http://www.asyura2.com/13/genpatu31/msg/527.html
Tweet |
一年以上前に書かれた記事です。しかし、とても重要な論点を含んでいるようなので、引用させていただきました。つまり、意図的に原子力保安院、関係学会、電力会社が協力して、ちゃんとした地震対策を怠ってきたと書かれているのです。
更に、「東電の情報を分析した結果、メルトダウンする以前に圧力容器が破損し底が抜けた」とも書いています。このことは自分もこの1年ほどこれしかいろいろな事故対応の不合理さを説明する仮説はないと考えてきていることです。
http://www.kyorotto.jp/concierge/20120420.html
環境コンシェルジュ
-原発には通じない“もったいない”-
第二回 耐震性・耐爆性で格段に劣るBWRの問題点
福島第一原発事故
工博 田邉 恵三
2012.4.20更新
1971年に遡る。当時、筆者はフランス系原子炉技術会社でプレストレストコンクリート構造の耐爆型シェル構造:「PC格納容器・PCドーム建屋」に関係していた。その時の議論に立ち返れば、福島第一原子力発電所の被災は決して『想定外だった』とは言わせない。明らかに原子力安全神話が、事故に重大な影響を与えている。
建設当時、福島原発事業の原子炉の格納容器は、米国BWR(Boiling Water Reactor:沸騰水型原子炉:Mark1旧式原子炉)が、PCドーム建屋で守られた仏系原子炉・建屋に比べ、耐爆性・耐震性・耐圧性において、格段に劣る初期原子炉であることは分かっていた。BWRを開発した米国でさえ、スリーマイル島原発建屋は、ニューヨーク市民を守るために、爆破テロや飛行機事故対策に強固な耐爆ドームを建設しているからである。
それでは日本では、原発を安全に運転するためにどのような対応がなされていたか。わが国の原発は広く流布された安全神話とは裏腹に、BWR原子炉は直下型地震を受けた際の衝撃波によるダメージは、初めから想定外と切り離していた。改善すべきだった重要な機能・性能システムを放置し続けて、課題を山積したまま現在に至ったのである。原子力安全・保安院、原子力安全委員会および東電は、見事なまでに三位一体となって直下型地震への対策を見過ごし続けたことになる。
中越沖地震で東電の柏崎刈羽原発が被災しても尚、土木学会では学者の派閥争いから長周期地震動として捕らえ続けた事実がある。それどころか、ニュージーランド南島のクライストチャーチ市で発生した都市直下型地震の社会的反響が広がるまでは、わが国では長周期地震への予算配分を最優先させ、福島第一原発事故への警鐘さえ怠ってしまった。この恥ずべき行為こそ原発事故を誘発させた人災ではなかろうか。
直下型地震が多発する地震国日本であれば、ベント装置(バルブ開閉装置、建屋排気塔のベント開閉装置、放射能除去フィルター装置)の設置は世界の常識である。これを怠ったがゆえに、緊急時の作業ができなかった。その結果、操作不能・操作ミスを重ね、最悪な水素爆発事故を招いてしまったことになる。
福島原発の水素爆発に至る経緯から、次の多重機能喪失の項目を明らかにしたい。@建屋に外部電源から操作可能なVent装置がない。A緊急時に外部電源で建屋内パイプラインバルプの開閉操作ができない。B外部電源を使ってパイプラインベントの操作ができない場合、ベント開閉部には放射能除去フィルター設置が必須。C爆破テロ・直下型地震・水素爆発等に耐える耐爆・耐震・耐圧のドームではなく、単なる仮設建屋に近い。D絶対にあってはならない基礎構造だったために鉄塔が倒壊、送受外部電源が遮断された。EBWR原子炉のサプレッションプールと格納容器接続部は直下型衝撃波で破裂・漏水しやすい。また直下型衝撃波で圧力容器内燃料棒が落下した可能性が強まっている。F過酷時を想定外としてきたため、操作マニュアルが誤作動した。G津波によりタービン建屋内海水が浸入。事故は電源喪失等の多重機能喪失の仕業にしてしまった。
項目ごとに、
@建屋Vent排気塔設置を米国から指摘されていたが、東電は設置することを10年前から無視続けた。
A 全ての外部電源が遮断されても、パイプラインベントの開放操作は冷却機能電源と同時にバッテリーバックアップするベント電源回線する機能は必要だった。
B 緊急時ベント開放する際、二重バルプの安全弁がある。緊急時の電源喪失で操作不能で手動に切り替えた場合、放射能除去フィルター装置が無いので、水素爆発を招いた。吉田所長が最後に言われた「決死隊を組んでもやる」システムだった。
C 大飯原発(福井県)のように、耐爆・耐震・耐圧に対応する強いPCドーム構造を備えた建屋でなく、爆破テロでも簡単に崩壊する安易な建屋を建設し、安全機能を怠った。
水素爆発を防ぐには、ベント設備(排気塔・圧力開放ベント・放射能除去フィルター装置)設置は必要不可欠であった。建屋内パイプラインのバルブ開放を行い、一旦は格納容器の爆発を防いでも、最終的に建屋内に充満する排気塔からの圧力開放を怠っており、水素爆発を招いた。
D巨大地震なると、支持地盤には大きな引き抜き力が生じるため、通常の直接基礎の設計では簡単に倒壊する。
E 電源喪失を招き水素爆発を招いたのは想定外の津波として報道されてきたが、基礎構造の欠陥を指摘している人は少ない。今後、直下型地震が想定される地域で原子炉稼働させるには、津波もさることながら送受電線の鉄塔倒壊を完全に防ぐ基礎構造の補強が先決だ。
2007年6月16日に発生した新潟県中越沖地震では柏崎刈羽原発が緊急停止、鉄塔倒壊で送電線による外部電源が失われた前例がある。今回津波で外部電源が遮断されたとするが、自家発電にとどまらず東北電力など多重にバックアップすることさえ想定すべきであった。
F筆者の衝撃破壊の研究によれば、圧力容器内に挿入された核燃料棒はメルトダウンでなくても、衝撃波だけで即圧力容器底に落下し易い。新潟中越地震ではクレーンを作動させる大口径シャフトが、衝撃波による破断が起きている。この衝撃波の伝播状況を検証すれば、M7級直下型地震の衝撃波が入力でサプレッションプールから格納容器に導くパイプ破損の可能性も判断つくはずだ。「toshi tomieのブログ」の情報によると、東電の情報を分析した結果、メルトダウンする以前に圧力容器が破損し底が抜けた事実を指摘している。 原子炉内に伝播した衝撃波は、「万有引力の法則とは逆法則、即ち爆破・膨張の世界に成立する法則。物体間に伝播する衝撃波は質量比に逆比例し、変形は距離の2乗に比例する法則が成立する」この法則は巨大質量をもつ原子炉になればなるほど、シュラウド・炉心支持板に支えられた核燃料棒は圧力容器質量に比べ格段に小さければ、容易に花火のように散らばり飛翔落下が起きる現象の法則である。
G緊急時に手動切り替えも簡単にできない。また緊急時マニュアルの配電ミス・誤操作ミス等の多重ミスを起こすシステムであれば、これは人災であり、他の原子炉稼働に対しても早急に改善すべきである。
H 津波で外部電源喪失とタービン発電機建屋が簡単に水没する多重機能喪失することは、議論されていたが想定外として改善しなかった―
等があげられる。
これらの諸要因も検証できない原子力安全・保安院、原子力安全員会、また水素爆発は起こらないを連発するだけで技術改善すらできなかった組織、多重な想定外機能喪失で撤退しようとした経営陣の資質が今、改めて問われている。
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 原発・フッ素31掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。