http://www.asyura2.com/13/genpatu31/msg/199.html
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半世紀以上前に起きた水俣病を若い世代の人たちはほとんど知らないと思うが、
いまだに多くの人が苦しんでいるし裁判も係争中だ。
環境省・国立水俣病総合研究センターがまとめた水俣病の報告書がここにある。
「水俣病の悲劇を繰り返さないために --水俣病の経験から学ぶもの--」
http://www.nimd.go.jp/syakai/webversion/houkokushov3-1.html
通産省(当時)に責任転嫁するような表現が気になるが、内容はまともな報告書である。
少し長いがぜひ読んでいただきたい。福島原発事故と非常によく似ていることに驚くだろう。
類似点をいくつか挙げよう。
- 最初に起きた動物の異変 (ネコの狂死)
- 早くからわかっていた健康被害とその原因
- 御用学者の暗躍、インチキ学説による真の原因の隠蔽
- マスコミによる事実隠蔽、誤認報道
- 住民の健康・生命軽視
- 天下り先・大企業の利益最優先
- これだけの産業が止まったら日本経済に大打撃を与えるという殺し文句
- 全く動かない検察、全く問われない刑事責任
- 抗議する市民、被害者への弾圧
- 被害者に対する偏見と差別
- 全くされなかった汚染海域の漁業規制。漁協による操業自粛のみ。
- 関係者による水飲み安全パフォーマンス
報告書から一つ引用しよう。
----(引用ここから)-----------------------------------------------
<コラム>[通産省のチッソ擁護姿勢]
水産庁をかかえる農林省からの出向者は、排水を止めるべきだという主張もしていた。だが汲田は、通産省の官房に毎週のように呼び出され、強い指示を受ける。
「『頑張れ』と言われるんです。『抵抗しろ』と。止めたほうがいいんじゃないですかね、なんて言うと、『何言ってるんだ。今止めてみろ。チッソが、これだけの産業が止まったら日本の高度成長はありえない。ストップなんてことにならんようにせい』と厳しくやられたものね」
結局、経企庁も通産省も、水銀に関する水質規制や排水停止の措置はとらず、チッソの排水はそのまま流れ続けることになった。水俣の沿岸に水質規制が実施されたのは、水俣工場がアセトアルデヒド工場をスクラップしたあとの、1969年のことだった。
----(引用ここまで)-----------------------------------------------
チッソ→東電、水銀→放射能と置き換えれば、今起きていることそのものだ。
要するに役者が変わっただけで台本は全く同じなのである。結末もまた同じであろう。
一つ、非常に気がかりなのは、真の原因を隠蔽したまま迅速に対応をとらなかったために、
第二の水俣病が新潟県で発生してしまった事実だ。
これは、グズグズとまともな安全対策を施さないうちに、どこかの原発でまた致命的な爆発が起きることを示唆している。
それを考えると夜も眠れない。
もう一つ、序文から引用しよう。
------(引用ここから)----------------------------------------------
水俣病を経験した我が国は、これを教訓として、このような悲惨な公害がこの地球上で繰り返されることのないよう、日本国内のみならず、世界の国々に対しても、積極的な貢献をしていくべきである。
そのためには、水俣病がなぜ起こり、なぜ拡大したのか、また、なぜ発見から政府による公式見解まで12年間もかかったのか。その時々における行政決断の遅れや研究者、地域住民、原因企業等の対応を検証し、水俣病の経験から教訓を明らかにしたい。
そして、特に最終章を読む際に、あわせて今の自分の置かれた立場を振り返って、自分は今同じ過ちを繰り返そうとしていないかどうかを 問い直していただきたい。
------(引用ここまで)----------------------------------------
いったい誰に向かって言っているのか。何一つ水俣病の教訓から学んでいないではないか。
唖然とするばかりだ。開いた口がふさがらない。
水俣病に限らず、ダイオキシン、アスベスト禍からサリドマイド、キノホルム、薬害エイズまで、
すべてこの国の政治家・役人の利権と、無関心・無責任が産み出した悲劇である。
早急に対策をとれば被害・損害は最小で済むのに、企業・天下り先の利益最優先で何もせず、悲惨な結果となる。
多くの生命が失われ、金銭的損害も莫大になる。
しかし誰も責任をとらない。何度でも同じ間違いを繰り返す。学習能力ゼロ。
ミミズのT字迷路学習という実験がある。
左に曲がったときだけ電気ショックを与えると、右にしか曲がらなくなるというものだ。ミミズも学習するらしい。
懲りずに何度でも同じ間違いを犯すこの国の政治家・役人は、ミミズ以下と言われてもしかたがあるまい。
先ほど福島原発事故も水俣と同じ結末になると書いたが、今回は数百、数千倍と規模が違う。
水俣病は中央官庁から遠く離れた一地方での「他人事」であったが、今回はそうではない。
すでに霞ヶ関・経産省前の植え込みは1万ベクレル/kg、チェルノブイリ強制移住地域並の汚染である。
大気も水も食品も信じられないほど汚染されてしまった。
無責任極まる政治家や役人も今回は被曝被害者である。首都圏の汚染から逃げることは不可能だ。
今までの無責任な公務員の度重なる悪事に、ついに天の裁きが下ったのだと思う。
それでも性懲りもなく、真実に目を閉じ、「安全です、問題ありません」と被曝で倒れるまで、
国家が崩壊するまで彼らは繰り返すのだろう。
ミミズ以下のバカ者につける薬はない。バカは死ななければ治らないのである。
[阿修羅・関連投稿]
「アイリーン・美緒子・スミスさんが語った、水俣と福島に共通する10の手口」
http://www.asyura2.com/12/genpatu27/msg/147.html
「水俣病経験者からの助言」
http://www.asyura2.com/09/health15/msg/667.html
「水俣病のチッソと、放射能汚染加害者・東電」
http://www.asyura2.com/12/senkyo125/msg/796.html
「水俣病語り部が語る水俣のむかしとこの頃」
http://www.asyura2.com/09/senkyo74/msg/852.html
「水俣病 -- 江頭豊のしたこと」
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