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<柏崎刈羽原発>新潟県知事発言で東電再建策の見直し必至
毎日新聞 6月29日(土)21時31分配信
新潟県の泉田裕彦知事が毎日新聞のインタビューで、原発の安全確保の条件として原子力規制委員会の新基準では不十分との認識を示したことで、東京電力が目指す柏崎刈羽原発の再稼働は今年度中も困難な見通しになった。同社は再建計画の抜本的な見直しを迫られる。知事は、福島第1原発事故の検証結果が新基準に生かされていないと政府の姿勢を批判した。事故時の自治体との連携などについて国が新たな対策を示さない限り、原発の再稼働も東電の再建も見通せない状況だ。
【「福島原発事故の検証が先」】柏崎刈羽原発:新潟知事、新基準を否定 再稼働は困難に
東電は再建計画で、今年度の黒字化を必達目標と掲げてきた。その前提が柏崎刈羽原発の再稼働だ。時期は「今年4月以降のできるだけ早期」を想定し、年2兆8000億円に上る発電燃料費を圧縮する計画だ。
同原発では現在、規制委の新基準に適合するフィルター付きベントを取り付けるための基礎工事が進んでいる。東電は新潟県など地元自治体の同意がない限り、新基準に基づく安全審査の申請をしない方針。「福島第1原発事故の十分な原因究明や対策ができていない」という知事の発言は、工事の適否以前に、新基準そのものを受け入れない姿勢を示したもので、東電だけで対処できる範囲を超えているのは明らかだ。
東電は知事発言について「安全性や信頼性の向上に努め、国や自治体、地域の理解を得ていきたい」と低姿勢を繰り返すばかりだ。
泉田知事は新基準が自治体の意見を取り入れずに決まったことも強く批判した。根本には「都市の電力消費のために立地自治体が事故のリスクを背負う」ことへの疑問がある。ベントをする際に住民避難をどう進めるかなど、地元にとって重要なソフトや制度面での国の対応も遅れている。
新基準の施行は7月8日に迫っている。柏崎刈羽原発が年度内に再稼働できなければ、東電への金融機関の融資継続にも黄信号がともり、首都圏の電気料金再値上げが現実味を帯びてくる。福島事故の賠償や除染、廃炉などの費用捻出にも追加策が必要だ。焦点は政府が東電再建への関与をどう強めるかにある。【清水憲司、大久保渉】
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最終更新:6月29日(土)23時26分
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