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<メルトダウンした燃料>「回収できません。絵に描いた餅です」「そりゃ重いですよ、ウランですからね」「ウランの塊は100トンあります」〜小出裕章ジャーナル・広瀬隆氏7/13ラジオフォーラム(文字起こし)
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2013-07-14(09:26) みんな楽しくHappy♡がいい♪
ラジオフォーラム
第27回放送
・ラジオ放送日 2013年7月13日(土)〜19日(金)
・ゲスト 広瀬隆さん(作家、反原発活動家)
・パーソナリティ 今西憲之(ジャーナリスト)
・テーマ 脱原発・ドイツの廃炉事情レポート
小出裕章ジャーナル
今西:
今日は広瀬隆さんにもスタジオに来ていただきまして、原発のお話を色いるかがって行きたいと思いますが、
福島第一原発ですね、今廃炉作業が進んでおるんですけれども、
6月27日にですね、政府と東京電力が、福島第一原発の廃炉の工程表を改定したという公表をしました。
最大の難関であるですね、1号機2号機3号機の原子炉内に落ちた核燃料、
要するにメルトダウンした燃料ですね。
その回収が、順調に進んだら
「1号機2号機は従来の計画より約1年半早い2020年度前半に始める」というような会見の内容でした。
なんか、かなりスムーズにいくのかな?と思えてならないような気もするのですが、
小出さん、そのあたりはどのように見ておられるでしょうか?
小出:出来ません、残念ながら。全く絵に描いた餅です。
今西:広瀬さんはこの改定をみられていかがかご感想をお持ちでしょうか?
広瀬:まずあり得ないですね、まずそんなことは無理です。
今西:
こういうあり得ない事が原子力ムラでは簡単に通ってしまうという、
非常に不思議な気もするのですけれども、
小出さん、どういう所が一番ポイントとしてあり得ないと思いましたでしょうか?
小出:
いま進行している事故というのは、人類が初めて遭遇した事故なのです。
これまでの最悪だと言われていたのは旧ソ連のチェルノブイリ原子力発電所の事故でしたが、
そこで溶け落ちたのは、原子炉が一つなのです。
今福島では3つの原子炉が溶け落ちてしまって、
さらに4号機という、溶け落ちてはいないけれども、
建屋が壊れかけて膨大な死の灰を抱えたままの使用済み燃料プールが宙ぶらりんになっているというような、
大変な、いま事故が進行しているわけで、
簡単に「どうこう」言えるような事態ではないのです。
今西:なるほど。広瀬さんはそのあたりどのように見ておられるでしょうか?
広瀬:
ま、いま今西さんがおっしゃった燃料をね、
メルトダウンした燃料がそもそも、ま、最悪の場合コンクリートの下にめり込んでいます。
原子炉を突き破ってね。
それはもう、これは取り出すとか取り出さないとか、そういうような話じゃないです。
それと原子炉の、おそらく壁の中にもへばりついたような形で、
いろんな形で、まァ細切れになっている可能性も非常に高いし、
そんなものをですね、仮にロボットをつくったからって取り出せませんよ。
今西:
そうですよね。それにメルトダウンしたその燃料というのはですね、
私も実際原発で作業しておられる専門家の方にも聞いたんですが、
「かなり重いんだ」というふうに聞いたんですが、
広瀬:そりゃ重いですよ、ウランですから。ね。
今西:感じとして100kgとか200kgとかそういう単位なんでしょうか?
広瀬:いえいえ、これは小出さんに聞いた方がいいです。
今西:小出さん、いかがでしょうか?
小出:ウランの塊は100トンあります。
今西:100トンですか…すみませんキロじゃなかったですか。
小出:
それも、セトモノ状に焼き固めてあって、もともとはあったのですが、
そのセトモノは比重が20というモーレツに重たい物なのです。
ウランというのはもともと重金属の一種で重たいもの。
だからこそ、劣化ウラン弾という形の、超優秀な砲弾にもなるわけですけれども、
その重たいものが100トンも溶け落ちて
どこへ行ってしまっているのか、今でも分からないというそういう状態なのです。
いま広瀬さんもおっしゃって下さったけれども、
それがもう、塊になっているというだけではなくて、
もうそこらじゅうにあちこちにへばりついてしまっているという状態にありますので、
それをいずれにしても全量回収するなんていうことはできませんし、
わずかな物でも回収しようと思えば大変な被ばくになってしまいますので、
私は多分、作業自身が実質的にできないと思っています。
今西:
なるほど。
けどいまの廃炉作業のやり方をみておりますとですね、
まぁまぁ建屋を一定のところまで潰しまして、その上に覆いをかけ、
そしてメルトダウンした燃料を取り出すという方向で首尾一貫やっておるんですけれども、
これが、そうすると、全く無駄な作業に終わってしまうという可能性もあると言う事なんでしょうか?
小出:
今やっているのはまずは使用済み燃料プールの底に眠っている、
これ以上燃やせない、つまり核分裂生成物が目いっぱいたまったという使用済み燃料が、
プールの底に眠っているのですが、
それを少しでも危険の少ないところへまずは移さなければいけないという作業をしているのです。
私はその作業は絶対にやらないといけないと思いますし、
東京電力にも急いでやってほしいと願ってもいますが、
その作業自身が大変困難な作業で、
これから何年かかるのか、それすらが分からない。
今西:
そうするとあれですね、
溶け落ちた燃料を取り出す以前の問題ということになりますね?
小出:そうです。
溶け落ちた燃料は広瀬さんが今おっしゃって下さったように、
そんなものをつかみだすことはまず「出来ない」のです。
でも、今のところまだ溶け落ちていない使用済みの燃料というものは、
どうしてもプールから移さなければいけないという仕事があるわけで、
それをいま何とかやろうとしている訳ですが、それだけでも大変な作業で、
10年かかるか、20年かかるか分からないという、そういう仕事なのです。
今西:
それでまァ、日本より前にですね、チェルノブイリ原発で大きな事故が起こりました。
その際にはコンクリートで原子炉自体を固めてしまう「石棺」という方法がとられました。
福島第一原発の時も、今回の事故でも、当初そういう方法を取るのではないか?
というような話もあったのですが、
現状のところは燃料を取り出す所にかなり固執しているような気がするのですけれども、
小出:
燃料を取り出さない限りは石棺で覆う事が出来ないのです。
石棺で覆ってしまうと、使用済み燃料プールの底に今眠っている
使用済みの燃料を取り出すことすらできなくなってしまいますので、
まず、作業の優先順位としては
使用済み燃料プールの底に眠っている使用済み燃料をまずは移す。
その次に国や東京電力が言っているように、
溶け落ちた燃料を何とか掴み出せるかどうかという作業が、始めて考える事ができるようになるのですが、
それは私は多分出来ないと思いますので、
その段階で諦めて「石棺」というものをつくるという事になるとおもいます。
今西:
なるほど。
広瀬さん、福島第一原発でですね、事故の収束作業としてチェルノブイリ原発に見習うべき、
手本にすべきところという事がもしあればと思うんですが。
広瀬:
えっとね、状況が違うんですよ。
いま、要するに新聞やなんかで断片的に見ているのと違って、
今実際に福島第一で毎日3000人ぐらいの作業者の方がやっている作業っていうのは、
もう、本当にかわいそうなんですけど、
被ばくしながら、要するに汚染水やなんかをどこへやるか?というね、
そういう日常作業にほとんど追われているんですよ。
だから今小出さんがおっしゃったようなきちっとした作業っていうのは、
ま、別のグループが一応ゼネコンと組んで、建屋を組んだり、骨組みを作ったりして、
たとえば一番危険な4号機について、
そういう燃料を取り出すための土台作りをやっている訳ですけれど、
現実に作業している人たちの作業っていうのは、もうそういうもんじゃないんです。
今西:日常の目先の作業
広瀬:
もう、めちゃくちゃなんですよ。
それは今西さんがご覧になった通り、あの状況と何も変わってないんですよ。
基本的に。
もうめちゃくちゃな中で、作業員の人が送りこまれて、
「これをあっちやれそっちやれ」っていう作業をね、毎日必死でやっている。
それが現実なんですよね。
だからこういうなんか、ポンチ絵みたいなのをね書いてやるっていう段階のところへは、
たぶんね、いってないと思います。
我々は東電とヒアリングもやったんです。
だけど彼らは、東電のこっちに、東京なんかに居る人達はね、何も分かっていないです。かわいそうに。
現場を分かってないです。
今西:
そうなんですね、
小出さん、そういう現場をよく分かっておられない方が陣頭指揮をとり、
いま、廃炉作業が進んでいるという現状を聞くとですね、もう言葉もないんですけれども、
いかがお感じになられますでしょうか?
小出:
確かに広瀬さんがおっしゃったように、
今はとにかく日々悲惨な作業を続けるという事に追われているのですね。
でもやはり仕方がないのです。
もう事故がここまで来てしまっていますので、
とにかく何とかこれ以上汚染をひどくさせない。
事故をこれ以上進行させないという事をやらなければいけませんので、
それに追われているという状態なのです。
私が心配しているのは、若い人たちも含めて、
殆ど被ばくに対して知識のない人達が、下請け孫請け構造。
1次、2次3次…何か10次にまで及ぶというような、そういう下請け構造の中で、
毎日被ばくを強要されて働いているという、そういう事が一番心配です。
今西:
わかりました。
小出さんありがとうございました。
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