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2013.03.11
3.11に寄せて
今日は3月11日です。改めまして、東日本大震災でお亡くなりになられた方々に哀悼の意を表しますとともに、被災された皆さまにお見舞い申し上げます。
今日で東日本大震災から2年が経ちました。そして、この2年間で、日本の首相は2回代わりました。震災時に首相だった菅直人・元首相は、震災後に「大きな夢を持った復興計画を進めたい」と言いました。次の野田佳彦・前首相は「福島の復興なくして日本の再生はありえない」と言いました。現在の安倍晋三首相は「新たな創造と可能性の地としての東北をともに創りあげよう」と言いました。
でも、被災地の復興は、遅々として進んでいないのが現状です。前民主党政権も現自民党政権も、まるで呪文のように「復興」という言葉を連呼していますが、その復興の最大の妨げになっている福島第一原発の事故が、未だに収束の目途も立っていないからです。いくら「福島のコメは安全だ」「東北の魚は安全だ」と連呼したところで、事故から2年が経った現在も世界の多くの国々が日本からの食品の輸入を厳しく規制しているのは、原発事故が収束していないからです。野田佳彦・前首相は「福島の復興なくして日本の再生はありえない」と言いましたが、「原発事故の収束なくして被災地の復興はありえない」のです。
メルトダウンして溶け落ちた核燃料を回収する技術は、これから10年かけて開発するそうですから、本当の収束はいつになるか分かりません。それどころか、原子炉建屋の地下に地下水が流れ込んでいるため、現在も1日に約400トンずつ放射能汚染水が増え続けていて、東電はまた海への放出を計画しているそうです。そして、未だに多くの人たちが放射能汚染のために自宅に帰ることができず、辛い避難生活を余儀なくされています。
安倍政権は、避難者が帰還できないのは「当時の民主党政権が年間積算線量1ミリシーベルト以下とした除染目標が帰還の障害となっている」として、放射線の年間積算線量の見直し、つまり、安全基準値の引き上げを行なうそうです。しかし、民主党政権が目標とした「年間積算線量1ミリシーベルト以下」という数値は、国際放射線防護委員会(ICRP)が定めた一般の成人の年間積算線量に沿ったもので、決して厳しい数値ではありません。
避難者を帰還させるために年間積算線量を引き上げるというのは、「憲法9条を変えるために96条を変えてしまえ」という考え方と同じで、どちらも「結論ありき」の本末転倒な自民党方式です。住民の健康など二の次で、とにかく「避難者を1人でも多く帰還させたという実績を作りたい」という政権の都合によるものです。
原発事故は収束の目途も立っておらず、増え続ける放射能汚染水の処理にも困り、避難者を帰還させるために安全基準値以上の被曝を強要する。こんな状況なのにも関わらず、安倍政権は早くも前政権の定めた「原発ゼロ」を白紙撤回して、再稼動・新増設に舵を切りました。日本の原発事故を受けて、先進国の多くが脱原発へシフトしたというのに、事故の当事国である日本が「原発推進」で本当に良いのでしょうか。
安倍首相は、電力の安定供給と発電コストばかりを取り上げて原発の必要性を訴えていますが、原発事故による天文学的な経済的損失を考えたら、これほどコストの掛かる発電は他にありません。また、原発の発電コストの試算には、増え続ける使用済み核燃料の処理費用も計上されていません。未だに安全な処理方法が開発されていないため、明確な数字は出ておらず、現在の使用済み核燃料を処理するだけでも10兆円とも20兆円とも言われていますが、これを計上して試算すると、原発の発電コストは石油火力よりも遥かに高くなります。
ドイツでは、使用済み核燃料を地層処理する場所を30年間も探しましたが、結局、どこも危険で「適切な場所はない」という結論に至りました。これも、ドイツが脱原発へシフトした大きな要因の1つです。地震の少ないドイツでも適切な場所が見つからなかったのですから、2000を超える活断層が縦横無尽に走っている日本に、何万年も危険な使用済み核燃料を地層処理できる場所など見つかるわけがありません。
今の自分たちのことしか考えずに、未来の人たちへ膨大な量の「負の遺産」を遺すことになる原発などにしがみついていては、同じ過ちを繰り返すだけです。原発事故の当事国だからこそ、どの国よりも率先してやらなければいけないエネルギー政策があるのではないでしょうか。
原発推進派の常套句である「日本には資源がない」というセリフも、再生可能エネルギーの視点から見れば嘘になります。一般的な太陽光発電や風力発電だけでなく、内陸部にある国と違って周囲を海に囲まれている日本には、潮力発電や波力発電、海流発電の資源が無限にありますし、川を利用した小水力発電や温泉を利用した地熱発電などの資源もたくさんあります。特に低温でも発電できる地熱バイナリ―発電に関しては、日本中に適した土地があり、経済産業省は「原発8基ぶん」にあたる「約833万キロワット」を発電できると試算しています。
北海道では多くの住民の努力で、泊原発を再稼動しなくても、この冬を乗り切ることができました。しかし、大雪による送電線や鉄塔の事故で広い地域が停電になり、復旧に時間が掛かり、たいへんな思いをした人たちもいました。北海道のように大雪が降る地域の場合、大きな発電所から遠くまで送電線で電力を送っていると、こうした事故が起こってしまいます。しかし、地域ごとに小型のバイナリ―発電所を置くようにすれば、送電網のトラブルは大幅に減少されますし、トラブルが起こった時の復旧も短時間で済むようになりますし、平均して5〜10%と言われている送電ロスも防ぐことができます。
でも、現在の日本の電力会社は、発電も送電も一社が牛耳っている事実上の「一社独占」なので、電力会社が「原発推進」であれば何も変えることができないのです。そのため、前民主党政権の時から「発送電分離」が議題にあがって来ましたが、実現しませんでした。
発電と送電が別会社になれば、一般企業が発電に参入しやすくなるだけでなく、電力利用者も「どの会社から電気を買うか」という選択ができるようになります。たとえば、東京電力の管内に住んでいる人なら、今は東電から電気を買うことしかできないため、東電が強引に原発を再稼動すれば原発で作った電気を使うしかありませんし、東電が一方的に値上げをしたらそれに従うしかありません。しかし、「発送電分離」が実現して多くの企業が参入するようになれば、「原発の東電」と「バイオマス発電のA社」と「太陽光発電のB社」と「地熱発電のC社」の中から選ぶことができるようになります。こうなると、当然、価格競争が起こりますから、東電は現在のように自分たちのボーナスや昇給ぶん、ゴルフ代や温泉旅行代、年8%もの社内財形貯蓄の利息ぶんなどを電気料金に上乗せできなくなり、世界一高いと言われている日本の電気料金も欧米並みの適正価格になるのです。
欧米では、1990年代に発送電分離と電力自由化が行なわれましたが、日本では発送電分離を行なわずに電力自由化だけが行なわれました。そのため、現在まで事実上の「一社独占」が続いているのですが、安倍政権は、前民主党政権から持ち越しされた「発送電分離」を先送りしました。これは、少しでも長く電力会社に甘い汁を吸わせておくための配慮で、ここには原発利権が大きく絡んでいます。
自民党が受け取っている企業献金は、年間20〜30億円ですが、このうち約7割が、電力関連の企業や原発メーカー、原発建設を主とするゼネコンなど、つまりは「原発関連企業」からの献金なのです。そのため、安倍首相は、国内での原発の再稼動や新増設だけでなく、ベトナムやインド、中国への日本製原発の売り込みにも精力的です。
あたしは、今日、朝からずっと、この2年間のことを考えていました。被災された方々とは比べ物にもなりませんが、それでも、あたしにとって、本当に辛く苦しい2年間でした。それは、すべて原発が原因です。そして、原発事故から2年目の今日、何の反省もなく平然と原発を推進するような人間が日本の首相になっていることを、あたしは日本人として、心の底から恥ずかしく思いました。来年の3月11日には、日本が脱原発を実現して世界に誇れる国になっているように、あたしなりに努力したいと思います。
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