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原発の危険性を小さくするための新しい規制基準をめぐり、原子力規制委員会の対応に不可解な点が多くなってきた。発足当初は、電力需給などには一切配慮せず、原発の安全性能がどれくらいなのか、科学的な判断だけをする、と高らかに宣言してきた。しかし、最近は需給の状況を気にするような発言が目立つ。このままでは、安全を置き去りにしたかつての甘い規制機関に逆戻りしかねない。(大村歩、加藤裕治)
◇変節
「(基準違反だからと)例えばポンと20基止めたら世の中どうなっちゃうのか」
19日の定例記者会見で、規制委の田中俊一委員長からこんな発言が飛び出した。
いろんな角度から質問すると、言いたいのは、電力需給などの事情もあり、7月に新たな規制基準ができたからといって、急ブレーキをかけるのはどうか─ということらしい。
しかし、田中氏は昨年9月に規制委が発足した当初から、こうした「事情」は一切斟酌しないと繰り返し強調。「地元や政治家の意向をくめば、旧原子力安全・保安院と同じ」と、かつての規制機関とは違うことも強調してきた。
同10月には、規制委の5人の委員の間で、「電力需給とか社会経済的なことにかかわらず、科学的、技術的見地から規制を行う」と意思統一までした。活断層調査をやり直し、厳しい規制基準の検討も進め、原発推進派からは「やり過ぎ」批判も出ていたほどだ。
だが、原発推進の自民党へ政権が交代し、内閣支持率が高まるにつれ、日本原子力発電敦賀原発(福井県)の活断層調査で、電力側への配慮を他の委員に求めるなど、変節を疑わせることが増えてきた。
◇私案
19日の規制委会合で田中氏は、新しい規制基準の運用方針に関する「私案」を提出したが、読みようによっては、いかようにも受け取れる表現が記載されていた。
新基準の施行は7月で、9月に定期検査入りする関西電力大飯原発(福井県)をどうするかが焦点。
私案を素直に読めば、「7月までに大飯原発の新基準への適合状況を確認し、重大な問題があれば運転停止も」という意味に受け取れる。
ところが、ここに二つの落とし穴があった。一つは「確認」という言葉。法的に実施する「審査」ではないから、チェック項目を減らしたり、多少の不適合は目こぼししてもよいという。
二つ目は「重大問題」が何なのか、はっきりしないことだ。新基準に盛り込まれた津波対策、地震対策、事故時の対策拠点、ベント(排気)フィルターなどはどれも重要な柱のはず。だが、猶予期間を設ける項目も多く、田中氏は「1、2項目、新基準を満たしてなくても即停止とはならない」とまで発言している。
夏は電力需要が増えるから、大飯原発に多少の問題があっても目こぼしし、9月まで運転を続けさせようというのが「私案」の本当の狙いのようだ。
◇同類
こうした科学的な判断より、経済性を優先するかのような規制委の姿は、昨年、大飯原発では重要な対策が整備し終わっていないのに、再稼働を進めた民主党政権の姿と重なる。
当時、同政権は、簡易の安全性評価をパスし、対策が足りない部分については電力会社が整備すると約束すればよい、との内容の暫定基準をつくり、大飯を再稼働させた。
これに対し、田中氏は「再稼働は政治的判断。暫定基準には抜けがある」とし、新しい基準づくりに着手。その基準ができつつあるのに、多少の不適合は目こぼしするとの流れになっている。
「不適合があっても『安全』と判断するなら、新基準の意味がない」と本紙記者がただすと、田中氏は「なかなか辛辣な質問。悩ましいことになるかもしれない」と答えた。
2013年3月23日 東京新聞 朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kakushin/list/CK2013032302000180.html
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