03. 2013年5月30日 21:44:53
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NHKニュース動画汚染水対策 地下水流入抑制で遮水壁設置へ 5月30日 19時22分 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130530/k10014964631000.html 東京電力福島第一原子力発電所で汚染水増加の原因となっている地下水の流入を減らすため、国の専門家委員会は、建屋周囲の地盤を凍らせて水の流入を遮る壁を設置する新たな対策をまとめました。 ただ、設備の維持コストが高く技術的な課題もあるとして、国に研究開発などでの積極的な関与を求めています。 福島第一原発では1日400トンのペースで地下水が建屋に流れ込み、汚染水増加の原因となっていて、先月、地下の貯水槽から汚染水が漏れたのをきっかけに、国が専門家委員会を設置して抜本的な対策を検討していました。 その結果、30日に開いた3回目の会合で、地下水の流入を減らすため、1号機から4号機の建屋全体を囲むように水の流入を遮る壁を設置する新たな対策をまとめました。 具体的には、複数ある壁を造る工法の中から、遮水効果の高さや工事期間の短さから、地盤を凍らせる方式を採用し、平成27年度前半までの運用を目指すべきだとしています。 そのうえで長期的な対策案も示し、遮水壁に加えて、建屋の山側の井戸から地下水をくみ上げて海に放出する「地下水バイパス」などの方法を組み合わせて、段階的に地下水の流入を減らし、最終的に8年後の平成33年までに地下水の流入を止めるとしています。 東京電力などによりますと、遮水壁は地下水の流入を強制的に遮ることから、最悪の場合、建屋周辺の地下水の水位が下がりすぎて、汚染水が建屋から地下水側に逆流するおそれがあるということです。 このため、遮水壁の設置に当たっては、地下水の水位が下がり過ぎた場合に、井戸に水を入れて水位を回復する対策なども検討すべきだとしています。 ただ、地盤を凍らせるて造る遮水壁は設備の維持にかかるコストが高く、水位の管理という技術的な課題もあり、専門家委員会は、国に研究開発や制度面での支援など積極的な関与を求めるとともに、早急に実現可能性を検討すべきだとしています。 地下水の現状と課題 福島第一原発には、敷地の山側にある高台から海に向かって大量の地下水が流れて汚染水増加の原因となっていて、いかに地下水の建屋への流入を減らすかが課題となっています。 その対策としてこれまでに検討されてきたのが、サブドレンと呼ばれる建屋の周囲にある井戸から地下水をくみ上げて地下水の水位レベルを低く保つことや、地下水の流入経路となっている建屋の隙間などを埋めること、それに、山側に新たに井戸を堀って建屋に流れ込む前にきれいな地下水をくみ上げて海に放出する「地下水バイパス」という方法などです。 しかし、サブドレンは、事故で放出された放射性物質で汚染されて復旧のめどがたっていないほか、建屋の隙間を埋める作業も高い放射線量がネックとなって進んでおらず、900近くあるとされる建屋の隙間のうち、埋めることができたのは3か所にとどまっています。 このため、最も現実的な対策として検討が進んでいたのが「地下水バイパス」でした。 東京電力は、建屋の山側12か所に新たに井戸を掘り、水質検査で放射性物質の濃度が法令の基準以下であることを確認したうえで海に放出する計画でこの対策によって地下水の流入量を最大で1日100トンほど減らせると見込んでいました。 当初はことし4月中にも実施したい考えでしたが、地元の漁業者側から「地下水と汚染水の違いについて区別がついていない」などの反発があり、海への放出に同意が得られず、結論は持ち越されました。 抜本的な解決策が見いだされないなか、汚染水は1日400トンのペースで増え続けています。 これらの汚染水は、一部の放射性物質を取り除く処理を行ったあと、溶け落ちた核燃料の冷却に使われ、現状では、原発の敷地内のタンクで保管するしかありません。 こうしたなかで地下の貯水槽からの汚染水漏れが発生し、政府は、東京電力任せの対策を抜本的に見直そうと急きょ専門家などよる委員会を設置して、検討を進めていました。 凍土式の地下遮水壁とは 福島第一原発の汚染水対策で採用されることになった地盤を凍らして地中に壁を造る工法は、水の流入を防ぎたい地下鉄のトンネル工事などで実績があります。 「地盤凍結工法」とも呼ばれるこの工法は、ゼネコンの鹿島が提案し、案では、1号機から4号機までの建屋全体を囲むように1メートルほどの間隔でパイプを埋め、その中にマイナス40度の液体を流して循環させ地盤を凍らせて固めることで、水の流入を防ぐとされます。 基本的に地中にパイプを埋めるだけでよく、工事期間が1年から2年ほどとほかの方法に比べて短く作業員の被ばくを抑えられる一方、パイプに冷却用の液体を流し続ける必要があり維持コストがかかるほか、今回のような大規模なものでは10年以上の長期にわたって運用された実績はほとんどありません。 鹿島などによりますと、地盤を凍らせて造った壁は水を通さないということで、凍った地盤が溶けないかぎりは機能が維持されるほか、地震などでひびが入ってもすぐに再び凍らせることができるということです。 |