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2013/7/10 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
「事故で死んだ」と専門家
今となっては真相はヤブの中か。東京電力福島第1原発の事故発生時の所長・吉田昌郎氏(58)がきのう(9日)、食道がんのため東京都内の病院で死去した。
吉田元所長は、11年3月11日の事故発生後から約8カ月間、免震重要棟で陣頭指揮に当たっていたが、同年11月中旬に健康診断で病気が発覚。同月末には治療に専念するため、所長を退任し、療養を続けていたが今年6月下旬、容体が急変したという。
東電によれば、吉田元所長の被曝量は計約70ミリシーベルト。原発作業員の被曝限度100ミリシーベルトの範囲内であることから、放射能によるがん発生の可能性を否定している。しかし、吉田元所長は11年11月、報道陣の取材に「死ぬだろうと思ったことが数度あった」と話していて、相当なストレスを感じていたはずだ。
放射能が直接のがんの原因でないにしろ、あの環境では体を壊してもおかしくない。専門家はどうみているのか。
医学博士の米山公啓氏はこう言う。
「事故から数カ月でがんになったとは考えにくい。ただ、遺伝的な要因やたばこ、酒でがんになりやすい体質、生活習慣があったのだとすれば、3月11日以降の極度のストレスががんを進行させた可能性はあります。ストレスは免疫力を低下させるからです」
吉田元所長は、食道がんの療養中の12年7月、脳出血も発症している。
「もともと高血圧であったのかはわかりませんが、原発事故は想像を絶する状況です。そこに8カ月間もいれば、脳出血など起こしやすい体になってもおかしくない。会社の方針に逆らって、独断で作業を進めていたともいわれているし、相当、無理をしていたのでしょう。血圧を測ったり健康管理をする間もなかったでしょうから、事故で亡くなったと言っていい」(東京脳神経センター理事長の松井孝嘉氏)
東電は08年、明治三陸級の地震が福島で起きた場合、福島第1原発で10メートルの津波があると試算していたが対策を怠っていた。この時、吉田元所長は原子力設備管理部の部長。事故の責任の一端は彼にもある。
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