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たんぽぽ舎メールからの転載
米国で原発の廃炉相次ぐ 老朽化や「シェール革命」で採算悪化
| 全米104基の原発がついに100基を切る水準にまで減ってきた。
└──── 山崎久隆(たんぽぽ舎)
全米の原発は電力の約2割を生産しているが、天然ガスが急速に延びてきて、
2006年には2割と、原発と同水準だったものが現在ではもう3割に達してい
る。
その反面、原発は廃炉になるものが次々に現れている。
○廃炉が決まった原発
ドミニオン社のキウォーニー原発(ウィスコンシン州)が2012年10月2
2日、デューク・エナジー社のクリスタルリバー原発(フロリダ州)が今年2月
5日に、そしてサンオノフレ原発2、3号機が6月9日に廃炉が決定された。全
米104基の原発がついに100基を切る水準にまで減ってきた。今後も増える
話は無く、2019年にエクセロン社のオイスタークリーク原発(ニュージャー
ジー州)を廃炉にすることが既に決まっている。
理由の一つは採算性の悪化である。数年前には原発の老朽化に伴う廃炉に対し
て、新設原発で埋める方針だった。それを米国の「原子力ルネッサンス」などと
称していた。およそ「原発の復興」にはほど遠く、元から廃炉になる出力分を補
填する程度の規模しかなかったのであるが、それに対しても採算性に問題が生じ
てきた。理由の一つには福島原発事故以後の規制強化、安全対策の見直しにある
だろう。さらにシェールガスの生産増大に伴う天然ガス価格の低下で、コストが
増大する一方の原発に対して、天然ガス火力の価格が急激に低下したことでも拍
車が掛かった。
採算性を失った典型例はキウォーニー原発で、もともと40年を超えて運転す
るための認可手続きを終えて10年延長された後に売りに出されていたが、買い
手が付かずに廃炉が決定された。
費用をかけて安全性の向上をしても買い手が付かなかったのである。
クリスタルリバー原発は格納容器にひび割れが発見され、2009年から運転
を止めていた。その補修にかかる費用を考えると採算に合わないことが明らかと
なり廃炉を決めている。
○シェールガスは見せ札か?
米国の発電所は急速に天然ガス火力に向かっている。既に10年間で全米のシ
ェア20%から30%に躍り出た。既に原発を大きく追い越し、次の「ライバル」
は石炭の40%だ。しかしそれほどまでの規模でシェールガスの採掘が進んでい
るのであろうか。これは米国による「資源確保戦略」であると考えれ
ば、シェールガスは「見せ札」かもしれない。
もちろん実際にシェールガスを大規模に採掘しているのは事実だから、それ自
体にウソはない。しかしそのガスが米国をして将来「ガス輸出国」にするかどう
かは、まだ未知数である。
シェールガスの最大の欠点は「環境負荷」であろう。地層に高圧水を注入して
天然ガス成分とともに吸い上げるという手法は、一つ間違えば地域の地下水脈を
大きく汚染しかねない。
そのため、採掘できる地域は限定される可能性がある。また、ガス田の寿命が
従来型よりも短い傾向にあることもあり、見通しのように可採埋蔵量で米国のガ
ス消費量の100年分を賄うというのは「風呂敷を広げすぎた」話かもし
れない。
しかし米国にとっては、実際に100年分採掘できるかどうかは大きな問題で
はなく、世界がそれを信じるかどうかが重要だ。
3.11以後、日本の原発が順次運転を停止し、エネルギー需要が逼迫するだ
ろうとの観測で天然ガス価格が高騰した。しかし米国シェールガス開発のおかげ
で米国では急激に値段が下がっていた。安い天然ガスが大量に市場に出回るとし
たら、現在カタールやUAEなどが出している価格では、到底売れなくなると市
場では考えられるであろう。
結果として現在では、天然ガスの市場取引価格は一時期の高騰から、世界的に
も常識的な水準に落ち着いている。
今後も暴騰をしかねない天然ガス市場取引価格を牽制することも念頭に、オバ
マ大統領は「天然ガスブームが米国をエネルギー自給に導いている」と一般教書
演説で強調、さらに2017年にガスの対日輸出を解禁するという発表を続けて
いるのかもしれない。
従来の産出国は、顧客を奪われないためには今後、米国の出す価格と勝負でき
る程度の廉価販売をする必要に迫られる。
天然ガスの価格が低く抑えられれば原発を止めて天然ガスを主力にしている日
本の電力会社にとっても大きなプラスである。天然ガスと石炭ガス化燃料との混
合燃焼もコストをさほどかけずに出来る。最高熱効率67%を目指す石炭ガス混
合火力の「コ・ジェネレーションシステム」が世界中に建設されれば、今燃やし
ている資源から二倍のエネルギーが回収でき、廃熱は半分以下に、公害源である
窒素酸化物、硫黄酸化物、煤煙などはほとんどゼロに出来る。
エネルギーの安定供給を考えるならば「シェールガス革命」という「共同幻想」
は大いに使えるのではないだろうか。
以上転載終わり
自分としては、最後のところは明白な間違えだと思う。つまり、2017年から始まるシェールガス輸出はその時の時価でのものだからだ。つまり、日本は環境回復コストを含められたとんでもない高値での買い取りを強制される可能性が強いのだ。
日本は原発をやめて地熱をやるべきだ。アメリカのシェールガス開発も水平掘りや水圧破砕技術が高温岩体発電にも使えるものであることから、現実には高温岩体発電の大規模な準備を兼ねていることがはっきりしている。日本はこのままでは単にアメリカの付けを押し付けられるだけだ。
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