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福島県外3県における甲状腺有所見率調査結果の深刻さ(訂正版)
次の記事を3月29日に投稿しましたが間違いがありましたので訂正します。
福島県外3県における甲状腺有所見率調査結果の深刻さ
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投稿者 taked4700 日時 2013 年 3 月 29 日 19:42:14: 9XFNe/BiX575U
お詫びして訂正をします。非常に大きな勘違いをしていましたので、再度記事を投稿しなおします。
まず、結節とのう胞の両方についてのデータを比較してみます。
福島県外3県における甲状腺有所見率調査結果について(お知らせ)( http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=16520 )より
A1 A2 B
3市全体: 42.4% 56.6% 1.1%
弘前市: 41.1% 57.6% 1.3%
甲府市: 29.5% 69.4% 1.1%
長崎市: 56.9% 42.5% 0.6%
福島県の平成24年度の結果(http://www.pref.fukushima.jp/imu/kenkoukanri/koujyosen-ketuka2501.pdf )より、
A1 A2 B
福島県: 55.8% 43.6% 0.6%
3市全体のデータと福島県のデータを比べると、A1のデータで福島県のほうが大きくなっています。環境省は、これを3市での検査は2歳以下の幼児を対象に含んでいないため、甲状腺に異常の出にくい2歳以下の幼児を含んでいる福島県のデータで、A1、つまり異常なしが多くなったのだと説明しているようです。しかし、仮にそうだったとしても、同じ条件である甲府市のA1が29.5%であるのに対し、長崎市が56.9%で約2倍の開きがありますから、このこと自体が何らかの異常があることを示しています。またある程度の異常とみなすことができるA2にしても3市全体で56.6%であり、これは福島県の43.6%を10%以上上回りますから、これもおかしなデータであることに変わりありません。
次に3市全体でのデータを使って、結節とのう胞のそれぞれのデータを福島県のものと比較してみます。
結節
A1 A2 B
3市 98.4% 0.6% 1.0%
福島 99.0% 0.4% 0.6%
のう胞
A1 A2 B
3市 43.1% 56.9% 0.0%
福島 81.5% 18.5% 0.006%
ほぼ一目瞭然ですが、結節では3市合計のデータと福島県のそれがあまり異ならないのに対し、のう胞ではA1、A2ともに大きく異なります。ここで、3市合計には2歳以下のデータが含まれていませんから、福島のデータから2歳以下のデータを差し引いて再計算をしてみれば比較ができることになります。ところが、福島県の年齢階層別は2歳以下という階層はなく、0から5歳ですから、2歳以下のデータを除外できません。よって、共通の尺度である6歳から10歳、11歳から15歳、16歳から18歳で3市合計と福島県のそれを比較してみましょう。3市での結節・のう胞別のデータは年齢階層別には示されていませんから、結節・のう胞両方を含んだ割合の比較になります。
結節・のう胞の両方での比較
A1 6歳から10歳、 11歳から15歳、 16歳から18歳
3市 44.5% 39.4% 40.3%
福島 48.4% 46.7% 53.7%
A2 6歳から10歳、 11歳から15歳、 16歳から18歳
3市 55.3% 59.4% 57.8%
福島 51.4% 52.5% 44.3%
B 6歳から10歳、 11歳から15歳、 16歳から18歳
3市 0.2% 1.6% 1.9%
福島 0.26% 0.80% 1.96%
以上のデータで見ると、A1、つまり、全く異常を見なかったグループがどの年齢階層でも福島県のほうが大きく、これはソナーをあてる時間が短いと言われていることから、検査での見逃しがかなりあることを示唆していると思えます。
次に、A2、つまり、多少の異常が発見されているグループですが、こちらは福島県のデータがどれも小さい値を示しています。これも福島県での検査で見逃しが多くあったことを示唆していると考えるのが多分妥当でしょう。
最後にB、つまり、かなり異常があると思え、2次検査対象となるグループですが、11歳から15歳の階層で3市合計のほうが2倍の値を示しています。これはかなり異常であり、もともと小児甲状腺患者は100万人に一人程度が正常な発症率とされていたのですから0.1%以上の値が出てくること自体が異常です。
なお、グループBは5.1o以上の結節あるいは20.1o以上ののう胞を認めた場合であり、本来であれば2次検査対象となるグループですから、それなりに慎重に検査がされたと考えるべきだと思います。少なくとも、この値は増える可能性があっても減る可能性はありませんから、日本全体がかなり低線量被曝を受ける環境になっていると考えるべきデータです。このことが明瞭に分かっただけでも今回の3市の調査は意味があったと言えると思います。
次に、実際に甲状腺がん発症の可能性を考えてみます。第10回福島県「県民健康管理調査」検討委員会議事録( http://www.pref.fukushima.jp/imu/kenkoukanri/20130213gijiroku.pdf )によれば、福島県の平成23年度分の2次検査で、2次検査受診者151人中10名が甲状腺がんであったということですから、2次検査受診者15名に1名の割合です。この確率を当てはめて計算すると、3市合同で2次検査対象は44名ですからほぼ3名が甲状腺がんにかかっている可能性があります。そして、これは受診者全体4365名中の3名と言うことですから、確率的に言えば、0.069%であり1000人に一人をほぼ意味します。
「一般に小児の甲状腺がんの発生は100万人当たり1〜3人といわれています」( 日本臨床検査薬協会 「チェルノブイリ原発事故と小児の甲状腺がん」http://www.jacr.or.jp/topics/09radiation/03.html )ということですから、3市合計の小児甲状腺がん発症確率は正常な状態での確率と比べて数百倍から1千倍に近いということになります。
チェルノブイリでの発症確率と比較をしてみます。チェルノブイリでは事故時に幼児であった「男児で4,810人中7人(約0.15%)、女児は4,910人中24人(約0.5%)」( 前掲と同じ http://www.jacr.or.jp/topics/09radiation/03.html、検査時期は1990年から2004年と思われる )で、男女合わせての確率は0.32%ですから、3市合計の確率は、チェルノブイリのちょうど半分ぐらいとなります。
なお、このチェルノブイリのデータと福島県とのデータを比較すると、福島では38114名から10名が小児甲状腺がんにかかっているということですから、0.026%となり、チェルノブイリと比べて福島の発症確率は10分の1程度となります。
こう比較すると、チェルノブイリと比べてまだ軽度であると思えますが、現実には事故後2年よりも後の方が発症確率が高くなる傾向があり、今後日本での発症が増える可能性はかなり高いと思われます。
以上の分析から言えることは、福島県内の状況はもちろんのこと、日本全体の状況が決して楽観できるものではないということを示しています。少なくとも毎年追跡調査を日本全体でやる必要があり、また、ビタミンCや乳酸菌の摂取を計画的に行って免疫機能を維持する必要があるのではないでしょうか。更に、学童は低線量被曝がある環境からの疎開が必要であると思われます。
最後に、日本では2000年に山下教授が長崎でやった小児甲状腺検査があり、また福島でのデータと今回発表になった3市でのデータがあるわけですが、どういうわけか、互いにきちんと比較できにくい形でデータが公表されています。どの検査においても、受診者個人のデータが保存されているのですから、共通の尺度で比較できるような形でのデータの公表が必要です。
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