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福島市の「小鳥の森」を1年ぶりに歩いた。原発事故から26カ月になろうとしている今も、森の中は放射線量が高く、作業に従事している人も「子どもを連れては来られない」と言い切る。汚された野鳥のオアシス。大規模除染をすれば生態系が破壊されるとの指摘も。汚染の実態と除染の難しさを体現しているのがこの森だ
【「子どもを連れてくるような場所ではない」】
県道309号線から森へ続く道を上る。坂道を上がるにつれて、手元の線量計の数値が上がっていく。高さ1bで0.6、0.8、1.0(μSV)…。上がりきった駐車場に設置されたモニタリングポストは1.2μSVを超す値を表示している。ちょうど1年前にも通ったこの道は、残念ながら全く当時と変わっていなかった。
木製ベンチで持参した弁当を食べた後、案内板に従って森に入る。手元の線量計は1.2μSV超。ベンチでもビニールを敷いた上に線量計を置いていたが、1.2μSVを下回ることはなかった。
炭焼き小屋で、福島市シルバー人材センターに登録している男性らが作業していた。原発事故を境に、森の中の木を焼くことはなくなった。焼きあがった炭は、園内の「ネイチャーセンター」の暖炉や炭焼き体験などで活用されている。
近くにはせせらぎが流れ、開園20周年記念碑が立っている。手元の線量計は1.3μSV。
「1.5(μSV)くらいあるか?1.3か…。低い方だね。除染をしたと言っても枯葉を集めたりする程度だから、何度やったって放射線量は下がらないね。アスファルトについた放射能は雨が流すんだろうけれど、土の部分はまだまだ高いからね。子どもを連れてくるような場所じゃないわな」
腰をかけ、持参した弁当を広げながら、初老の男性は苦笑した。
春の陽光に、野鳥が美しいさえずりが交差する森。男性の哀しげな表情が印象的だった。
森の中は、1.0μSV超が日常。とても子どもを連
れて行かれる空間ではない=福島市山口
【「除染をしたら生態系が壊れてしまう」】
森の中腹にある「ネイチャーセンター」では、レンジャーと呼ばれる「日本野鳥の会ふくしま」スタッフが、森の野鳥や植物の案内をしている。
「森の放射線量は、依然として高い所で1.8μSVくらいあります。高いです。定期的に線量を測定し、ホームページ(http://f-kotorinomori.org/radiation/ )で全て公開しています。それで来ていただくかどうかは、各人それぞれに判断して欲しいです」。
森は幼稚園や学校の遠足、課外活動で利用されることも多かった。だが、原発事故で状況は一変。子どもの姿はほとんど見なくなった。レンジャーたちも、学校に出向いて野鳥や森のことを教える機会が多くなったという。
レンジャーの男性は、森林除染の難しさを口にした。
「除染は必要です。でも、例えば木々を伐採してしまったらどうなりますか?生態系は壊れてしまいます。だから、本格的な除染はできないと思います」
センターの一角では、森の巣箱に設置された小型カメラが映すヤマガラのヒナの様子が流されていた。窓の外では、野鳥が盛んに鳴いている。暖かくなり、スタッフが森を巡回するとムササビの姿を見ることもあるという。
「森の放射線量が高いのは事実です。でも、放射線によって野鳥が奇形になるなどの誤った認識は持ってほしくないです。正しい情報を発信していきたいです」
(上)散策道からさらに林に入ると、放射線量は
2.0μSVを超す
(中)炭焼き小屋の近く、記念碑付近では1.3μSV超
(下)「シジュウカラの小径」でも1.2μSVを上回った
【低い地点でも0.9μSV超】
今年11月に開園30周年を迎える野鳥のオアシス。
52ヘクタールの広大な森は、福島第一原発の水素爆発によって激しく汚染された。ネイチャーセンターに訪れた2人の女性はカタクリの花がお目当て。園内に群生地があるのだ。女性レンジャーに「ここって放射線量は高いの?」と尋ねると、「はい、高いです」ときっぱりと答えていた。
園内は「ホオジロの小径」「カワセミの小径」「シジュウカラの小径」と散策路が整備され、小鳥のさえずりを聴きながら野草の観察もできるが、歩いても歩いても手元の線量計の数値は1.2-1.3μSVのまま。唯一、見晴らし台では1.0μSVを下回ったが、それでも0.9μSV以下には下がらなかった。
シジュウカラの小径を通り、再び県道に下りた。県道の向こう側は阿武隈川。河川敷には、花見山までのシャトルバスを待つ観光客の行列が出来ていた。
(了)
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