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2013/03/08 1:06 pm THE WALL STREET JOURNAL
東日本大震災後の東京電力福島第1原発の事故で、放射能セシウムの食品汚染への懸念が消費者の間で広がったが、時間の経過とともに薄れる傾向だ。ただ、最近でも福島から離れた海域で漁獲された魚介類から国の基準値を超える濃度が検出されるケースがみられることから、警戒感も根強い。
日本政策金融公庫が今年1月1-11日に全国20-70歳代の男女2000人を対象としたインターネット調査では、消費者の汚染食品への警戒感は根強いものの、1年前の調査と比べそうした懸念が薄れつつあることを示している。
まとめによると、原発事故の影響があると考える地域の生鮮・加工食品の購買意識について「影響は気にならない」「影響があると考える地域の生産物でも買う」の合計が32%となった。逆に「買わない」は6ポイント減少の31.8%と、「買う」「気にならない」の32%を初めて下回った。
厚生労働省が発表する「原子力災害対策特別措置法に基づく食品に関する出荷制限」に関し「出荷制限の品目数は全般的に減少している」(担当者)という。
ただ、不安も残る。今年1月、福島第1原発の専用港湾内で2012年12月に実施した東電による魚介類のサンプリング調査で、カサゴに似たムラソイから、放射性セシウムが1キロあたり25万4000ベクレル検出された。食品基準の2540倍の濃度で、事故後の魚介類の調査の最高値にのぼった。
これまでの最高値は、原発から北に約20キロ離れた沖合で昨年12月に獲れたアイナメの1キロあたり2万5800ベクレルだった。この他、原発から遠い室蘭沖でも、漁獲されたマダラからも、国の基準値の上限にあたる1キロ当たり100ベクレルの放射性セシウムを検出。魚介の汚染範囲の広がりが懸念される。
肉類や山菜、キノコ類へのセシウム検出もなお続く。2012年10月から基準値が1キロあたり500ベクレルから100ベクレルへとより厳格になった影響もあるが、福島県を含む東日本の周辺地域にも広がっている。菌類であるキノコは植物などに比べ、セシウムを取り込みやすい可能性も指摘される。
最近では牛肉などのほか、岩手県内で捕獲されたシカの肉から、120-160ベクレルのセシウムが検出された。シカ肉はすでに国の出荷制限を受けている。
記者: 吉池 威
(吉池記者をツイッターでフォロー: @WSJyoshiike )
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