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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013060802000111.html
2013年6月8日 朝刊
四月に相次いだ東京電力福島第一原発の地下貯水池からの汚染水漏れ問題で、ようやく池の水を地上タンクに移す作業が終わりに近づいた。だが、福島第一では毎日四百トンのペースで汚染水が増え続け、タンクは完成するとすぐに使われていく。作業員たちは強風や暑さの中、タンク増設に追われている。
「敷地内はタンクでいっぱい。すき間を見つけ、猫の額ほどの小さな土地にもタンクが造られている」。長く事故収束作業に当たってきた男性作業員が様子を語った。
ここ一カ月半ほど、現場はタンク増設で大わらわだった。水漏れで池が使えなくなり、約二万四千トンもの汚染水を一気に地上タンクに移す必要があった。
敷地南側の高台に、急きょ三十八基のタンクを増設。その作業と並行し、新規に発生する汚染水用のタンク増設もどんどん進めないと、水の行き場がなくなってしまう。
空いた敷地が少なくなってきたため、せいぜい三基しか造れないような場所にも、タンクを造る状況になってきた。各所で地盤改良や組み立てなどが同時並行で進む。
福島第一を離れたベテランを急きょ呼び戻し、新しい人も次々増員した。ある作業員は勤務が長時間になり、休みも大幅に減った。「暑くなったし、疲れて食欲もない。起きているのは、帰って二時間ぐらい。少しでも早く寝る」
最近では、鋼材をボルトでつなぎ合わせて短期で完成するタンクのほか、耐久性に優れた溶接型のタンクも導入された。
ただ、溶接型は一枚数トンある鋼材をクレーンでつり上げ、現場で溶接する難しい作業を伴う。福島第一周辺はもともと風が強く、突風であおられれば大事故になりかねない。風速計をにらみ、強風のときはサイレンを鳴らして作業を中止する。
ベテラン作業員は「前倒しにと言われても、これ以上できない。完成したらすぐにでも水を入れたいという感じ」とため息をついた。
人が増えて一時期よりは少し楽になったというが、残業が百時間を超えた月があったという人も。「みんな疲れがピークに達している。事故が起きないかとても心配」
それでもタンク増設の手を休めるわけにはいかない。「五月の大型連休もなかったが、このままだとお盆休みも危ない」と作業員の一人はつぶやいた。
(片山夏子)
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