08. 2013年5月01日 17:19:35
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12月稼働予定の新古里原発、住民の反対で送電塔着工できず宗教団体など外部からやってきた活動家と一部住民の反対で着工期限が過ぎる 1日に56億ウォン(約5億円)損害が発生する恐れ 年末に完成予定の新古里3号機を稼働させるには4月中に送電塔の着工が必要 反対派は送電線の地下埋設を要求 地下化には12年の工事期間と2兆7000億ウォン(約2400億円)の建設費が必要 関連する五つの自治体のうち蜜陽市だけが着工できず 「対策を8年も先送りした韓国電力にも責任」と指摘する声も 季節に関係なく毎年のようにブラックアウト(大停電)の危機が繰り返されているが、今冬はより深刻な状況となりそうだ。3兆2500億ウォン(約2900億円)もの巨額を投じて建設された140万キロワット級最新型原子力発電所の新古里原子力発電所(蔚山広域市蔚州郡)3号機が9月に完成し、12月末には通常の稼働を開始する計画だが、電気を送る送電線の設置が遅れているため、発電所そのものが無用の長物となる可能性が高まっている。今年は4月の時点ですでに予備電力が非常事態直前の「準備段階」に突入している上、毎年のように電力使用量が増加する現在の状況を考えれば、電力需要が一気に高まる今冬はブラックアウトが現実味を帯びてきている。 新古里原発で発電された電気を送る送電塔建設が、慶尚南道蜜陽市で大きな問題として浮上している。工期に合わせるには遅くとも5月初めには工事に取り掛からねばならないのだが、30日の時点で蜜陽市の一部住民の反対に加え、外部からやってきた市民団体や宗教団体も反対運動に加わり、工事が全く進展しないのだ。「4月末が期限」と主張する韓国電力の説明によると、現時点ですでに12月の原発正常稼働には間に合わず、また原発が完成した後もかなりの長期にわたり原発の稼働を中断せざるを得ない状況になる恐れがあるという。140万キロワットの原発が稼働できない場合、電力生産に必要な追加費用は1日に56億ウォン(約5億円)に上り、1カ月で1680億ウォン(約150億円)ほどかかるとみられる。
■蜜陽以外では工事完了
蜜陽で問題となっている送電塔建設工事とは、蔚山市蔚州郡の新古里原発で発電された電気を慶尚南道昌寧郡の北慶南変電所まで送る765キロボルト級の送電線設置工事のことで、蔚州郡から釜山市機張郡、慶尚南道梁山市、蜜陽市を経て昌寧郡へと続く全長90.5キロ区間に計161本の鉄塔を建設するものだ。 蜜陽市を除く地域での送電塔建設工事はすでに終了している。蔚州郡は2011年、梁山市は12年に工事が終了し、機張郡は今年3月、昌寧郡も4月に終了した。
161本の送電塔のうち、蜜陽市には丹場面、山外面、上東面、府北面、清道面の五つの面に計69本が建設されることになっている。当初は五つの面すべてで反対が激しかったが、現在はかなり反対も収まっている。清道面住民は早くから建設を受け入れ、予定された17本は工事がすべて完了した。しかし残り四つの面では地元住民と外からやってきた団体がいまだに反対しているため、計52本が今も建設できない状態が続いている。ただし丹場面、山外面、上東面では住民の多くが建設受入れを前提に韓電との交渉に前向きで、府北面だけが最後まで建設中止を求める住民が今も多数を占めている。
韓電は反対住民とその他の団体で構成された「蜜陽765キロボルト送電塔反対対策委員会(以下、対策委員会)」に13の補償案を提示したが、交渉は最終的に決裂した
■反対派は地下への埋設を要求
府北面の住民など対策委員会は「電線の地下埋設」を要求している。これはつまり地中にトンネルを掘り、送電線をその中に埋めることを意味するものだ。対策委員会は29日に会見を開き「今後も今のように穏やかな生活を続けたい」として「地下埋設以外に交渉の余地はない」と改めて主張した。
問題は地下埋設工事におよそ12年もの年月がかかるという点だ。そうなると新古里3号機を10年以上も放置しなければならない。また工事費も送電塔建設にかかる5200億ウォン(約460億円)の5倍を上回るおよそ2兆7000億ウォン(約2400億円)は必要と見込まれている。送電塔と地下埋設の区間がつながる場所には変電所が必要で、また地下には2キロごとに別の構造物も設置しなければならないからだ。
対策委員会はすでにある送電線の容量を増やすか、あるいは建設中の別の送電線を新古里原発につなげるなどの代案を提示している。しかし産業通商資源部(省に相当)など関係当局は「既存の電線は新古里1号機と2号機にすでにつながっているため、これを3号機にまで連結すれば全体が停電になる恐れがある」として「対策委員会の提案は不可能」と結論付けている。つまり反対派の主張は事実上の「建設白紙化」を求める主張と何ら変わりがないのだ。
稼働を目前に控えた時期に送電塔問題が解決できない今の状況については「韓電にも一部責任がある」との指摘も相次いでいる。蜜陽選出で与党セヌリ党のチョ・ヘジン議員は「韓電は電源開発促進特別法に基づき、これまでなら住民の同意がないまま、しかも補償もなしに送電塔の建設を進めることができた。このように古いやり方に慣れていたため、8年前からすでに表面化していたこの問題を今もなお解決することができず、住民との消耗的な対立をずっと続けてきた」として韓電を批判している。
前述のように早くから送電塔建設を受け入れた清道面など、五つの面の対策委員会で委員長を務める蜜陽市里長協議会のパク・サンムン会長は「外からおかしな人間たちがやってきて解決を難しくしている。住民の間からは早く結論を出すよう求める声が多数を占めている」と述べた。
蜜陽=チョ・ジェヒ記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/05/01/2013050100882.html http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/05/01/2013050100882_2.html 新古里原発3号機、運転開始遅れれば原発輸出に支障の恐れ http://www.chosunonline.com/svc/view.html?catid=21&contid=2013050100859 ▲年末に商業運転を開始する予定だった新古里原子力発電所3号機(左側)。右の4号機は来年完工する計画だ。/写真提供=韓国水力原子力
蔚山市蔚州郡で建設中の新古里原子力発電所3号機は、韓国が独自に開発した新型の標準型原子炉「APR1400」を採用する初の原発となる。1978年に古里原発1号機(釜山市機張郡)の運転を開始して以来、23基の原発を建設・運営してきた韓国原発業界の技術力を結集した原子炉だ。2009年、韓国が初めてアラブ首長国連邦(UAE)に輸出した原子炉もAPR1400だった。
新古里原発3号機の運転は、原発の輸出と密接に関わっている。今後、海外に韓国型の原発を売り込む際、安全に商業運転中の原発だということをアピールする必要があるが、まさにその最初の対象が12月末に運転開始予定だった新古里原発3号機だ。だが、同機で発電した電気を送る送電鉄塔の建設をめぐり一部地域で反対が根強く、運転開始が遅れる可能性も取り沙汰されている。
原発業界の関係者は「海外で入札に参加するとき、すでに商用化され(性能が)検証済みの設備だということが一番のアピールポイントになる。韓国がAPR1400の商業運転に成功すれば、海外での受注の可能性がそれだけ高くなる」と語った。
APR1400は出力140万キロワット級で、従来の国内の原発(100万キロワット級)の1.4倍。競合モデルとなる米国ウェスティングハウスのAP1000(100万キロワット級)をも上回り、フランスのアレバなどが開発した欧州型のEPR1500(150万キロワット級)とほぼ同じだ。
1キロワット当たりの建設単価が2145ウォン(約189円)と、従来の原発に比べ240ウォン(約21円)安いことも強みだ。計測制御設備のシステムは国内で開発され、全てデジタル化されている。設計寿命も40年から60年に延びた。政府の関係者は「送電線の問題で新古里原発3号機の商業発電が遅れれば、海外での原発入札でアピール力が弱くなる」と懸念を示した。
チョ・ジェヒ記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/05/01/2013050100859.html 今冬の電力需要、原発フル稼働でも不安 12月末から運転予定だった新古里原子力発電所3号機(蔚山市蔚州郡、出力140万キロワット)が送電鉄塔の建設問題で計画通り運転を開始できなければ、今年の冬は深刻な電力不足に陥ると予想される。
特に懸念されるのは、冬の電力需要がピークに達する来年1月だ。韓国政府の電力需給計画によると、来年1月は8686万キロワットの電力供給量に対し、最大電力需要は8376万キロワットに上るとみられ、供給量から需要量を引いた予備電力は310万キロワットまで落ち込むことになる。
問題は、政府の計画が新古里原発3号機はもちろん、故障で運転を中止している蔚珍原発4号機 (慶尚北道蔚珍郡、出力100万キロワット)や霊光原発3号機(全羅南道霊光郡、出力100万キロワット)などの原発4基の正常稼働を前提にしていることだ。新古里原発3号機だけが運転できない場合でも、来年1月の予備電力は170万キロワットまで落ち込む。
電力当局は予備電力が400万キロワットを割り込むと、関心・注意・警戒・深刻という4段階の電力警報を発令し、緊急措置を取る。警戒段階の200万キロワット未満になると公共機関を対象に強制的な停電を実施し、100万キロワットを切ると輪番停電に突入する。
新古里原発3号機の運転開始の遅れに加え、ほかの原発が1基でも故障すれば、さらに危機的な状況になる。来年1月に出力100万キロワット級の原発が1基止まるだけで、予備電力は70万キロワットまで落ち込む。2011年9月15日、電力当局が予告なしの輪番停電を実施した際には、予備電力はわずか24万キロワットだった。今でさえ老朽化した原発の頻繁な運転停止で需要ピーク期の電力供給が危ぶまれているが、来年初めには状況がさらに悪化すると懸念される。
電力当局が企業に特定時間帯の節電を要請し、補助金を出すという方法で危機を乗り切ることはできる。だが、寒波で電力需要が増え続ければ、こうした対策にも限界がある。電力当局の関係者は「新古里原発3号機を稼働できなければ、今冬の深刻な電力不足は避けられない」と話している。
崔源奎(チェ・ウォンギュ)記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/05/01/2013050100851.html |