人事のためのトリックであった。原子力事業の現役関係者はもとより、直近3年間に原子力事業関係者だった者や、一定額の報酬を受け取っていた者を排除すべきとしていた。結果的に田中俊一ぐらいしか残らない仕組みに初めからしていた。 細野豪志の役割は、このような田中俊一を”委員長”にするに、2011年5月頃から組織的に準備していたのを、国会で無批判で「同意」させることにあった。 原子力規制委員会の委員長・田中俊一と委員長代理・島崎邦彦の所業は、度し難いことに、原子力規制委員会の所掌を逸脱し暴走している。 2012年師走の衆議院選挙終盤からの、原子力規制委員会の専断的行動は常軌を逸している。原子力規制委員会自体が暴走バスになっている。 まず、2012年12月10日に開かれた原子力規制委員会の評価会合の顛末に始まった。断層問題を軸に、断層あるいは破砕帯イコール「活」断層と見立てることをテコとして、どの角度から見ても、「脱原発」に邁進しようとしている。 自民党政権に代わっても、原発ゼロ政策が永久に続くよう、民主党政権が仕組んだ、原子力規制委員会という国家機関の「原発ゼロ」への権能は絶大である。故に、濫用は許されない。どうして自民党や関係者は気づかないのか。 2012年9月19日、国会承認を得ないまま、原子力緊急事態宣言のもとに野田佳彦元首相によって事実上の任命がなされ、原子力規制委員会は発足した。だが、どのような根拠と経緯で田中俊一委員長と4名の原子力規制委員会委員が選任されたかは、何も説明されていない。不透明のままである。 国会は、その権限と義務において、原子力規制委員会の委員が、公正中立か否か、なおかつ高潔であるか否かの審査を入念にすべきである。各委員の科学技術的な資質も徹底的に精査されるべきだ。 衆議院選挙で圧倒的な勝利を収めた自民党は、原子力規制委員会の「同意」問題を国会の場で改めて審議する姿勢を見せていない。安倍晋三自民党総裁は、選挙後のフジテレビの番組で原子力規制委員会の人事には手を付けないとの発言をした。そして、2012年12月25日、首班指名の前日に自民党と公明党は連立政権合意を発表した。その第4項には以下のように記されてている。 4、原発・エネルギー政策 原発の再稼働については、国際基準に沿って安全第一主義を徹底した原子力規制委員会の専門的知見の判断による。同時に、省エネルギー、再生可能エネルギーの加速的な導入や火力発電の高効率化等の推進によって、可能な限り原発依存度を減らす。 この内容には、自民党は総選挙公約で、”全ての原発について3年以内に再稼働を判断し、10年以内に電源構成のベストミックスを確立する”と明記したこと、そして選挙後に安倍総裁が表明した”原発の新設・増設を否定しない”という見解と微妙なブレが窺える。そもそも、再稼働の国際基準などない。 また、自民党福島県連は、福島県民向けの選挙公約の中で、福島県内の原発は全て廃止すると明言している。もし仮に、法律の定める枠内で、事業者が一連の福島第二原発を稼働するとした場合、自民党本部はどのような対応を見せるのだろうか。菅直人のように超法規的要請という愚行を真似るのか。 さて、前記の第4項の深刻な問題は、原子力規制委員会の委員について憂慮する姿勢を示していないことだ。これは、前政権が極左人士を委員にした人事を同意してしまう大愚行ではないか。実際に、菅義偉官房長官は、2013年1月6日のNHK番組で「同意は1日も早く行うべきだ」とまで述べた。極めて問題なのは、ひとたび国会の同意を得れば、原子力規制委員会は”何人も罷免にできない”のである。今からでも、自民党は田中俊一・原子力規制委員会委員長を罷免できるように対策を講じるべきである。 国会承認を得られず原子力規制委員会委員が罷免されても、それまでに下した判断・施策はそのまま有効性を持つ。原子力規制委員会が前のめりになって暴走する背景には、原子力規制委員会が独立性の極めて高い「三条委員会」であることにある。委員長は天皇が認証する、閣僚級の扱い。 しかも、民主党の劣勢どころか大敗が新聞テレビメディアで伝えられた、総選挙終盤という、選挙結果に影響を与えかねないタイミングでの原子力規制委員会の専断行動を見るに、自民党政権が復帰後に「不同意する」との危惧のもとに駆け込んだのがよく分かる。 ここに来て、原子力規制委員会を「三条委員会」とする修正案をねじ込んだ、谷垣禎一総裁下の自民党の責任は重い。三条委員会は運用を間違えばトンデモない機関になる。自民党は「八条委員会」への格下げも含み見直すべきだ。さもなくば、国家の基盤を毀損する。 三条委員会: 国家行政組織法第3条に基づいて、内閣府や省に外局として設置される第三者組織。庁と同格の独立した行政組織で、独自に規則を制定したり告示を発出する権限を持ち、国家意思の決定を行うことができる。公正取引委員会・国家公安委員会・運輸安全委員会・中央労働委員会・原子力規制委員会など。 八条委員会: 国家行政組織法第8条に基づいて、内閣府や各省庁の内部に設置される、審議会等の第三者組織。法律で定められた所掌事務の範囲内で重要事項に関する調査審議や不服審査などの事務を処理する合議制の機関で、諮問への答申などを主な業務とする。消費者委員会・食品安全委員会・社会保障審議会など。 原子力規制委員会の委員長・田中俊一は2012年9月19日の原子力規制委員会および原子力規制庁発足後の早い段階で会見において原発敷地内の活断層の調査の結果「(活断層か否かが)濃いグレーや黒なら止めていただく」と発言している。 それから3ヶ月を経た2012年12月11日。朝日新聞朝刊の第1面に『敦賀 廃炉の公算大』と大きく報じられた。さらに、「原子炉直下に活断層」「規制委、再稼働認めず」と活字が躍った。原子力規制委員会は、メディアを”活断層あり=再稼働なし・廃炉”という言説に誘導している。これすなわち、原子力規制委員会そのものが「原発ゼロ」の煽動・運動団体になっている。 そもそも、耐震設計指針に基づけば、断層が活断層か否かに関しては、”変動地形学的調査、地表地質調査、地球物理学的調査等を適切に組み合わせて十分な調査を実施した上で総合的に評価する”ことが要請されている。 2012年12月中旬、原子力規制委員会が、敦賀原発そして東通原発の敷地内の断層について、相次いで、それが活断層である可能性が高いと発表した。その時点での評価の実態は、変動地形学などを専門とする学者5名によるたった2日間の現地調査と2時間の審議に基づいている。調査を終えた専門家に島崎邦彦・委員長代理が「どう思いますか」と所感を求め、活断層の可能性を否定できないなどの感想を引き出した。続いて、隣席の田中俊一・委員長に最終所感を求め「(活断層であるとの)印象をもった」などと述べさせている。八百長臭が漂う。 つまり、耐震設計指針が求めている地表地質調査、地球物理学的調査等をも組み合わせての”総合評価”も、全くもってなされていないーーこれは原子力規制委員会に求められる”責任と権限の放棄”である。つまり、原子力規制委員会は今や「原発ゼロ」推進協議会になっている。そのような権能逸脱の原子力規制委員会が暴走し、断層問題に判断を下そうとしている。 敦賀原発、新証拠示し「活断層なし」 原電が報告書 2013.7.11 19:50 http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130711/dst13071119510016-n1.htm
K断層がトレンチ外でほぼ消滅していることを示す原電担当者=11日、福井県敦賀市の敦賀原発(矢田幸己撮影) 原子力規制委員会が活断層と評価した日本原子力発電敦賀原発(福井県)の敷地内破砕帯について、原電は11日、新しい証拠に基づいて活断層ではないとする報告書を規制委に提出した。規制委は「新たな知見が得られた場合、見直すこともあり得る」としており、規制委の対応が今後の焦点になる。 原電の浜田康男社長は同日記者会見し、活断層が動いた場合の燃料貯蔵プールへの影響評価を求めた規制委の命令に対し、行政不服審査法に基づき不服申し立てをすると表明。「活断層を前提とした命令に対応すれば論理的に矛盾する」と述べた。 規制委は、敦賀原発2号機直下の破砕帯「D−1」の延長線上に見つかったK断層を「13万〜12万年前以降」に動いた活断層と評価し、「D−1破砕帯と一連のもの」と判断していた。 原電が新たに提出した報告書によると、K断層の上部にある地層((5)層)の年代を、成分分析の結果から約12.7万年と特定。K断層のずれがこの上部層まで達しておらず、約13万年前より古い火山灰の地層((3)層)にとどまるとした。 規制委はK断層が南へさらに延びる可能性が高いとしていたが、原電は調査でK断層は途中で消滅し、原子炉建屋の方向には延びていないことを確認。D−1と一連ではないとし、活断層でないと結論づけた。 新規制基準では活断層の直上に重要施設を設置することは認められず、2号機は廃炉が濃厚だった。 敦賀原発「活断層なし」 規制委、求められる柔軟対応 2013.7.12 08:08 http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130712/dst13071208090003-n1.htm
日本原子力発電が敦賀原発の敷地内破砕帯について新証拠を提示し、活断層であることを否定した。原子力規制委員会は活断層だと断定しているが、新証拠が出たことで専門家会合での再審査はもとより、現地調査の実施や幅広い専門家から意見を聞くなど、柔軟な対応が求められる。 原電は6月中に断層調査が終了するとしていたが、規制委はそれを待つことなく5月15日に専門家調査団が活断層と認定。規制委も同22日に調査団の結果を正式決定していた。 規制委の活断層調査は「活断層の可能性が否定できない」という“薄いグレー”でも「安全サイドで考える」との理由で活断層とみなす。それに対し、事業者には「活断層でないという明確な証拠」が必要で“完全なシロ”を要求する。 規制委は「独善的」「硬直的」と批判のある断層調査を改め、今回の新証拠に真摯(しんし)に向き合い、柔軟に再審査の道を開くべきだ。(原子力取材班) 原電「命令は違法」と異議申し立て 敦賀原発の活断層調査で http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130716/dst13071622590012-n1.htm
2007年7月16日に発生した新潟県中越沖地震では近くの活断層が動いたとされる。しかしながら、柏崎・刈羽原子力発電所の各号機はいずれも安全に停止した。その後、原発敷地内の一部では耐震設計の根拠となる基準値震動(加速度)を大幅に上回っていたことが判明した。 この事実から窺えるのは、時の科学的な知見に基づいて決められたはずの基準値震動を超える衝撃を受けながらも、人工物としての原子炉の安全は確保されたという揺るぎない事実である。 さらに、活断層か否かというシロかクロかの判断に、一体どれほどの科学的かつ客観的な真実があるのか。大きな科学的な疑問がある。仮にそうだとしても、絶対シロかクロかの実証ができるのか。 次に、仮に実証が可能としても、活断層判断のみで原発という人工物の総合的な安全性は判断できるのか。ましてや、活断層そのものが絶対のシロも絶対のクロも無いとなれば、すべてはグレーということになる。 活断層の判定の枠組みがそのようなものであるにもかかわらず、”グレーなものも含めて活断層ありとする⇒原発の再稼働は無し、やがて廃炉”という大手新聞の論調は、”はじめに原発ゼロありき”ではないか。 原子力規制委員会の行うべきは、安全評価の結果の妥当性の最終的な審議と裁定である。安全評価は原子力規制庁ないし原子力安全基盤機構(JNES)が行う。その審議において合格がもらえれば、事業者は法律に則って稼働してよい。では、合格がもらえなかった時はどうするか?鍛え直して再度門を叩くしかない。その門戸は常に開かれていなければならない。 もう一度言う。活断層の有無と安全評価の結果の妥当性は別物である。活断層問題は、安全評価の入り口論に過ぎず、入り口で門前払いするのは、安全評価の目的と精神、そして安全文化そのものを真っ向から否定するものである。原子力規制委員会は、これが分かっていて、全面無視している。田中俊一は原子力規制委員会・委員長として適格ではない。 原子力安全評価において重要な考え方がある。包絡性である。例えば、原子力施設で起こり得る事故は、概念上多数ある。それら全てをいちいち評価するのはマンパワー的にもコスト的にも大変である。そこで比較的少数の代表的事故で全体を包み込む、つまり包絡する。 例えば、原発の設計が安全確保の観点から適切かどうかを評価するためには設計基準事故というものがある。配管破断によって冷却材が漏れて冷却能力が低下する”冷却材喪失事故”や、制御棒の落下によって核分裂反応の度合いに異常が起こり、原子炉の出力が急激に変化する事故などがそれである。 ただ、このような包絡性の考え方は、教科書には書かれておらず、大学で教えられることも少ない。安全の泰斗に教示されるか、自ら体得するしかない。いずれにしても安全評価の実務に精通していないと分かりようがない。 だからこそ、安全規制のトップに最も求められるのが『安全評価における専門性』なのである。このことは、安全規制の先進国であろうがなかろうが当たり前である。原子力の安全評価問題を断層問題にすり替える原子力規制委員会委員長の田中俊一には、そのような専門性が欠落している。 この田中俊一の「専門性の欠落」を糊塗するためか、原子力規制委員会のホームページには、福島県伊達市にて生を受けた田中俊一の生い立ちからキャリアを紹介するコンテンツが、幼少期からの写真とともにある。「委員長プロフィール」と題するA4で8ページ相当の長文である。 これは異例である。奇異である。折しも隣国中国で新任なった習近平総書記が、若い頃からの家族写真をメディアに公開した。心理戦の宣伝活動である。田中俊一には、共産主義的なプロパガンダの趣がある。 そもそも田中俊一に決定的な欠陥は、日本原子力研究所(原研)時代に安全研究の実務経験が無いという事実。いわゆる『安全屋』ではなく『遮蔽屋』である。遮蔽の核心は、原子炉や加速器等の放射線を発する装置から漏れ出る放射線をいかに遮断するかの研究である。 原子力ムラで共有されている原子力規制委員会・委員長の田中俊一の評判は、以下の通り。 @田中俊一は共産党系の原研労組の幹部を長く務めた。筋金入りの共産主義者である。 A田中俊一は遮蔽工学が専門の研究者として、原子力船「むつ」の遮蔽設計に取り組んだ。その「むつ」は、遮蔽設計のミスで放射線漏れを起こし、一大社会事件を引き起こした。いわゆる「むつ漂流」。1974年のこと。放射線漏れは、中性子源と遮蔽物の見立てを誤らなければ、科学的根拠に基づく明快な解を出しやすい。だが、そこを間違えてしまった。そのような人物だから、そもそも科学的根拠が曖昧な断層の見立てに走っている。 B東海村長の村上達也に対しては、長くアドバイザーの立場にある。村上達也は、原子力発電を経済発展至上主義と難詰し、「脱原発」を主導している。 東海村には、日本における原子力発電の老舗である日本原電の東海第二発電所がある。 C高速炉「もんじゅ」を、特にそのナトリウム利用をもって極めて危険だと考えている。それなのに田中俊一は、「もんじゅ」の事業主体であるJAEA(独立行政法人日本原子力研究開発機構)の副理事長、特別顧問を歴任している。 このような偏向した考えは、今も心根にあるだろう。とすれば、原子力規制委員会という公正中立を旨とする機関の長にふさわしくない。明白だ。 2012年12月28日付の朝日新聞報道の田中俊一はインタビューに答えて次のように表明している。 「(関西電力大飯原発の現地調査)で重要施設の直下に活断層があると判断されれば、『行政的な判断で止めるようお願いする』と述べ、強制力はない行政指導で停止を関電に指示する考えを示した。」 これはまるで菅直人が首相として発した浜岡原発停止要請やストレステストを課した超法規的行動ではないか。規制という法の枠組みを尊守すべき原子力規制委員会が、その枠を破ろうとしている。 一方、日本原子力発電敦賀原発については、原子炉建屋直下に活断層がある可能性が高いと判断した2012年12月10日の原子力規制委員会の専門家会合が見解からさらに踏み込んだ。 「『原子炉建屋直下に活断層があると認定されれば、(再稼働の前提となる)安全審査に入ることができない』と述べた。さらに、廃炉するかは日本原電の判断になるが、『稼働できない原子炉をいつまでも持っているような電力会社はない』と話した。」 これは権力者の威圧であり威嚇だ。仮に、活断層があっても、その活断層による地震動、地盤のズレなどを設定するのが変動地形学、地表地質学、地球物理学などの役割である。学の知見を総合し、条件を設定し、上物である原子炉への影響を評価するのが規制組織が行うべき総合的安全評価である。それをしないのは、原子力規制委員会が職務放棄を通じて「原発ゼロ」を世論で正当化しようとしているからだ。 ましてや、知識と技能の宝庫であるはずの原子力規制庁やJNES(独立行政法人原子力安全基盤機構)を全く利用していない。ここにまたしても職務の放棄がある。権力の乱用とも言える。職務の放棄にとどまらず、独断的傾向の証である。公正中立、高潔以前の、正当な行政手腕の欠落である。 このような事務方を使わない独断専横的手法は、すべてを政治主導の名のもとに、霞ヶ関抜きでやろうとして失敗した民主党の考えそのものである。ここに日本再生に逆行する愚行が生き残っている。 しかも、反論の余地は無いと言わんばかりの裁定はいかがなものか。公正中立で毅然とした態度を貫くことと、独断とは別物である。誰もが納得できる対応が伴わなければ、独断は独裁に豹変する。 活断層か否かの判断とは、何度も事業者の言い分に耳を傾け、周到な調査データに裏打ちされた情報の提示に基づいて、十分な意見交換と対話をしなければならない。合意点を目指して叡智を出し合うべきだ。 そもそも、『発電用原子炉施設の耐震安全性に関する安全審査の手引き』(平成22年12月20日、原子力安全委員会了承)には、”ただし、耐震設計上考慮する活断層の露頭が確認された場合、その直上に耐震設計上の重要度分類Sクラスの建物・構築物を設置することは想定していない”(19ページ)と明記されている。 http://www.nsr.go.jp/archive/nsc/shinsashishin/pdf/1/101220_1.pdf 新聞やTVメディアが多用する”活断層の上に設置してはならない”という言説は、曲解で間違い。”活断層の上に設置することを想定していない”と解すべきだ。この差異は大きい。バックフィット(最新の知見に基づく追加的安全対策)制度の運用開始のもとに、耐震設計審査指針に基づく安全評価を全うすることこそ、原子力規制委員会の職務である。 再度言う。原子力規制委員会には、根拠不明の活断層断定によって原発を止める権限も廃炉にする権限も無い。
|