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http://ameblo.jp/rain37/entry-11560767920.html (民の声新聞)
2013年06月26日(水) 09時33分57秒
「原発事故は終わっていない」〜子どもたちは異常な環境下に置かれている、と描き続ける郡山の教師
テーマ:被曝
福島の子どもたちが今なお、被曝の危険にさらされていることを知ってもらおうと、漫画を通して発信し続けている小学校教師が郡山市にいる。大塚久さん。校内除染などに取り組む一方で、子どもたちの置かれた異常な状況を描いた。「NOT YET OVER」と題された最新作は、原発事故以後の教室や子どもたちの様子、避難を決断した母親の葛藤が生々しく描かれている。大塚教諭が伝えたいこと。それは「原発事故、子どもたちの被曝は終わっていない」ということだ
【元に戻ったとは全く考えていない】
漫画は「抵抗の一つ」なのだという。
「私のような下っ端が吠えても、管理職は動かない。それだけ、文科省や市教委の力は強大です。かすかな抵抗ですが、私にできることはしていきたい」
2011年3月。震災直後の学校生活は「異常だった」と振り返る。「でも、2年以上経った今でも、元に戻ったとはこれっぽっちも考えていません」。「始めてしまって良いのか」と葛藤の中、一週間遅れで始まった新学期。一教師の葛藤は、「早く環境を整えて普段通りの授業を再開したい」という市教委の思惑の前に封じ込められた。
せめて被曝を回避しようと、学校は子どもたちに長袖、帽子、マスクでの登校を呼び掛けたが、教室内はサウナのような暑さ。窓を開けるわけにはいかず、しかし、用意されたのは扇風機とよしずだけ。母親らからエアコン設置を求める請願が市議会に提出されたが、再三にわたって退けられた。中には「我慢を覚えさせるのも教育のうち」と発言した議員もいた。新作では、熱中症で倒れる子どもの様子も描かれている。
手をこまねいてもいられないと、保護者の協力を得て校内の木々を伐採した。昨年夏には屋外プールの水泳授業が再開されたが、被曝の危険があると1割ほどの児童が泳がずに見学した。その子たちのために、PTAがプールしていたバザーなどの収益金を活用し、学校近くの屋内プールで水泳の授業を行った。
できることは何でもしたい─。漫画での発信も、その一つだった。
民の声新聞-漫画@
民の声新聞-漫画A
民の声新聞-漫画B
新作のタイトルは「NOT YET OVER」。子どもた
ちを取り巻く異常な環境が現在進行形であること
を描いている
【まだ終わっていない━NOT YET OVER】
大塚教諭は、郡山市出身の50歳。中学生の父親でもある。高校を卒業後に上京し、5年間、漫画家のアシスタントをしながらアニメーション制作会社でも働いた。携わった作品には、「クリィミーマミ」や「スプーンおばさん」「うる星やつら」などがあるという。その後、改めて大学を受験し、教員免許を取得。27歳から、福島で教師を続けている。
震災時は開成小学校で6年生の担任。現在は教務主任だ。前作「この青空は、ほんとの空ってことでいいですか?」は、元はあさか開成高校演劇部顧問の佐藤茂紀教諭が書き下ろした作品。高線量の下、被曝と避難と学校生活とで揺れる高校生を描いている。佐藤さんと大塚さんが高校時代の同級生だったことから、「漫画という形でも発信したい」と大塚さんに漫画化の依頼があった。何度も舞台を観て描き上げた作品は、増刷分も含めて300部印刷。「売ることは初めから考えていなかった。最終的に捨てられても良いから手に取って欲しかった」と、大半を郡山市内で無料配布した。費用10万円は大塚さんのポケットマネーだった。
今回、描き上げた作品は「NOT YET OVER」。実体験をもとに、原発事故以後の小学生の様子を描いた。「震災や原発事故を思い出したくない、忘れたいという思いがあるだろう。私もそうかも知れない。自分への戒めの意味も込めて、まだ終わっていないんだというタイトルにしました」。一見すると、子どもたちは原発事故以前に戻ったように見える。だが、大塚さんは「今まで、子どもたちに『大丈夫だよ』とか『安全だよ』という言葉を言ったことはありません。依然として異常な環境に置かれているんだということを多くの人に伝えたい」と話す。「原発事故直後も、もし親や教師が禁止しなければ、子どもたちは無邪気に校庭で遊んでいたと思います。だからこそ、大人が守ってあげなければいけないんです。原発事故で、親や教師の重要性を再認識させられました」。
民の声新聞-大塚教諭
「子どもたちに『大丈夫だよ』とか『安全だよ』なん
て一度も言ったことは無い」と話す大塚教諭
=郡山市立開成小学校
【0.3μSVの中を通学する子どもたち】
原発事故以降、開成小学校では100人ほどの児童が避難などを理由に転校して行った。一方で、家庭訪問などの場で「ウチはもう大丈夫です。気にしていない」と口にする保護者が多くなってきた。「私にできることは、除染をし続けること。子どもたちを元気づけること。そして、漫画を描くかすかな抵抗≠ナす。職員会議で管理職に意見をしても煙たがられるだけ。自分が管理職になるつもりもない。下っ端でできることを続けて行きたい」と大塚さん。前作は、図書室にも3冊置き、子どもたちにも読まれたという。「『先生、絵が上手いね』というような反応ばかりです。でも、年齢を重ねて行く中で、漫画の内容を思い出してくれれば良いと思っています」。
最新作「NOT YET OVER」は、より多く印刷して福島県外の人々に読んでもらいたいという。「個人も含め、8組ほどのスポンサーが見つかりましたが、まだ資金が足りない。少額でも良いので、多くの方の支援をお願いしたい」と話す。
校内に設置されたモニタリングポストは0.125μSV。だが、通学路の放射線量は0.3μSVに達する。近隣で実施されている宅地除染も遮蔽した状態で作業されないため、汚染された砂ぼこりが通学途中の子どもたちに降りかかる。子どもたちを取り巻く「異常な環境」は、何一つ変わってはいないのだ。
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