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安倍政権/加速する原発輸出/福島事故の収束ないまま
「しんぶん赤旗」 2013年5月30日 日刊紙 8面
原発輸出をすすめる安倍音三首相のもと、日本の原子炉メーカーの原発輸出が加速しています。東京電力福島原子力発電所事故の原因究明も、収束もできず、「安全基準」づくりも完全に破たんしたまま、原発を他国に輸出するのは、人類の未来を危うくするものです。 (佐久間亮)
今月初旬の中東訪問で安倍首相は、2日にアラブ首長国連邦、3日にトルコと原子力協定を相次いで締結。仏原子力大手アレバと組む三菱重工の、2023年までにトルコの黒海沿岸に4基の原発を建設するプロジェクト受注が事実上確定しました。
同社は、米テキサス州ルミナント社からも原発1基を受注しているほか、民主党政権(当時)が12年に原子力協定をむすんだヨルダンでも、アレバと組んで受注をめざしています。
原子力協定がむすばれていない国への売り込みも活発です。30年までに400万〜8000万`hの原発建設を計画するブラジルで、三菱重工は12年11月、約30の企業・機関を対象に現地説明会を開催。アルゼンチンでも受注活動を展開しています。
米ゼネラルエレクトリック(GE)と提携する日立は12年3月、リトアニアのピサギナス原発プロジェクトの事業権を獲得。同年11月にはイギリスの原発会社ホライズンを買収し、今後同社の用地2カ所にそれぞれ2〜3基の原発を建設するとしています。
日立は、20年に初の原発稼働をめざすポーランドで、同国の企業や大学と盛んに予備契約を交わすとともに、学生をインターンとしてGE日立の米国本社に招くなど、原発技術者育成も進めています。
東芝は2月、フィンランドのフェンノポイマ社がハンヒキビに計画している原発建設の直接交渉相手に選ばれました。同じくTVO社のオルキルオト原発の入札にも、傘下の米ウエスチングハウス(WH)と共同で参加。同入札には、GE日立、三菱重工も参加しています。
WHは米国と中国でそれぞれ4基の原発の建設を進めるとともに、チェコのテメリン原発の入札にも参加しています。
相次ぐ事故/多くのリスク
「環境・持続社会」研究センターの田辺有輝(たなべ・ゆうき)さんの話 原発輸出には多くのリスクが伴います。特に、トルコやヨルダン、ベトナムなど、これまで原発を建設したことがない途上国への輸出は、先進国とはまた違う危険があります。
ベトナムでは07年、日本の政府開発援助(ODA)で建設していた橋が崩壊する事故が起きましたが、途上国ではそういった事故が頻発しています。トルコやヨルダンは、テロや地域紛争の問題も抱えています。
放射性廃棄物の処理をどうするのか。そういうことまで含めて輸出先の国民の中に合意があるのかという問題もあります。
インドは1970年代から原発を建設してきましたが、79年には部分的なメルトダウン、93年には火災による全電源喪失、95年には2カ月にわたって湖へ放射能汚染水を放出するなど、重大事故が相次いでいます。
福島原発事故の原因も究明されず、「世界一安全」とはとても言えない状況です。被災者の生活再建もできていない段階での輸出は倫理的にも問題です。
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