http://www.asyura2.com/13/genpatu31/msg/598.html
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高速増殖炉『もんじゅ』については本ブログにて何度もその危険性を指摘し、「即時廃炉」とすべきとの主張を繰り返してきた。その理由は『もんじゅ』の燃料が”猛毒”の高濃度プルトニウムであると共に、冷却系に水ではなく、水や空気に触れると爆発してしまう液化ナトリウムが使用されているがために、冷却システムに重大トラブルが生じた際、「福1」の事故対応にて行われているような、水による炉心冷却などを行なおうものなら、忽ちにして大爆発を起こしてしまう一触即発の、まさに”プルトニウム爆弾”そのものだからである。
そんな”プルトニウム爆弾”同然のものが極めて杜撰な管理の下、トラブルが続出しているのであるからこれを「即時廃炉」とすべきであることは当然であろう。今回、”役立たず”の原子力規制委がその『もんじゅ』について「安全確保を十分行える体制が整っておらず、安全文化の劣化が認められる」と明言し、その運転再開に待ったをかけたこと自体は至極真っ当な判断であり喜ばしい話ではあるが、これを諸手を挙げて喜ぶことについては「ちょっと待った」である。
問題は、何故、トラブルが続出し、まったく発電実績もない上、維持費だけでも年間500億円ものコストがかかっている『もんじゅ』が未だに”運転停止⇒廃炉”という話にならないかである。その背景には無論、他の原発同様に『もんじゅ』運転に纏わる”原発利権”という甘い蜜に群がる輩どもが蠢いていることもあるが、『もんじゅ』の場合はもっと大きな命題を抱えているという点が重要であろう。
即ち、「ハイリスク・ノーリターン」という実に馬鹿げた代物であるにも拘らず、『もんじゅ』にこだわり続ける理由は何なのか?という話であるが、それは以前のエントリーでもコメントしてきたとおり、『もんじゅ』が国策としての「核燃料サイクル」の使命を背負う象徴的なもの故、グダグダな状態のまま現在に至っているのである。つまり、『もんじゅ』を「廃炉」とすることは「核燃料サイクル」を諦めるに等しいということである。
しかし「核燃料サイクル」については既に原発先進国とも言える米仏が「実用化は困難」としてとっくにさじを投げた代物であり、事実上、技術的にその実現性は皆無に等しいのである。また「核燃料サイクル」については、以前に東京新聞が指摘しているとおり、「使用済み核燃料95%リサイクル(再利用)可能」というのは大ウソであり、再利用できるのは僅か1%だけというのが”事の真相”なのである。
それでも尚、日本政府が”ペテン”を弄してこれに固執し続ける理由は、一つには「核燃料サイクル」を口実として「核燃料たるウランの保有を”合法化”」することで、「核の潜在的抑止力」「核兵器の保有」を正当化するためであろう。「核の潜在的抑止力」「核兵器の保有」については、話が長くなるため今回はこれ以上深く掘り下げて言及はしないが、安倍・石破ら自民党政権の重要閣僚や、”ゴロツキ”石原慎太郎らのこれまでの発言を持ち出すまでもなく、”右寄り”の輩どもがこれを保持せんと欲していることは自明であろう。
そしてもう一点、「核燃料サイクル」に固執する理由は、先日ツイッターでもつぶやいたとおり、「核燃サイクル」を放棄した瞬間、現状では電力各社にて「資産」計上されている使用済み核燃料が、一転して「負債」となり、電力会社は軒並み財務面で大打撃を受けるからである。
即ち、実際は捨て場に困っているゴミ以外の何ものでもない”使用済み核燃料”を、「将来的に役に立つもの」としてその”価値”を肯定しなければ、電力各社は大量に保管している”使用済み核燃料”を本来あるべき話として「負債」として財務上処理しなければならず、そうなれば電力各社は一気に財務面が悪化し、経営危機に陥るということである。
そうなれば国内の電力の安定供給への影響があまりに甚大なものとなるために、誰も「核燃料サイクル」を止められないのである。今回の原子力規制委の運転停止措置についても、あくまでも「今年度」というイクスキューズ付きであるのはその”責任の重大さ”のためであり、規制委は政治的背景まで背負って判断することを放棄しているとみるべきであろう。(この点については安易に規制委を責めることはできないであろう)
そんなこんなで本題の本質部分を棚上げにされたまま現在に至っているのが「核燃料サイクル」であり、『もんじゅ』であることを我々国民はよくよく理解することが肝要であろう。
※参考1「『もんじゅ』という名の”原発利権”に塗れた破壊兵器」
http://blog.goo.ne.jp/tarutaru22/e/161da6aedb8198fab37c53a13e6ad3da
※参考2「続・『もんじゅ』という名の”原発利権”に塗れた破壊兵器 〜6月に中継装置引き上げ再開へ〜」
http://blog.goo.ne.jp/tarutaru22/e/264b3ba12ed448f087822738568dad39
※参考3「『もんじゅ』の炉内中継装置の引き上げ作業が無事完了 〜喜びも束の間、一難去ってまた一難?〜」
http://blog.goo.ne.jp/tarutaru22/e/af6035068da45785440d1ba913f6a008
※参考4「国策としての「核燃料サイクル」はもはや風前の灯 〜『六ケ所村』も『もんじゅ』もトラブルだらけ〜」
http://blog.goo.ne.jp/tarutaru22/e/be37f2a671653e1db9c8b333e8c3456e
※参考5「原発は巨大な不良資産 〜不良資産化する原発によって電力会社が経営難に〜」
http://blog.goo.ne.jp/tarutaru22/e/10dc91ac7eb11d052e417789831f3335?fm=rss
※参考6「「使用済み核燃料95%リサイクル(再利用)可能」の大ウソ 〜再利用できるのは僅か1%だけ〜」
http://blog.goo.ne.jp/tarutaru22/e/69b72234c685b7c78c2ee0b47592cc02
(転載開始)
◆もんじゅ 運転再開は事実上困難に
5月15日 12時9分 NHKニュース
福井県敦賀市の高速増殖炉「もんじゅ」で重要な機器の点検漏れなどが相次いでいることを受けて、国の原子力規制委員会は「安全確保を十分行える体制が整っていない」と判断し、法律に基づいて体制の改善が確認されるまで運転再開に向けた準備作業を行わないよう命じることを決めました。これによって、今年度内を目指していたもんじゅの運転再開は事実上、難しくなりました。
「もんじゅ」を巡っては、去年、国の検査をきっかけに安全上重要なものを含む9800余りの機器で点検漏れなどが見つかったほか、事業者の日本原子力研究開発機構が報告書を提出したあとも点検の放置が見つかるなど、ずさんな安全管理の体制が大きな問題となっています。これを受けて、原子力規制委員会は15日の定例会合で、事務局の原子力規制庁がことし2月から3月にかけて行った立ち入り検査などの報告を基にもんじゅの処分内容について検討しました。
この中で、田中委員長らは「何度も違反を繰り返している印象が否めない。かなり事態は深刻だ」などと原子力機構の組織体制を批判しました。その結果、規制委員会はもんじゅについて「安全確保を十分行える体制が整っておらず、安全文化の劣化が認められる」と判断し、法律に基づいて体制の改善が確認されるまで運転再開に向けた準備作業を行わないよう命じることを決めました。ナトリウム漏れ事故を起こし14年余り運転が止まっていたもんじゅは、3年前に運転を再開しましたが、燃料を交換する装置が原子炉内に落下するトラブルを起こし、現在、停止したままになっています。
規制委員会は今後、原子力機構に弁明の機会を与えたうえで正式に命令を出すことにしており、今年度内を目指していたもんじゅの運転再開は事実上、難しくなりました。
○委員からは厳しい意見
会議ではもんじゅを運営する日本原子力研究開発機構について、田中委員長はじめ各委員から厳しい意見が相次ぎました。
田中委員長は「点検漏れなどを何度も繰り返している印象をぬぐえず、事態はかなり深刻だ。報告書の中で『もんじゅは国のサイクル政策を形にしたもので、そうした背景から工程は簡単に事業者だけで決められない』などという話しがあったが、いかにも空々しい。作業工程優先ではなく、安全が優先され安全文化を大事にすることが重要だ」と述べました。
島崎委員は「点検漏れの指摘を受けた報告書でも不備が見つかり、その場しのぎで作文したと言わざるを得ない。このような組織が存在していること、それを許していること自体問題だ」と批判しました。また、大島委員は「安全文化の劣化や組織的な問題が指摘されなければならないという今回の事態は相当深刻で、病は深い。事業者や監督官庁が安全文化を徹底しなければ問題の解決にはならない」と指摘しました。
(転載終了)
http://blog.goo.ne.jp/tarutaru22/e/33cf2aaf372a8d2f8e36e78293b8a813
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