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4月21日 東京新聞「こちら特報部」 :「日々担々」資料ブログ
福島第一原発事故の前と後で、最も変わった日常が食品選びだ。新鮮かどうかより、汚染がないかで判断しなければならない。支えになる食品の放射性セシウム検査の規模が、都県によっては縮小される可能性が出てきた。国が重点検査対象の品目を大幅に削減したためだ。消費者には不安と困惑が広がっている。 (中山洋子)
「事故からまだ二年なのに、なぜ検査品目を減らすのか」
三月中旬に発表された政府の検査指針に、茨城県つくば市で市民放射能測定所を運営する藤田康元さん(46)は驚く。
政府の検査指針は、二〇一二年度で、基準値の一キロ当たり一〇〇ベクレルの半分の五〇ベクレルを超える値が検出されたことのある、およそ百三十品目を重点対象としてきた。この指針に基づき、東日本を中心とした十七都県で検査を実施している。それが、新指針では、重点品目が九十八品目に減らされた。
新指針では、昨年四月以降に五〇ベクレルを超えたケースがない品目は、重点品目からは外されるからだ。
例えば一一年度には一〇〇ベクレルを超えていたカブや、五〇ベクレルを超えていたジャガイモやサツマイモなどは、昨年四月以降は五〇ベクレルを超えた例がないため「対象外」になった。
一〇〇ベクレルを超えたことがあるサバやブリなども除外され、海産物は二十九品目から二十品目に削減された。
新指針では、時期だけではなく地域も区切っているのが特徴だ。これまでは、全国のどこかで基準値を超えた食品は、隣接自治体の重点品目にもなっていたが、自らの都県で超えていなければ検査する必要はなくなった。例えば、昨年十二月に栃木県のレンコンが基準値を超えたが、近隣県は重点品目と考えなくてよいことになった。
◆「科学的根拠」 厚労省は強調
検査品目を削減する理由について、厚生労働省監視安全課の専門官は「放射性セシウムが検出されない食品が多くなっている。どの品目から出て、どの品目から出ないかも(経験から)分かってきた。現在は五〇ベクレル以下のものをいくら検査しても、今後、基準値の一〇〇ベクレルを超える可能性は低い。一二年度の検査結果を踏まえ、科学的根拠に基づいて見直した」と説明する。
新指針では、国民の摂取量が多いものや特産物については、「考慮」すべき品目としている。このため「必要な検査は行われるはずだ」と強調する。
根底にあるのは「一〇〇ベクレルを超えなければ安全」という考え方だ。だが、消費者の感覚とは隔たりがある。
前出の藤田さんは、一キロ当たり一〇〇ベクレルの基準値でさえ、「お話にならない」と思っている。自治体の検査体制も抜けが多いと感じてきたからだ。
実際、つくば市の測定では測定器の使い方に問題があり、実際より低く出ていた例もあった。昨春、藤田さんらの指摘で正された。それだけに「データの蓄積は始まったばかり」との思いは強い。
十七都県では、新指針に基づいて一三年度の検査計画をまとめる。政府の指針では、重点品目については具体的な検査方法や頻度などが定められているが、そのほかの品目は各都県の判断にまかされている。各都県はそれぞれどう判断したのか。
こちら特報部の取材に、福島、茨城、東京など十都県は、「品目数も検査頻度も変えない」「前年度並み」と答えた。
例えば茨城では、重点品目とされたのは水産物や野生キノコ、茶などで、野菜や果実類は「対象外」。だが「検査は消費者の安心を担保するもの。減らすことはできない」と県産地振興課は話す。給食の食材を扱う加工業者などから「検査を続けてほしい」との要望もあるという。
「市場の不安が解消するまで検査は止められない」(秋田)という考えもある。神奈川県農業振興課は「科学的な調査には最低もう一年の検査は欠かせない」と強調。「事故直後より一二年度の検出値は下がっているが、調べもしないで本年度も下がるはずとは言えない。不検出が予想されても同じ検査を実施することが重要だ」と話した。
一方、品目は維持するものの「検査頻度などを見直す」としたのは埼玉、群馬など四県。例えば、埼玉ではこれまでホウレンソウを年に三〜四回、収穫地ごとに検査していたが、指針の重点品目から外れたので年一回程度に減らす方針。「どの品目も最低年一回は検査するが、頻度は縮小する。検体数で前年度の七〜八割ほどになる見込み」(農産物安全課)という。
静岡も、産地ごとに三検体を調べていたお茶が重点品目ではなくなり、一検体に減らす計画。そのため、検体数は七割ほどに縮小するという。
また「品目、検体数を当面は維持」とする岩手、宮城などの三県についても、将来は縮小する可能性がある。というのも、政府の指針の通知が遅かったこともあり、すでに四〜六月分の検査計画が「前年並み」とすることでほぼまとまっていたからだ。これらの自治体では七月以降の計画で見直すことにしている。
風評被害を心配する生産者の一部からも、検査態勢の縮小を歓迎しない声が上がる。
藤田さんと市民放射能測定所を運営する有機栽培農家の松岡尚孝さん(57)も「放射性物質の落ち方は均一ではなくてまだら。畑の位置によってさえ違う。まだまだ分からないことの方が多いのに」と困惑する。
福島老朽原発を考える会の青木一政事務局長は「本来は規制の網を細かくして、詳細に調べるべきだ。国の指針は逆行している」と批判する。
安倍晋三首相が施政方針演説で、風評被害防止を掲げたこととも無縁ではないとみる。
「生産者に余計な検査はしなくてよいという無言の圧力を加えているような指針。だが、風評被害を防ぐには、きめ細かい検査とデータの開示は欠かせない。検査態勢の縮小こそが、風評被害を助長する」
<デスクメモ> 福島のお年寄りが、「自分は食べても孫には食べさせたくない」と話していた。それが、自然な感情だろう。首相が号令をかけたところで、こんな手法では風評被害は簡単にはなくならない。地道に時間をかけて、安全を証明していくしかない。原発事故はあらゆる意味で「収束」していないのだ。 (国)
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