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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013032702000118.html
消えた「イボニシ」 福島第一周辺沿岸30キロ
2013年3月27日 朝刊
福島第一原発に近い福島県内の太平洋沿岸三十キロの範囲で、巻き貝の一種「イボニシ」が東日本大震災後、姿を消したという。国立環境研究所の堀口敏宏室長らが二十七日、日本水産学会で発表する。
堀口さんらは昨年四〜八月、千葉県から岩手県にかけての四十三地点で波打ち際にすむ生物の生息状況を調べた。その結果、福島第一原発をはさむように福島県広野町から双葉町にかけての三十キロ範囲内の八地点ではフジツボなどはいたが、イボニシは一匹も見つからなかった。
イボニシは日本のほぼ全域に生息し、波打ち際ではごく普通にみられる貝だ。二十年以上にわたってイボニシ調査を続けている堀口さんは「ある地域からまったく姿を消してしまう例は非常に少ない。原発から出た放射性物質や汚染水などが関係している可能性もある」と指摘する。
津波の影響も考えられるが、同様に高い津波を受けた他の地域では生息が確認されている。
イボニシは、船底塗料などによる海洋汚染で、メスにオスの生殖器ができる生殖異常を起こすことで有名になった。国立環境研究所は今後、生息調査を続けるほか、イボニシに実際に放射線をあてる実験をするなどして、放射性物質の影響の有無を調べていく。
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