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南相馬の内部被曝検査、関心低下との戦い
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130515-00013925-toyo-bus_all
東洋経済オンライン 5月15日(水)6時0分配信
原発事故から2年が過ぎた福島県で、放射線被曝に対する関心の低下が問題になっている。南相馬市は県内で最も早くホールボディカウンター(WBC)による住民への内部被曝検査体制を確立した自治体だが、中心になってかかわった坪倉正治・南相馬市立総合病院医師は今、市民の関心に危機感を強めている。
東京大学医科学研究所に在籍する坪倉医師は、東日本大震災発生直後の2011年4月に相馬市に入り、住民への医療支援活動に従事。その後、原発事故で住民の多くが避難を余儀なくされた南相馬市でのWBC導入に奔走した。坪倉医師らの努力により、南相馬市立総合病院では2011年7月からWBCによる内部被曝検査をスタート。約7万人の市民のうち、およそ2万5000人が現在までにWBC検査を受けている。
■ WBC受診者が3分の1に激減
だが、ここへ来て、検査人数の大幅な減少が大きな問題になっている。
坪倉医師によれば、「最近、WBC検査の受診者は以前の3分の1程度」。住民の関心低下に危機感を抱いた坪倉医師らの尽力によって、小中学生については今年4月から年2回の学校健診時に市立病院に来てWBC検査を受けるシステムがスタートした。
同時に市民全員を対象に、「健診時にWBC検査を受けましょう」という趣旨の文言を盛り込んだダイレクトメールを送る仕組みも導入した。いずれの取り組みも、WBC検査があくまで希望者を対象としたレベルにとどまる福島県内では初めてのものだ。
住民の関心低下にはいくつかの理由がある。最大の理由として、内部被曝検査での放射性セシウムの検出率が大幅に下がっていることが挙げられる。
原発事故直後の11年に実施されたWBC検査では、子どもの約半数からセシウムが検出された。だが、その後は検出率が大幅に低下。「現在集計中の12年度下期のデータでは、子どもの99%以上、大人でも95〜96%が検出限界以下になっている」(坪倉医師)。
坪倉医師によれば、「食品の検査体制の確立などにより、汚染された食品が出回らなくなったことが大きい」という。ただ、内部被曝リスクの減少は望ましいことである反面、住民の関心低下という新たな問題も起きている。
現在、福島県での最大の問題は、住民の健康管理に関する取り組みがバラバラに行われたまま、情報の統合的管理や提供がまったく行われていないことだ。
たとえば、小児甲状腺検査は「県民健康管理調査」として福島県立医科大学が主導する形で全県で取り組みが続けられている一方、WBC検査は県の事業または市町村による任意事業にとどまっている。
また、ガンマ線による外部被曝を測定するガラスバッジの配布は市町村任せになっており、当初から実施しなかった自治体もある。加えて、甲状腺検査とWBC検査、ガラスバッジ検査のデータを統合して個々人の健康管理につなげるという発想は県にも市町村にもなく、住民には検証が不十分なまま、情報がバラバラに伝えられている。
■ 責任不在の健康管理体制
いずれの検査も「安心感を与える」ことが主目的とされていることから、高い値が検出された「ハイリスク」の住民に適切な医学的指導を実施する体制も存在しない。だが、こうしたルーズなやり方を続けている限り、住民の不安解消にはつながらない。
現在のWBC検査について、坪倉医師は「平均値が低いことはすでに周知の事実。それでよしとしておくだけではダメだ」と語る。「今の時期に体系的な検査システムを構築しておかなければ、健康管理の取り組みを継続すること自体が難しくなる」(坪倉医師)。
折しも2月に発表された県民健康管理調査の結果では、3人の子どもが甲状腺がんと診断され、7人にその疑いがあるとされた。小児甲状腺がんは「通常、100万人に1人か2人見つかる程度」(鈴木眞一・福島県立医大教授、県民健康管理調査検討委員会委員)とされてきただけに、波紋が広がっている。国や県が対応を怠ったことで原発事故直後の被曝データが存在しないことや、さまざまな検査データが未統合であることなど、問題は山積している。
福島県は現在、県外に避難した住民に帰還を呼びかけているが、真の意味での安心につながる取り組みもないままでは、住民を呼び戻すことはできない。WBC検査への関心の低下が投げかけている問題は根が深い。
岡田 広行
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