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2013年5月17日15時2分 朝日新聞
【福井悠介】東京都と千葉県の県境を流れる江戸川で釣り人が取ったウナギから国の基準を超す放射性セシウムが検出されたとする研究者の調査結果について、3月末ごろ把握した都と千葉県が、独自調査や情報の公表を先送りしていたことがわかった。両都県は「漁業でなく流通しないので調査しなかった」と説明している。
調査したのは近畿大の山崎秀夫教授(環境解析学)。東京都葛飾区で自営業女性(47)が3月9日に釣ったウナギから、国の基準値(1キロあたり100ベクレル)を上回る147・5ベクレルの放射性セシウムが検出された。ゲルマニウム半導体検出器で調べた。女性は、報道で江戸川下流にセシウムがたまっていると知り、山崎教授へ送ったという。
公的調査の裏付けや、他の魚種への影響を調べる必要性を考えた山崎教授は3月末、水産庁へ通報。同庁は都と千葉県へ知らせたが、両都県は16日までに調査をしていない。
都水産課は「流通に回るものが基本的な検査対象。ウナギ漁は夏から」、千葉県漁業資源課は「県内になりわいでとっている人がいない」としている。
水産庁は「食べている実態があれば調査するよう都県に連絡した」と説明。17日、山崎教授が保存する検体の調査を始めた。
山崎教授の調査によると、4月と5月に同じ女性が江戸川で釣ったウナギ4匹で1キロあたり97・4〜129・6ベクレルを検出し、3匹で基準値を上回った。江戸川周辺は趣味のウナギ釣りが盛んで釣り雑誌にも紹介されている。これまで公的機関では、江戸川で取れたウナギで基準値超えは確認されていない。
◇
〈江戸川河口などでセシウムの魚介類への影響について調べる東大・鯉渕幸生准教授(沿岸環境学)の話〉 ウナギが雑食で、川にいる魚はセシウムをとりこみやすく、捕獲した所が川底にセシウムがたまる河口近くなど、複数の要素が重なったまれなケースではないか。河口付近の他の魚や貝を調べているが、セシウムは検出されていない。ただ、注意深く調査を続けることが必要だ。
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