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2013-04-11 06:37:20 生き生き箕面通信
「原子力規制委は、100%の安全を求める風潮にとらわれることなく、各原発の再稼働の可否を判断してもらいたい」――これは読売新聞の本日4月11日の社説です。読売の意図をあけすけに言えば、「安全を求める世論などどうでもいいから、原発再稼働を急げ」というものです。こんなムチャクチャな横車を押そうとする読売の論説委員は、どんな神経をしているのでしょう。
この社説の見出しは、「ゼロリスクにとらわれるな」でした。見出しからして、「原発のリスクをゼロにしようとすると、コストがかさむから、ゼロリスクにとらわれることなく、原発を再稼働させるべきだ」という主張を示唆しています。事実、「安全向上は大切だが、費用がかさみ、廃炉を迫られる例も出るのではないか」と、心配しています。これは、「費用がかさむと大変だから、安全向上にかける費用はそこそこにしておけばいい」というものです。「安全軽視」の原発ムラの主張をそっくりそのまま強調してはばからない読売論説陣。フクシマから何も学ばない読売新聞。
規制委の新しい原発規制基準は、読売によると「問題をはらむ基準案である」となります。「日本の厳しい基準が海外にも影響を与えかねない」という米国原子力ムラの懸念をもっともらしく引用して、米国エネルギー省幹部が懸念を示したのは、「もっともである」とうなずいて見せる。そして、「安全を確認した原発の再稼働は急務である」と、安倍政権のしりを叩く。東電が放射能汚染水の処理ひとつ満足にできず、汚染水の持って行き場に窮している現実がありながら、「安全を確認したら、再稼働を急げ」ですと。
繰り返しになりますが、読売は「国民の安全を犠牲にしてでも、原発再稼働が大事」という立場です。「再稼働を急げ」という主張通りに動かしたとして、そこで再び苛酷事故が起きたら、読売さんは責任が取れるのですか。再び事故が起きたら、読売は「安全性をさらに高めて、原発は動かし続けろ」と主張するのでしょう。国民に対する犯罪的主張です。こんな粗末なメディアに影響を受ける読者(国民)が多いことに、慄然とします。せめて、「読売の購読を中止しましょう」と、呼びかけるほかありません。
◇
原発新規制基準 ゼロリスクにとらわれるな(4月11日付・読売社説)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20130410-OYT1T01481.htm
原子力規制委員会が、原子力発電所に適用する新たな規制(安全)基準の最終案を決めた。
東京電力福島第一原発事故を踏まえ、従来の想定より大きな地震や津波への対策を求めた。原子炉が壊れる重大事故を防ぐため、電源や冷却機能の拡充も盛り込んだ。
事故前の基準の欠陥を改めることは必要だろう。だが、新基準の検討過程で内外から相次いだ「ゼロリスクを求め過ぎだ」との批判はほとんど反映されなかった。
問題をはらむ基準案である。
その一つは、原発敷地内の活断層の扱いだ。これまでは12万〜13万年前以降に動いたものを対象としていたが、最大40万年前まで遡って調査することを課した。
規制委はすでに、これを先取りして原発敷地内の活断層を調査している。この際、島崎邦彦委員長代理は繰り返し、「活断層が100%ない」という証明を求めており、新基準にも同様の項目が設けられることになった。
あまりに非科学的な要求だ。むしろ、活断層が動いても大丈夫なよう安全設備の強度を増す工学的な対応を優先すべきである。
専門家が「過剰」と指摘する項目もある。典型例が、重大事故時に原子炉内の圧力を逃す手段であるフィルター付きベントだ。
新基準は全原発に設置を義務づけたが、米国は先月、専門家の議論を経て、米国の原発には当面、不要とした。米エネルギー省幹部が「日本の厳しい基準が海外にも影響しかねない」と懸念を示したのは、もっともである。
規制委は意見公募を経て、7月までに新基準を施行する。これに基づいて、停止中の原発の安全性について審査する。
重要なのは、審査の効率を上げることだろう。技術に詳しい職員が限られ、同時に審査できるのは3か所の原発だけという。人材確保など体制強化が必要である。
原発ごとの柔軟な対応も不可欠だ。一律に消火設備などの数を決めるのは現実的ではない。
審査では、各炉に最新技術の導入を義務づける「バックフィット制度」を適用する。安全向上は大切だが、費用がかさみ、廃炉を迫られる例も出るのではないか。
原発の停止で電力供給は綱渡りだ。火力の燃料費高騰で電気料金も上がっている。安全を確認した原発の再稼働は急務である。
規制委は、100%の安全を求める風潮にとらわれることなく、各原発の再稼働の可否を判断してもらいたい。
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