01. 2013年4月04日 21:19:46
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>現場の土壌や現存する動物の実態調査をなぜやらないんだろ http://www.env.go.jp/houdou/gazou/15438/pdf/ZB-1202.pdfhttp://ankei.jp/yuji/?n=1840 http://www.esj.ne.jp/meeting/abst/60/W12.html 福島第一原発事故の生態系への影響を検証するモニタリング 企画者: 石田健, 佐藤重穂 本集会は、誰が何をどこでどこまでやっているか、やりたいか、など基礎情報の交換、顔つなぎを主な目的として、事前に参加予定者が打ち合わせ、調査を実施している数人の簡単な経過報告および課題の提起をした後で、総合討論を主体に進める。 福島第一原発事故は、表層土や常緑樹の樹冠を中心に放射能汚染を引き起こしている。原発周辺約20km 圏内や北西方向に約40km まで広がる高放射線地帯から人は避難した。この両方のことで、野生鳥獣をはじめとする生態系に、影響が現れてくると予測される。事故を起こした日本の生態学研究者の責務として、野生生物や生態系への影響についても、基礎的な情報を世界に発信する役割が期待されている。また、野生鳥獣の影響調査は、事故原子炉周辺の住民の安全確保、安心の獲得や今後の生活復興支援の参考になり、一般市民にも合理的、直感的に納得しやすい役立つ基礎情報を提供できるだろう。生物多様性保全の観点からも、原発事故の放射能の直接影響及び人の避難による間接影響を明らかにし、そのために必要な長期継続モニタリングが、国内外の研究者によって始まっている。未知領域の長期低線量内部被爆の影響解明のためには、さらに、多様で多面的な取り組みが望まれる。これらは、未来世代に対しても、今この国に生きている私たちが残すことのできる貴重な情報となるだろう。 1人でも多く、1つでも多くの研究が生まれるよう願い、情報交換の場を設けたい。 阿武隈山地北部の生態系と現地調査のための基礎情報 石田健(東京大) http://moribin.blog114.fc2.com/blog-entry-1649.html 日本生態学会における放射能汚染研究の要旨です 2013-03-16 06:28 | カテゴリ:未分類 以下に、第60回日本生態学会(3月静岡)の講演要旨から数少ないセシウム関連の講演要旨を無断で抜粋しました(いくつか見落としているかもしれませんが)。ご参考までに。少しずつ放射能汚染に関する生態学研究者が増えてきているようです。心強いかぎりです。 二枚貝から見た福島県沿岸における放射性ストロンチウムの分布 *苅部甚一,田中敦(国環研),栗島克明(WDB(株)),木方展治(農環研),柴田康行(国環研) 2011年3月の福島第一原子力発電所(原発)事故によって、放射性セシウムとともに放射性ストロンチウム(Sr-89、90)が、大気のみならず海洋にも直接放出された。しかし、その放射性ストロンチウムの環境中の存在量および挙動は不明である。そこで本研究では、環境中の物質を一定期間濃縮、保持する二枚貝から、福島県沿岸における放射性ストロンチウムの分布を明らかにすることを目的とした。 調査は2011年6〜8月、2012年5月に茨城県〜青森県の太平洋沿岸で行った。採取した二枚貝は軟体部を酸分解、海水は濃縮後にSr分離を行った。放射能はベータ線を低バックグラウンド2πガスフローカウンターで測定して算出した。 2011年の二枚貝Sr-90は、福島県広野町(原発から南に23km)で0.17±0.07Bq/kg、南相馬市(北29km)で0.038±0.009Bq/kg、茨城県大洗町(南128km)で0.012±0.004Bq/kg、青森県東通村(北445km)で0.017±0.004Bq/kgであり、同時に測定した放射性セシウムと同様に原発に近くかつ南側で高い傾向があった。2012年の福島県の二枚貝Sr-90は、原発南側で高いがどの地点も前年より減少していた。海水Sr-90は、2011年の福島県いわき市(南48km、0.021±0.002Bq/kg)と相馬市(北37km、0.026±0.001Bq/kg)で類似していた。二枚貝の見かけのSr-90濃縮率(二枚貝/海水)は、いわき市で2.9、相馬市で1.2となり、原発南側で高かった。以上の結果は、原発由来放射性ストロンチウムの生物への蓄積、及び原発北側よりも南側への拡散傾向が強かった可能性を示唆している。 イワナ及びそのエサ資源への放射性セシウム蓄積:福島県大沢川と群馬県大谷山流域における事例
岡田健吾,岩本愛夢,境 優,五味高志(農工大院・農) 福島第一原発事故によって環境中へ放出された放射性Csがイワナへ蓄積する実態を把握するとともに、エサ資源となる生物の放射性Cs濃度との関係について検討した。調査は福島県大沢川(流域平均空間線量1.0-1.9µSv/h:文科省2012/6/28航空機モニタリング)と群馬県大谷山流域(流域平均空間線量0.2-0.5µSv/h:2012/5/7同)で行った。2012年8月と11月に各流域50mの流路区間において、イワナおよびエサ資源である陸生と水生生物を採取した。捕獲したイワナの胃内容物を採取した。放射性核種はゲルマニウム半導体検出器を用いて分析した。捕獲したイワナは大谷山流域で47尾、大沢川で59尾で、当歳魚(平均体長64.3mm)、満1歳(同97.6mm)、満2歳(同137.8mm)、および3歳以上の個体(同190mm)であった。捕獲個体の24%(25匹)について放射性核種分析を行った。イワナの筋肉の放射性Cs濃度(Cs-134+Cs-137 Bq/kg-dry)は、大谷山流域では1歳で平均570、2歳で平均619.5であった。また大沢川では1歳で平均2390、2歳で平均3674だった。これらの結果から、どちらの流域においてもイワナには放射性Csが蓄積しており、特に2歳以上で高くなる傾向が見られた。胃内容物は夏期、秋期ともにカゲロウやトビケラ等の水生昆虫が多く見られた。夏期にはカマドウマ科やクモ目などの陸生生物、秋期にはワラジムシ目やアカガエル属などの採餌傾向が見られた。岩本ら(2013)からカマドウマやカエルの放射性Csは高いことが報告されていることから、エサ資源の嗜好性と採餌量、年齢による代謝の違いなどがイワナ体内の蓄積量に影響を及ぼすと予想された。今後、体内に摂取した放射性Csの生物学的半減期なども考慮したモデルによる解析も行う。 森林-渓流生態系食物網における放射性セシウムの生物濃縮:福島県大沢川と群馬県大谷山流域の事例 *岩本愛夢, 岡田健吾, 境 優(農工大院・農), 根岸淳二郎(北大院・地球環境), 布川雅典(北大院・農), 五味高志(農工大院・農) 福島第一原発事故で環境中に放出された放射性Csによる、森林-渓流生態系内を構成する底生生物や陸生昆虫、両生類、リターなどの汚染実態を把握するとともに、食物網構造と生息環境に関連した生物濃縮について考察した。本研究は福島県二本松市東和地区大沢川流域(地表1m平均空間線量1.0-1.9μSV/h:文部科学省航空機モニタリング2012.6.28時点)と群馬県みどり市大谷山流域(地表1m平均空間線量0.2-0.5μSV/h:同2012.5.7時点)で行った。どちらもスギ・ヒノキ人工林を主体とした流域で、各流路50mの流路区間および河川から両岸20mの河畔域斜面を調査対象とした。放射性核種については、ゲルマニウム半導体検出器を用いて分析した。生物の放射性Cs濃度(Cs-134+Cs-137 Bq/kg-dry)は、いずれの流域もカエル類(大沢川流域:5118-11179;大谷山流域:721-1647)で高い傾向があり、サワガニ(大沢川流域:4688;大谷山流域:1090)やカマドウマ科(大沢川流域:7135;大谷山流域:658)なども高くなる傾向があった。このように、栄養段階が高く、地表付近を生息環境としている種は、放射性Cs濃度が高くなることが示唆された。ただし、同じ地表性生物であるオサムシ科(大沢川流域:1624;大谷山流域:263)は濃度が低い傾向を示す場合もあり、各生物種の炭素・窒素安定同位体比から、餌資源内容の推定、生息環境の選好性などを考慮し、放射性Cs汚染の生物濃縮過程を評価していく。 福島県に自生する植物の放射性セシウム集積特性 -事故後2年目の特徴- *杉浦佑樹,竹中千里,金指努(名大院・生命農),緒方良至(名大院・医),小澤創(福島県林研セ),世良耕一郎(岩手医大・医) 【背景と目的】生態学会第59回大会では2011年に福島県内で採取した草本植物の放射性Csの集積について調べた結果を報告した。2011年はフォールアウトによる大気中からの供給の期間が不確かであり、土壌からの吸収以外の要因が植物体中Cs濃度に影響を与えている可能性があった。また、土壌に降下したCsは時間経過とともに粘土鉱物等に吸着され移動性が低下することが知られている。これらを背景として、2011年と2012年で植物中のCs濃度を比較を行った。 【材料と方法】2011年5月から2012年11月にかけて福島県内に自生する草本(一年生34種、多年生50種)および土壌を採取し、Ge半導体検出器またはNaI(Tl)シンチレーションスペクトロメーターを用いて放射性Csの分析を行った。また、一部の植物試料は硝酸分解後、PIXE法またはICP-MS法により元素分析を行った。 【結果と考察】生活形で分類すると2011年、2012年ともに多年生種でCs濃度が高い傾向が見られた。これは多年生種では事故後のCsの移動性が高い時期に地下茎等の組織にCsが吸収されて成長とともに新たに展開する地上部へ移行したこと、一部の種では既に展開していた地上部にCsが直接付着したことが考えられる。また、翌年は土壌からの吸収に加え、残った組織に存在するCsが地上部へ移行したためであると推察される。全体の傾向として、同一種において2012年では2011年と比較してCs濃度は10〜30%程度に減少していた。2011年で高濃度集積個体が見られたドクダミ、セイヨウノコギリソウでは翌年でも濃度は下がるものの比較的高濃度に集積する個体が見られた。しかしながら、これが種特異的なものであるかは生育環境の土性等と併せてさらに検討する必要がある。 表土剥ぎ取りによる除染作業が水田土壌およびトウキョウダルマガエル幼生の放射能汚染に与える影響 *境優(農工大・農), 五味高志(農工大・農), 若原妙子(農工大・農), 恩田裕一(筑波大・生命環境) 自然湿地生態系の代替地として注目される水田は、福島県下における主要な景観ユニットである。東日本大震災後、福島県下の水田地帯の広い範囲が福島原発事故により大規模な放射性セシウム汚染に見舞われ、除染作業が行われている。本研究では、表土剥ぎ取り作業(表層0~5 cm)による放射性セシウム除去が、水田土壌とその上に生息するカエル幼生にどのような効果をもたらすのかを調査した。福島県川俣町に位置する2011年6月に除染された除染水田と対照水田を調査地とし、2012年7月に採集した土壌コアサンプルと、カエル幼生(トウキョウダルマガエル)の乾燥重量中のCs-137濃度をそれぞれ測定した。 深度0~20 cmまでの水田土壌の総Cs-137濃度の平均値は、除染水田、対照水田それぞれで、2015, 8028 Bq/kgであった。一方、カエル幼生のCs-137濃度は、それぞれ880 ± 91 (SE)、4500 ±266 Bq/kgであった。カエル幼生のCs-137濃度は、表層土壌(0~5 cm)より高くなっており、食物を介した生物濃縮プロセスが起こっていることが推察された。また、表層土壌とカエル幼生では、それぞれ除染水田のCs-137濃度が対照水田の21, 20%であった。これらの結果は、水田における表土剥ぎによる除染作業が土壌およびカエル幼生に一定の効果をもたらしたことを示している。しかしながら、除染水田における表層土壌のCs-137濃度は、2012年試料採集時では2011年の除染直後と比べ約4.4倍となっていた。以上のことから、水田と同じく汚染された周辺環境(例えば、用水路、集水域)からの放射性セシウムの移動、生物濃縮プロセスのモニタリングの重要性が示唆された。 モウソウチク林における放射性セシウム除染方法の提案 −カリウム動態から考える− *梅村光俊, 金指努, 杉浦佑樹, 竹中千里(名大院・生命農), 小澤創(福島県・林研セ) 2011年3月11日に発生した東日本大地震により、東京電力福島第一原子力発電所は壊滅的な被害を受け、大量の放射性物質が環境中に放出された。放射性物質の中でも137Csは半減期が約30年と長く、汚染は長期にわたる問題となる。モウソウチクは主に民家周辺に植栽されており、竹林の除染が早期復興に向けた課題の一つである。竹林における放射能汚染調査結果としては、食品であるタケノコのデータがすでに発表されており、イメージングプレート画像によるタケノコ中放射性セシウム(Cs)の分布(箕輪, 2011)が、同じアルカリ金属であるカリウム(K)の濃度分布(Umemura and Takenaka, 2012)とほぼ一致することから、CsとKの挙動の類似性が推測された。そこで、放射性Csのタケ植物体内における蓄積特性をK動態から推測し、モウソウチク林における除染方法を提案することを目的とした。 タケのK動態に関する調査は、愛知県内のモウソウチク林3林分で行った。稈、枝、葉の現存量は胸高直径からの推定式により算出し、地下茎、根の現存量は50 cmの方形区各サイト5箇所で地下茎と根を採取し算出した。2009年12月に各サイトから採取したタケ1本の各器官および地下茎、根のK含有量を分析し、それぞれの現存量に乗じてK蓄積量を求めた。 その結果、Kはタケの各器官のうち稈に約46%、地下茎に約40%蓄積されており、林分全体におけるK蓄積量の90%近くが稈と地下茎に存在することが明らかとなった。また福島の現地調査により、林床リターからのCsの溶脱が少ないことなどが明らかになっている(金指ら, 2012)ことから、これらの知見を総合的に考察し、効果的なCsの除染方法を検討する。 福島県高放射線量地域のゴール形成アブラムシに多発する形態異常と遺伝的影響 秋元信一(北大・農) 福島第一原子力発電所の事故によって広範囲に飛散した放射性物質が生物にどのような影響を及ぼすかを客観的に評価する試みは、現在、喫緊の課題である。本研究では、放射線に影響されやすいと考えられる生物を用いて、形態的変異に焦点を絞って調査を行った。アブラムシ科ワタムシ亜科のヨスジワタムシ属Tetraneuraに注目し、越冬卵から孵化してくる1齢幼虫の形態を、福島県川俣町の集団(空間線量4μSv/h)、北海道の集団、千葉県柏の集団の間で比較した。さらに、原発事故以前に採集された多量の博物館標本との比較を行った。 アブラムシは春から秋まで無性生殖的に増殖し、常にメスの腹部には成長中の胚子が含まれる。福島の孵化幼虫は、原発事故以来、初めての有性生殖の結果出現した世代であり、それまでの無性生殖の過程で蓄積されてきた遺伝的変異が特定の個体に集積されている可能性がある。また、孵化幼虫(1齢幼虫)に注目しているために、成虫まで到達できない虚弱個体や形態異常が検出できる可能性がある。孵化幼虫は、体長が約1mmで、孵化後ハルニレの新葉に閉鎖型のゴール(虫こぶ)を形成し、その中で成長・繁殖する。 福島の集団では、北海道や柏の集団と比べて、高い頻度で形態異常が見いだされた。捕食によらない死亡個体の割合も高かった。形態異常はいくつかのカテゴリーに分類できたが、この中で高度に異常を示す個体が約1%含まれた。これらは、2つの分岐した腹部、脚状突起、腫瘍状組織によって特徴づけられた。軽度の異常としては、脚部の萎縮、成長途中での付属肢の欠損が含まれた。全体として、福島の集団では10%の個体に異常が認められた。ところが、無性生殖によってゴール内で産出される第二世代には、全く形態異常が認められなかった。世代間の差から、「原因物質」の作用の仕方を考察する。 ヤマトシジミにおける福島原発事故の生物学的影響 大瀧丈二(琉球大・理) 福島第一原子力発電所の損壊では、大量の放射性物質が環境に放出された。この事故が動物に与えた生物学的影響を評価するための迅速で信頼性のある実験系はこれまでに考案されていない。本論文では、日本で一般的なシジミチョウであるヤマトシジミ(Zizeeria maha)に対してこの事故が生理的および遺伝的な障害を与えたことを明らかにする。我々は、第一化の成虫を2011年5月に福島地域で採集したが、その一部には比較的軽度の異常が認められた。第一化の雌から得られた子世代F1に認められた異常は重度が高く、それは孫世代F2に遺伝した。2011年9月に採集された成虫の異常は、5月に採集されたものと比較して重度が高かった。非汚染地域の個体に対する低線量の外部被爆および内部被曝により、同様の異常が実験で再現された。これらの結果により、福島の原子力発電所に由来する人為的な放射性核種がヤマトシジミに生理的および遺伝的な障害を与えたと結論される。 |