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http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130401/biz13040109210003-n1.htm
2013.4.1 09:18 [米国]
シェール層のガスやオイルの開発ブームが世界のエネルギー事情と社会を一変させる「シェール革命」。その中心地の米国で取材していて、また気になる動きが広がってきた。廃炉や操業縮小に追い込まれる原子力発電所が相次いでいるのだ。老朽化や東京電力福島第1原発事故を受けた規制強化に加え、シェール革命で原発のコスト競争力が低下している。
(フジサンケイビジネスアイ)
電力大手デューク・エナジーは2月、フロリダ州のクリスタルリバー原発を廃炉にすると発表した。同原発は格納容器のひび割れで2009年から稼働を停止中だが、補修費用が巨額で工事も長期間を要するために採算がとれないと判断した。電力大手ドミニオンも昨年10月、ウィスコンシン州のキウォーニー原発の閉鎖を決めた。原子力発電最大手のエクセロンも、ニュージャージー州のオイスタークリーク原発を当初計画より10年前倒しで19年に廃炉にする。
米国は世界最多の原発104基を抱えるが、大半は1980年代以前に建設された。改修費用は年々かさむ。規制強化も事業者の頭痛の種だ。米原子力規制委員会(NRC)は昨年、米国内の原発に対して福島第1原発事故を踏まえた安全対策の強化を命じている。
さらに、米国ではシェールガス開発で安価な天然ガスを使った火力発電が急増し、原発のコスト競争力が相対的に下がっている。デューク・エナジーはクリスタルリバー原発の代替施設に、天然ガスを燃料とする火力発電所を検討中だ。
長年稼働し地元のエネルギー需要や雇用を支えた原発の閉鎖は、地域経済に影響を与えずにはすまない。ドミニオンのトーマス・ファレル最高経営責任者(CEO)も「従業員の献身的な働きを思うと、実に厳しい決断だった」と唇をかむ。
だが、「シェール革命」のうねりは「業界関係者の想像以上」(日系電力会社幹部)で、エネルギー政策の根幹も揺さぶる。オバマ政権は当初、「化石燃料の依存脱却」に向けて原発推進を強調し、昨年はジョージア州で34年ぶりに原発建設を認可した。しかし最近は「海外産原油の依存脱却」に“軌道修正”し、大統領は今年の一般教書演説で「天然ガスブームが米国をエネルギー自給に導いている」と力説したが、原発には言及すらしなかった。
現在米国内に20基以上の原発計画があるが、計画変更など先細りも懸念される状況だ。ただ、米国で原発産業がこのまま衰退の道をたどると考えるのは、いささか早計かもしれない。減価償却が終わった原発に関していえば、操業コストが比較的安く、収益源になっている電力会社も少なくないためだ。オバマ政権もエネルギー源の多様化に向けて、原発推進の旗まで降ろしたわけではない。それでも、「シェール革命」のただ中で、米国の原発産業が岐路に立たされていることは確かなようだ。
(産経新聞ワシントン支局 柿内公輔)
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