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変動帯・地震列島で高レベル放射性廃棄物(HLW)の地層処分ができるか?石橋 克彦
http://www.asyura2.com/13/genpatu31/msg/402.html
投稿者 taked4700 日時 2013 年 4 月 27 日 09:36:30: 9XFNe/BiX575U
 

一言で言うと、この論文の最後の次の文章になる。

・「活断層と火山だけを避ければ応募可能」という現在の公募システムは,このプロジェクトの科学的稚拙さと公共的無責任さを余すところなく示している.
・無責任な科学技術政策によって国家が地域社会を混乱・荒廃させることは許されない.

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http://historical.seismology.jp/ishibashi/opinion/110629gakujyutsu_ishibashi1.pdf

日本学術会議「高レベル放射性廃棄物の処分に関する検討委員会」
第6回/2011年6月29日(水)16:00~18:00

変動帯・地震列島で高レベル放射性廃棄物(HLW)の地層処分ができるか?

石橋 克彦(神戸大学名誉教授/地震学)

01.福島第一原子力発電所の事故は,起こるべきことが起きたもの.これまで運が良すぎた.
・06年に改訂された「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」は(地震動に関して)
「残余のリスク」が存在することを明記し,それが現実になったが,それを社会は受容で
きるか? → HLW地層処分を後世代(メリット皆無でリスクのみ)が受容できるか?

02.M(マグニチュード)9の東北地方太平洋沖地震が現実に発生したことの重大性.
1.「将来10万年程度にわたって十分安定で,多重バリアに適した地質環境が広く存在」というようなことは,地震現象の科学からは言えない.
・活断層だけが地震を起こす,日本の活断層はすべて判っている,活断層のない場所(=大地震が起こらない場所)が広く存在する,という見解は根本的に誤りである.
・10万年経ってみたら地震の影響を免れた,という場所が皆無ではないかもしれないが,われわれが現在それを特定することは不可能であろう.

2.地震とはどんな現象か?
・地下の岩盤がズレ破壊して地震波を放出する現象.
・日本列島の上部地殻 (深さ15~20km以浅) には大小無数の割れ目・亀裂・弱面・断層面がある → それらが単独 or 繋がって,列島全域で多数の地震が発生する.

3.活断層とは何か?
・最近の数十万年間に繰り返し地震を発生したことが地表付近で確認されて,将来も地震を起こすと予想される断層 → 活断層として認知できない地震発生断層が地下に多数ある.
・活断層が知られていない場所でもM7級大地震が起こる.
・違う活断層が連動してM8級巨大内陸地震が起こりうる.M9クラスも!

4.地震の影響: 揺れ(地震動)だけではない! 大地震ほど広域に影響.
・震源断層面のズレの直撃による破断・擾乱 → 地下処分場には最悪の事態となりうる.
・地震波による揺れ(地震動) →地下では少し弱くても,人工バリアと天然バリアの揺れ方の違いは重要.
・広範囲におよぶ岩盤の歪み(変形)と応力 (力) の変化 → 岩盤中の大小無数の割れ目が閉じたり開いたりして地下水が動く(巨大地震では 100~200 km 遠方にも影響).
・震源断層面近傍では,広い範囲で無数の余震・誘発地震が発生.
以上が,地震の規模や距離に応じて処分場にくり返し影響し,多重バリアシステムの性能が段階的に劣化し,地下水流動特性が度々揺らいで,放射性核種が徐々に(段階的に)溶出し,移動して,累積結果として生活空間に漏れ出すことも生じうると考えられる.
ある地下空間における過去の同様な現象(ダイナミックな変動・揺らぎの累積)は,地質学的記録としては残らないだろう.5.そもそも「地層処分ができる」とはどういうことか?
・<超深度大規模土木工事,HLWの搬送・定置,埋め戻し,事故時の救援・復旧>が確実に安全に出来るのか?(とくに事故時の救援・復旧・放射能漏出阻止・廃棄体回収).
・10万年後に放射性物質が人間環境に漏出していないことが必須条件 → 我々世代の安全ではない! 10万年後に身を置いてみて考えるべきこと.それを如何に証明するのか?

6.そもそも,「今後10万年間地震の影響を受けない場所が存在する」という事と,「選定された特定の場所が今後10万年間地震の影響を受けない」という事は,全く別の問題である.
・万年単位の(空間的に)高精度の予測は,地震科学が未経験の,解決不能な問題である.
地震はなぜ起こるのか,なぜ起こらないのか,という地震学の根本問題に直結している.
つまり,今後10万年間絶対に地震の影響を受けない場所を選定することは不可能.
・失敗したとき回復できず,しかも受難者が後世代の本件は,確率を適用してはいけない.
・敢えて強行するのは,極めて無責任な賭で,現代日本人のエゴの極致である.

7.地層処分は,技術的のみならず倫理的に,人間の技術の限度を超えるのではないか?
・「コスト(リスク)対ベネフィットのバランス」が現代人と未来世代の間に横たわる.

8.現代の日本の科学者集団は,無批判に国策に奉仕することに使命感を感じているようだ.
それが価値中立的(政治的に中立)と思っているようだが、大きな政治的役割を果たしている.国策の期待に添うために,科学的には言えないことまで言いがちである.
市民,社会,人文・社会科学が厳重に監視して抑制する必要がある.

9.地震科学は「HLW地層処分が必要だから研究を進める」のではなく,「日本列島ではHLW地層処分はできないから,その生産をやめてくれ」と生産者に要請すべきだろう.
地震科学者がはっきり言わなければ社会は分からない(可能だと思ってしまう).

10.HLW地層処分事業を凍結し,長期間の地上管理という選択肢や,再処理しない直接処分という選択肢の検討を含めて,再考すべきである.そして,使用済み核燃料の排出停止(原発の停止)という根本問題にまで遡って議論すべきである.

11.【百歩譲っても】操業中の約70年間の処分場の耐震安全性にも厳重な注意が必要である.
・高知県佐賀町・東洋町のような明瞭な巨大地震の震源域は応募を禁止すべきであろう.
・「活断層と火山だけを避ければ応募可能」という現在の公募システムは,このプロジェクトの科学的稚拙さと公共的無責任さを余すところなく示している.
・無責任な科学技術政策によって国家が地域社会を混乱・荒廃させることは許されない.

<以上>  

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コメント
 
01. 2013年4月28日 08:26:02 : OTOSIyOeKE
>8.現代の日本の科学者集団は,無批判に国策に奉仕することに使命感を感じているようだ.

科研費を貰って研究をするということでは、このようになってしまいます。中央集権と言う政治的な装置が根本に有ります。


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