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電力各社、「老朽原発」再開探る 可燃性ケーブル扱い焦点
原子力発電所の再稼働に向けた新しい規制基準の施行が来月に迫る中、電力会社は30年超経過した「老朽原発」の運転再開も目指し動き出した。新基準では電源ケーブルを燃えにくいタイプに交換することなどを求めているが、各社は部品を換えずに現状のままでも安全であることを立証し、再稼働に臨む方針だ。
今年で43年目となる関西電力美浜1号機(福井県)など、運転から30年以上経過した全国の原発のうち13基で、可燃性ケーブルが使われている。建設当時の指針では認められていた。現在は延焼防止剤を塗って燃えにくくしてある。
新基準が求める難燃性ケーブルへの交換となると、原子炉建屋内外を含めケーブルの長さが東京―大阪の往復に相当する計千キロメートル以上になる原発もあり、膨大な費用と時間がかかる。
電力各社は共同で可燃性ケーブルの延焼試験を始めた。ケーブルにバーナーをあてて燃やした後、火が燃え広がらず、自然と消火するかどうか確かめる。交換をしなくても難燃性ケーブルと同レベルの安全性を確保できると主張していく考え。米国では学会規格に基づく延焼試験で耐火性能をクリアすれば、使用は認められている。
再稼働に向けた新基準では原発の寿命を原則40年とした。20年を限度に延長を認める制度も導入したが「全部クリアするにはそれなりの時間とお金がかかる」(原子力規制委員会の田中俊一委員長)。30年超の原発は残りの運転年数が限られるほか、出力が小さい。新基準に対応するための工事費用や時間がかさめば「再稼働は割に合わない」(ある電力会社)。
新基準の要求を満たさなくても「安全性は十分」とする電力会社の主張は認められるのか。
規制委で新基準づくりを担当した更田豊志委員は「性能水準を満たせば構わない」と発言しており、新基準と同じレベルの性能であることを立証できれば合格とする可能性を示唆する。
新基準では燃えにくいケーブルやフィルター付きベント装置など、具体的な機器の種類や台数を詳細に定めているが、更田委員は「あくまで例示にすぎない」とも述べる。
ただ、米国では延焼試験の導入に10年かかった。今回、電力各社による試験結果がどこまで客観データとして評価できるのかも不透明。新基準と同等の安全性といえるかどうか、確認に時間がかかる公算は大きい。
規制委は再稼働への審査に厳しく臨む考えを崩しておらず、電力会社の主張が期待通りに受け入れられるとは限らない。
7月の新基準導入時には、電力会社は比較的新しい原発を優先して再稼働を申請する見通し。今後始まる審査で規制委が厳しい姿勢を打ち出せば、電力各社は戦略の練り直しを迫られる可能性もある。
(川合智之)
[日経新聞6月11日朝刊P.16]
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