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カリウム40での内部被ばくがあるので、それと同じぐらいの内部被ばくは影響がないという主張のウソ
既にさんざん言われていることですが、改めて、カリウム40での内部被ばくとセシウムやヨウ素での内部被ばくの違いについて考えてみます。
生体内ではベータ線は1cmも進むことはないので、仮に1cmベータ線が生体内で飛ぶと仮定してみます。ベータ線はガンマ線とは異なり、同じ放射性元素から発生するベータ線でも常に強さが変化してしまいます。ただ、最大のエネルギーの強さは決まっていて、カリウム40の崩壊エネルギーは最大1.31107MeVとなっています。同様に、セシウム137は最大0.5120MeVのベータ線を出してBa137mになり、次にこれが0.6617MeVのガンマ線を出します。
まず、放射線が生体内を進むときに影響を与える細胞の数を、放射線の生体内での飛距離÷細胞の大きさ で求めるとします。もちろん、これは実態を必ずしも表しません。放射線が細胞と細胞のちょうど境目を飛ぶ場合もあるでしょうし、細胞の形自体も変化するからです。しかし、ここでは放射線の影響を相対的に評価するだけですから、この仮定で問題はないはずです。
人体の細胞の大きさは0.006mm〜0.025mmということなので、仮に0.01mmとします。ベータ線が一回飛ぶことによって影響を受ける細胞の数は、10mm÷0.01mm=1000個となります。
カリウム40での放射線線量は体重60kgの成人男子で約4000ベクレルということです。カリウム40から出る放射線はほぼベータ線だけです。よって、1秒に4000回、普通の成人男性の体内でベータ線が発生することになります。すると、1秒間にカリウム40による被曝を受ける細胞の数は4000回×1000個=400万個となります。人体の細胞数はだいたい60兆個あるということですから、1秒当たり被曝する細胞の割合は、400万個÷60兆個=6.67×10のマイナス8乗 となり、これは、6.67×10のマイナス6乗パーセント、つまり、0.00000667%ということになります。一日は86400秒ですから、一日で影響を受ける細胞の割合は、0.00000667%×86400秒=0.576288%、つまり、1%にも満たないのです。これは、基本的に、一つの細胞が放射線の影響を受けると、次に放射線の影響を受けるまでに100日以上あると解釈できます。
実を言うと、以上のような計算はある仮定が前提になっています。それはカリウムが全身に均一に分布するということです。現実には筋肉などに比べて骨などにはあまりカリウムは含まれないでしょうから、その意味で多少不正確な計算になっています。しかし、重要な点は、基本的にカリウムが集合して存在することはないということです。カリウムは人体にとって酸素とか窒素、炭素元素と同じく非常に基本的な元素あり、成人一人当たり140グラム程度のカリウムを体内に持っているということです。そして、放射性であるカリウム40は天然存在比率で0.01%ですから、体内の現実的なカリウム40のグラム数は1グラムもなく、それが全身に原子一つ一つがバラバラに分布していることになります。
そして、このことが原発事故とかで放出される放射性物質との違いを作り出すのです。
つまり、原発事故などで環境中に放出された放射性物質は多くの場合微粒子となって環境中に拡散するからです。福島第一原発事故により環境中に出た放射性セシウムは硫酸塩のエアロゾルとなって大気中を拡散したと言われています。こういった微粒子のかなりの部分は十分に呼気とともに肺へ吸い込まれ、肺胞に定着します。そして、こういった微粒子はいくら小さくても原子と比べれば数千万倍という規模で大きいので、相当に多数の放射性元素がその一つの微粒子には含まれることになるのです。結果的に、その微粒子の周りにある細胞は集中的に放射線をくり返しあびることになり、影響を受けてしまうことになるのです。
では、具体的に、福島第一原発事故で大気中に拡散したとされるセシウムエアロゾルはどの程度の数の放射性セシウム元素を含んでいたのでしょうか。かなり時間をかけて調べたのですが、残念なことに分かりませんでした。多分、ネット上には載っていないと思います。
そこで、プルトニウム239を例にとってある仮定のもとに計算をしてみました。つまり、スギ花粉と同じ重さのプルトニウム239のみでできたエアロゾルという仮定です。
アボガドロ数を6×10の23乗と簡便化して考えると、プルトニウム239が239グラムあればその中にプルトニウム原子が6×10の23乗個あることになります。よって、プルトニウム原子一個の重さは239÷(6×10の23乗)で求められます。
スギ花粉の重さは2×10マイナス9乗グラム程度であるということです。よって、もし、プルトニウムがスギ花粉と同じ重さの塊で飛散したなら、その中に含まれるプルトニウム原子の数は、(2×10マイナス9乗)÷(239÷(6×10の23乗))で求められます。これを計算すると、ほぼ5×10の12乗となります。なんとこれは5兆個という数なのです。スギ花粉と同じ重さのプルトニウムエアロゾルには5兆個のプルトニウム原子が含まれていることになるのです。
プルトニウム239半減期が約24000年ですから、ほぼ24000年で2兆5000億個が崩壊することになります。24000年を25000年で近似して簡便化すると、1年で1億個が崩壊することになります。これはざっと計算すると1秒で10回崩壊することになるのです。
このエアロゾルの重さはスギ花粉と同じという仮定でしたが、プルトニウムの比重はスギ花粉と比べてずっと重いわけで、大きさはスギ花粉よりもずっと小さいものになってしまいます。そのため、現実には、エアロゾルの状態のままで、または空気中のチリなどに簡単に付着して、かなりの距離を簡単に飛散するはずです。そういった微粒子をたった一つ肺に吸い込んだだけで、一生毎秒10回のアルファ線がその微粒子の周囲の細胞に向けて放出されることになるわけです。
なお、現実に飛散しているプルトニウムは2酸化プルトニウムとか、またはその他の硫酸塩、硝酸塩、水酸化物などの形になっているはずです。そのため、一つの微粒子の中のプルトニウム原子の数はかなり少なくなるはずですが、それでも数分に一回とか、せいぜい数時間に一回程度の頻度でその微粒子の周囲にある細胞がくり返しくり返し放射線を浴びることになります。これがプルトニウム239の恐ろしさの正体です。
セシウム137の半減期はほぼ30年です。これは24000年の800分の一ですから、同じ数の原子があれば、セシウム137はプルトニウム239の800倍の頻度で放射線を出すことになります。セシウム137の原子はプルトニウム239の大雑把にいって半分の重さと見ていいはずですから、スギ花粉の重さの中には約2倍のセシウム137の原子が含まれていることになります。これがプルトニウム239に比べて800倍の頻度で放射線をだすわけですから、そういった微粒子が肺胞に入った場合、その周囲の細胞は相当に高い頻度で繰り返し放射線を浴びることになるのです。少なくともカリウム40のように100日に一回と言った頻度ではなく、その数千倍の頻度であることは確実です。
最後に、食品とか飲み水中にある放射性物質がどのような影響があるかですが、これも、エアロゾル中に含まれる放射性物質の原子数と同じく、自分が調べた限りではよく分かりませんでした。なぜなら、こういった食品中に単にセシウム137の原子がバラバラに一つずつ均一に分布しているのか、それともある程度の微粒子として固まって存在しているのかが分からないこと。そして、その次に、微粒子で存在するとして、それがどの程度胃壁とか腸管から吸収されるかも、自分が調べた限りでははっきりしなかったのです。(もっとも、土壌中などでは硝酸塩などの化合物になっているということですから、食品中でも基本的にはばらばらになって存在しているはずだと思います。)
なお、被曝の影響評価に必ず出てくる実効線量にしても、等価線量にしても、局所的な放射線の集中については考慮していないのではないでしょうか。つまり、放射性物質が均一に散らばって存在するという前提に立って、実効線量とか等価線量という値が決定されるようになっているのではないかと思います。そのため、現実に微粒子を体内に取り込んでしまった場合の危険性が非常に低く見積もられてしまっているのだと思います。
- 内部被ばくの影響をどうやって防ぐか taked4700 2013/7/15 23:42:20
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