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東京電力福島第一原発事故から11日で2年がたった。見た目には敷地内のがれきが片付き、放射線量も全般的には落ち着いてきたが、実際の事故収束作業はどんな状況なのか。放射能と闘いながら働く作業員たちに、外見だけではうかがい知れない内部の様子を聞いた。(片山夏子)
■人海戦術
水素爆発で原子炉建屋上部がめちゃくちゃに壊れた3号機。曲がった鉄骨などは相当取り除かれ、建屋はコの字形の鉄の囲いに覆われた状態になった。順調にいけば、囲いは2014年度後半、使用済み核燃料を取り出すクレーンの基礎となり、雨水の流入を防ぐ屋根の役割もする。
着々と囲いの建設が進んでいるように見えるが、作業員は「とても厳しい」と語る。建屋内は極めて放射線量が高く、人間が入れないばかりか、外の囲いの建設現場も想像を超える状態という。
「(放射線量は)低くても毎時28ミリシーベルト。高い所は100ミリシーベルト、いやもっと高いかもしれない」。汚染がれきが残る建屋上部に近づくにつれ、線量は高くなる。最上階の5階では毎時500ミリシーベルトが計測されたこともある。
このため、囲いのボルト締めなどを担当する作業員たちは、被ばくが特定の人に集中しないよう、次々に作業員が入れ替わる人海戦術を採るしかない。
放射線を遮る重いタングステン板入りのベストを装備しても、あっという間に、3ミリシーベルトに設定した被ばく上限値に近づいてしまう。単純計算で一人が現場で作業できる時間はわずか5分前後しかない。
「1ヶ月ぐらいで新しい人がくる。高線量下での作業は人を次々替えるしかない」と作業員は語る。
■置き去り
非常に高い線量を放つ場所が点在する原子炉建屋内の作業はもっと厳しい。
2号機を担当した男性は、真っ暗な中をヘルメットに付けたライトを頼りに、高線量の場所を駆け抜ける。
タービン建屋から原子炉建屋へは、通称「松の廊下」と呼ばれる通路を通って入るが、途中に高濃度汚染水が流れる配管が通る。ここでダッシュを怠れば、無用の被ばくをしてしまう。
建屋内は放射性物質を含む粉塵が多い。作業員たちは、ゴム手袋が汚染されれば、次々と新しいものに替えられるよう、あらかじめ軍手の上にゴム手袋を4枚重ねる工夫も。便利な反面、きつくて手がうっ血する。
作業を終えてスタート地点のタービン建屋に戻った後は、不用意に防護服の上に着るカッパに触れると汚染されるため、仲間の作業員が上着の背中などを切り裂き、脱ぎ捨てる手伝いをする。長靴とヘルメットも現場に置き去りにするしかないという。
■最後は一人
福島第一の収束作業は今後、建屋内の作業が増えていく。
2号機を担当した男性は「どんなに打ち合わせても、現場では思わぬことで手間取ることもある」と話す。別の作業員も「敷地の外で予行演習を重ね、事前に役割や手順を確認する。ただ、人海戦術になるので、被ばく線量に余裕がある人を集めるのが大変」と明かした。
ロボットの投入も増えるはずだが、作業員たちは「ロボットは臨機応変に動けない。最終的には人の力でやるしかない」と語る。
ロボット任せにはできない中、東電は収束作業でもコストカットの動きを強めている。工事単価が下がり、作業員の収入も下がってきている。作業員たちは「危険が高いのに、見合ったものがもらえないのではやり手がいなくなる。ベテランもどんどん離れている。今のままではいずれ破綻する」と厳しい表情で話した。
2013年3月12日 東京新聞 朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kakushin/list/CK2013031202000128.html
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