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2013年7月12日 星の金貨プロジェクト トップ
このまま原子力発電を続ければ、世界は深刻な電力不足に陥る
原子力発電のウラン燃料は2025年以降、生産量が急速に減少していく
ナフィーズ・アフメド / ザ・ガーディアン(英国) 7月2日
ひっ迫している需給関係により、最早低価格のウランなどは存在せず、必然的に原子力発電の段階的廃止、あるいは原料調達不能による原子力発電所の停止と対規模停電、あるいはもっと悪いシナリオが現実のものになりつつあります。
英国・米国両政府は、原子力発電を大量の電療供給を実現するクリーン・エネルギーとして、これを将来の経済成長を実現させるための重要な手段の一つと位置づけています。
しかし原子力発電の燃料となるウランの生産に関する最新の研究は、2020年以降は需要がひっ迫し、ウランの価格が絶えず上昇を続ける状況が生まれ、もはや原子力発電の継続が困難になるだろうと警告しています。
この研究はこれまでのウランの埋蔵量、採掘実績、そして現在の採掘状況を分析し、得られたデータを基礎にしています。
結果は世界のウラン採掘量は2015年の58キロトンをピークに減り続け、2025年には54キロトンに減少、2030年になるとその採掘量は急激に減少し、最大でも41キロトンにまで減少することになります。
科学雑誌、『総合環境科学( http://www.journals.elsevier.com/science-of-the-total-environment/ )』に掲載された、この研究の査読(さどく : 科学論文を出版する前に、その内容を同専門分野に関して権威ある研究者によって評価・訂正する制度)は次のようにコメントしています。
「このウラン生産量では、2020年代、そして2030年代において、既存の原子力発電所と現在建設中・計画中の原子力発電所すべてに、燃料を行き渡らせることが出来なくなります。
この事態を避けるためには原子力発電を段階的に廃止していく必要があり、そのペースも年に1%以下では、2025年に世界の原子力発電所において燃料が手に入らないという事態を避けることが出来なくなります。」
「このような状況から、我々は世界中で原子力発電を段階的に廃止していくことこそが、正しい選択である、そう提言せざるを得ません。」
▽ 危険で愚かな選択
しかしイギリス政府はつい先週、今後2年間で深刻な電力不足に陥る危険性があるという警告に対し、最悪の選択をしてしまいました。
すなわち原子力発電事業に対し、日本円で1兆5,000億円の財政援助を発表したのです。
エネルギー担当大臣エド・デイヴィは国民に対し、以下のように約束しました。
「これ以上、電気の値段が上昇することは無いでしょう。我々は考え抜いたプランを実施に移したのであり、これから先電気に困るようなことは起きないでしょう。」
今回の補助金の決定は、原子力発電を中核に据えるという英国のエネルギー戦略を一層強化することになります。
英国政府が進める他に例を見ない原子力発電に大きく依存するエネルギー政策が現実のものになれば、
原子力発電は2050年までに75GWの発電能力を実現し、英国の電力の86%を提供することになります。
新たな研究結果によれば、ウランの生産は過去5年間夜明けの到来とも言うべき段階に達し、合計で250キロトンの生産が実現しました。
しかし増産に次ぐ増産は、これまでのように高品質のウランだけを原料に使うという贅沢を許さず、多少粗悪な鉱石からも原料を抽出するという状況を生み出しています。
このため平均して、ウランの抽出能力はかつての50〜70%に低下してしまっているのです。
カナダとオーストラリアにあるウラン鉱山を、一か所ごとに正確に検証し、その採掘可能量と年間採掘量を定量化して検証した結果、今後新たに開発予定の鉱山も、現在採掘がおこなわれている鉱山の生産量の低下を補うまでには至らないとの結論が得られました。
「ウラン生産量の減少は2015年から始まり、2025年まで毎年0.5キロトンずつ減少して行きます。
そして2025年以降は生産量が急速に減少していくのです。
これに対して需要の方は中国、インド、東ヨーロッパなどを中心に原子炉の新設が進むため、毎年1%ずつ増加すると仮定すると、5年の内には世界各国で原子力発電のための燃料調達が難しくなり、それに呼応する形でウラン燃料の価格暴騰が始まることになります。
〈 後篇につづく 〉
http://www.guardian.co.uk/environment/earth-insight/2013/jul/02/nuclear-energy-crunch-uranium-peak-blackouts?INTCMP=SRCH
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この【星の金貨】ではこれまで原子力発電の出口の問題、核廃棄物の問題を取り扱った記事を繰り返しご紹介してきました。
福島第一原発の事故後、核廃棄物の問題を真っ先に指摘したのがニューヨークタイムズでしたが、その後同じ米国のAOLエナジー、イタリアのIPSニュース、ドイツのデア・シュピーゲルなども次々と核廃棄物の問題を取り上げ、『最終的処分方法』など存在しないこと、人間の手にそんな技術が無いことについて警鐘を鳴らし、原子力発電を続けることの無理、危険を訴えてきました。
また、エドガー・スノーデン氏の内部告発を独占的に掲載し、世界にその名を知らしめた英国のザ・ガーディアン紙は、核廃棄物の問題に加え、原子力発電そのものの危険性を訴える記事を何年にもわたり掲載し続けてきました。
そのガーディアン紙が今回、原子力発電はその入り口である核燃料の問題から、崩壊の可能性がある事を私たちに教えています。
国際的に原子力発電は、もはや追い詰められつつあることを感じないわけにはいきません。
そしてその「崩壊」が始まる時期が、意外なほど早く来ることに驚かされます。
なのに首相自ら、福島第一原発の事故を引き起こした『優秀な技術力に支えられた日本の原子力発電』を世界中に売って回る、その姿は世界の人々の目にはどう映っているのでしょうか?
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