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http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130525-00014068-toyo-bus_all
東洋経済オンライン 5月25日(土)8時0分配信
原子力規制委員会が昨年9月の発足以来、初めて原子炉使用不可の判断を下す。
規制委の専門家調査団は15日、日本原子力発電の敦賀原子力発電所2号機の直下にある断層を「活断層」と断定した報告書をまとめた。規制委は22日にも定例会で認定を了承する。今後、日本原電から活断層を否定する証拠が提示されないかぎり、規制委は再稼働を認めない。日本原電は「議論が一方的」などとして抵抗しており、法廷闘争に持ち込む可能性もある。だが現状、2号機は廃炉が濃厚になった。
規制委による原子炉の選別はこれから本格化する。敦賀原発が抵触した敷地内断層の安全性調査もその一環だ。関西電力の大飯原発と東北電力の東通原発でも評価会合が続いており、東通1号機は活断層の存在が認定される方向にある。関電の美浜原発、北陸電力の志賀原発、今回約1万点に上る機器の点検漏れが見つかった高速増殖炉もんじゅの敷地内でも断層調査が行われる予定だ。
そして、停止中の原子炉を再稼働するうえで必須となるのが、「新規制基準」に照らした安全審査。新基準は、原子炉等規制法に基づく原子力規制委員会規則として、7月18日までに公布・施行される。それを受けて、各電力会社は原子炉ごとに再稼働の申請を出し、規制委が新基準への適合性を判断する審査を行う。
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■ 関西電力vs.規制委
新基準を用いた規制委の審査の厳格さを測る意味で試金石と目されているのが、唯一稼働中の大飯3、4号機に対する安全性評価である。
大飯3、4号機は昨年7月、関西地区の電力不足への緊急対策として、当時の民主党政権による政治判断で再稼働が認められた。一応、当時の暫定的な安全基準をパスしたことになっているが、新基準による審査を待たずに、いわば仮免許の状態で運転されている。9月には法定の定期検査に入るが、今のまま新基準施行後も運転が続けば完全な違法運転ともなりかねない。
そこで規制委は、特例的に定期検査までの運転継続を認める条件として、新基準案に照らした評価会合を4月から行っている。あくまで科学的見地に立った安全性の評価であり、電力需給や経済的影響などの要素は含まない。場合によっては定期検査前に運転停止を求めるとしており、事実上の事前審査といえる。
これまでのところ、規制委と関電の対立があらわになっている。たとえば地震・津波の安全性評価会合では、「周辺海底にある二つの断層と陸上の熊川断層の3連動を前提として基準地震動を評価すべき」とする規制委に対し、関電側は「その必要はない」と主張。議長を務める島崎邦彦・規制委員長代理は「なかなか理解していただけない」と不満を示した。原発直下の地下構造についても、関電の調査は不十分だと厳しく指摘している。
関電がおそれるのは、基準地震動や基準津波を大幅に引き上げた場合、大飯原発は7月以降、運転停止に追い込まれるだけでなく、定期検査後も防潮堤を完備する14年3月以降まで再稼働の申請が遅れかねないことだろう。
一方の規制委としては、これまで安全性評価に関して「大飯を例外視しない」(田中俊一委員長)と公言してきただけに、甘い評価を下したと世間から指摘されるようだと、新規制基準ともども規制当局としての信頼性を最初から失うことになる。その意味でも、大飯の評価には単なる予行演習以上の意味合いがある。
■ 再稼働は2〜3基か
大飯の評価、新基準の法制化を経て、いよいよ安全審査が始まる。まずは、どの電力会社がどの原子炉の再稼働を申請してくるかが焦点だ。
7月中にも真っ先に申請されるとみられるのが、九州電力の川内原発1、2号機と四国電力の伊方原発3号機、そして北海道電力の泊原発1〜3号機。ただ、審査の期間や再稼働の可否は定かではない。
規制委は3チーム制で審査を行い、原子炉1基当たりの審査期間について「一般的に半年ぐらいはかかる」(田中委員長)との認識を示している。新基準への設備対応や地元同意などから見て、再稼働の可能性が最も高いのが川内、伊方と目されるが、再稼働できたとしても14年の初めごろとみられる。
泊原発については、敷地内断層や基準津波などの点で今期中の認可は難しいだろう。また、関電の高浜原発は会社側が極力早期の申請を目指しているが、今のところ未定。美浜原発は敷地内断層の調査を控えており、規制委の判断が出るまでは申請は受け付けられない。
その他の原発はさらにハードルが高い。大半が福島第一原発と同じ沸騰水型原子炉(BWR)であるため、格納容器のフィルター付きベント施設の整備が再稼働時までに要求されている。その対応だけでも1〜2年かかり、今期中の申請は難しい状況だ。なお、加圧水型原子炉(PWR)は設置が5年間猶予されている。
東京電力の場合、まず福島第一原発5、6号機、第二原発1〜4号機の再稼働申請は論外。残る柏崎刈羽原発1〜7号機のうち、会社側は中越地震の影響で耐震強化工事が必要な2〜4号機を除く炉の早期再稼働を目指すが、条件は満たされていない。ベントは今年1月に7号機、2月に1号機が基礎工事に入ったものの、本体設備の詳細設計は終わっておらず、完工のメドは立っていない。
そもそも東電に原発運営者としての資格があるのかという議論もある。福島原発事故の原因究明も終わったとはいえず、汚染水問題をはじめ事故収束のメドも立たない。柏崎刈羽の早期再稼働を前提としている総合特別事業計画は、根本的に見直しが避けられない状況だ。
原発が稼働しなければ赤字が続く電力会社は多い(表)。ただ今期中の再稼働申請は少なく、認定もせいぜい2〜3基にとどまるだろう。申請を棄却されたり、廃炉の選択を突き付けられたりする原子炉の数が上回る可能性が高い。過去のずさんな原発運営を抜本的に見直す過程では必然だろう。
(週刊東洋経済2013年5月25日)
中村 稔
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